the Urban Enviornment Design Seminar, Yogyakarta
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ジョグジャカルタの
歴史的な地区における保存

ガジャマダ大学

シータ(Dr. Ir. Laretna Trisnantari Adhisakti, M.arch., Ph.D)

 

ジョグジャカルタの歴史

改行マーク今日は文化財と一緒に生きるとはどういうことか、 特にコタ・グデについてどう考えるかという二つのテーマについて報告します。 この二つのテーマで共通して大切なことは「コミュニティのポテンシャリティと保存の関係」はどうあるのか、 どうあるべきなのかだと考えています。

改行マークさて、 まずジョグジャカルタと周辺の小さな町の歴史について簡単にご説明したいと思います。

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図1 中部ジャワ島における17世紀までの王宮の移動
改行マークよく知られているようにジャワには仏教とヒンドゥー教の文明が栄えていました。 しかしそれらはイスラム勢力に圧迫され東ジャワに移動して行きます。 北部海岸のデマック(Demak)などから始まったイスラムの王国はやがてパジャン(Pajang)を経て中部のカルタスラ(Karutosuro)に移動し、 コタ・グデ(Kotagede)を経て最後にはスラカルタ(Surakaruta、 別名ソロ)とジョクジャカルタ(Yogyakarta)に分かれました(図1)。

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図2 ジョグジャカルタの歴史的な重層構造を示したレイヤー分析
改行マーク図2はジョグジャカルタの歴史的な重層構造を示したレイヤー分析です。 最初のレイヤーは1755年に出来上がったジョクジャカルタを示しています。

改行マークその後、 イギリス、 オランダ、 あるいは中国の影響を受けながらジョグジャカルタは成長しますが、 18世紀中頃に造られた王宮(クラトン)が今もジョグジャカルタの中心に残っています。

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図3(a) ジョグジャカルタの都市空間(エリア、 土地所有システム、 人びと) 図3(b) ジョグジャカルタの都市空間(エリア、 土地所有システム、 人びと) 図3(c) ジョグジャカルタの都市空間(エリア、 土地所有システム、 人びと)
 

改行マークレイヤーの詳しい説明は図3をご覧ください。 社会的・経済的・文化的な成長がお分かりいただけると思います。 なかには日本の影響もあります。 隣組(rukun tetangga)などがそうです。 昔の問題のなかには現在にも繋がっている問題があります。

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写真1 タマンサリ宮殿付近のカンプン
改行マークまた、 いろんな変化があったわけですが、 継続的な変化もあれば、 コントロールされている変化、 されていない変化もあります。 昨日見ていただいたタマンサリの付近はコントロールされていない例です(写真1)。 図2にあるように悪い方向への変化もあれば、 よい方向への変化もありました。


アーバンスペース・ヘリテージ

改行マークインドネシアでは保存は文部省の担当です。

改行マーク二つの大きな法律があります。 一つはオランダ時代の1931年に策定された記念物に関する法律です。 もう一つは1992年に制定された保存に関する法律(法第5号)です。 そのほかに細かい法律があります。

改行マーク日本では1919年に文化財に関する法律ができ、 その後、 何回も改正が重ねられています。 1995年にも改正されました。 しかしインドネシアではまだ始まったばかりです。

改行マークジョグジャカルタ県について言えば、 保存に関する法律もあり、 色々な活動がすでに生れています。 非公式な一般の人々の活動もあり、 ジョグジャカルタ遺産保存協会といったNGOも活動しています。 政府も一般のそういった活動を援助しています。

改行マーク以上が概要ですが、 私が強調したいのはジョグジャカルタにおける保存を考える時、 フィジカルな要素(建物)だけを考えていては駄目なのではないかということです。

改行マーク例えば空間の使われ方、 空間における活動が重要なポイントです。 それがまちのポテンシャルになっているのです。 空間の使われ方や活動、 ジョグジャカルタ独特の植物のありようなどを私はアーバンスペース・ヘリテージと呼んでいます。 それが本当のポテンシャリティです。

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写真2 ダレム
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写真3 アルンアルン
改行マーク植物の例を紹介します。 たとえばクラトンでは色々なパターンがあり、 植物の配置や種類も決まっています。 昨日皆さんが訪ねたダレム(写真2)もその例です。 普通の人々のまちにも、 それぞれパターンがあります。 一般の市街地でも同様です。 植物だけではなく、 小径もそうです。 アルンアルン(alun-alun、 広場、 写真3)もそうです。


雪だるま方式

改行マークいずれにしても一番大切なのは住民の力です。 それを引き出し発展させなければなりません。 たとえばコダクテのケースでもそうです。 コミュニティのポテンシャルにとって住民の力が建物の保存よりも重要です。 ガジャマダ大学が提案し世銀のお金を引き出し一番小さなコミュニティ(隣組)から活動を始めています。 小さなプロジェクトでしたが、 それを核として雪だるまのようにより大きな活動にしてゆくべく、 昨日皆さんを案内してくださったハバさんと一緒に活動を進めています。 世界銀行はもちろん日本からの支援も期待しています。

改行マーク活動は、 まずは調査から始まります。 すでに様々なデータの蓄積が出来て来ました。 いろいろなアイデアも出て来ました。 空き地の使い方については学生の提案が生きています。 それは空き地をコンベンションセンターやアートショップにするというものでした。

改行マーク住民が大切だと申しましたが、 私たちは「ゴマスリ」なども含め住民を誘い込むことに力を注いでいます。 もちろん住民参加は難しく、 時間もかかります。 住民には行政等による補助の話は分かりにくいものです。 住民の人たちと付き合い、 話し合っていくわけですが、 とても時間がかかります。

改行マークでも小さな部分、 コタ・グデやタマンサリから始まって、 保存がどんどん大きくなっていって欲しいと願い、 頑張っています。

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