ジョクジャカルタの文化財
ガジャマダ大学
レビアント(Ir.Revianto, M.Arch)
郊外の文化財にも注目を
保存というといつも古い市街地が取り上げられます。 確かに多くの古い建物は古い市街地にあります。 たとえばジョグジャカルタにはクラトンやアルンアルン、 モスク、 市場があります。 しかし郊外にも古い建物があるのです。 それらも保存しなければなりません。
ところで、 ジョグジャカルタのまちは、 他のジャワのまちもそうですが、 中心ははっきりしているのですが郊外がはっきりしておりません。 まちの中心には広場(アルンアルン)やモニュメントがあって、 王宮があります。 しかし周りは境界がはっきりせず、 全体としてアメーバのような形をしています。 その周りは田んぼです。
まちの周囲にはモスクがあります。 イスラム教の強いところではたくさんのモスクが造られています。 しかし郊外の地域は一般にコミュニティが小さく王様の影響力も小さなものでした。 成長のスピードも緩く、 モスクもあまり変わっておりません。 伝統的な形で残っています。
一方、 経済が大きく成長している地域では、 モスクにお金が入り、 モスクの形も変わって来ています。 人口が増えますので空間も広げたいし、 近代的なものにしたいということです。 立派なモスクになっていますが、 デザインはモダンなものになり、 またアラビアの影響も強く受けるようになっています。
住民と文化財の関係が大切
皆さんは昨日タマンサリを見学されました。 まだ遺跡に人々が住み着いている部分がありますが、 昔はもっとすさんだ公園でした。 住民が自分たちの宝だとは思っていなかったからです。 同じように郊外にある王様のモニュメントも住民から離れてしまって、 自分たちのものだとは思われていません。 自分たちのものとは思われないので、 壊れたままになってしまっています。
ワルンボトもその例です。 美しい文化財ですが、 今は荒れ果てています。
花のお化けという意味のグワァシルマンという遺跡も、 同じく壊れかけたまま放置されています。 昔は噴水があったのですが、 なくなってしまっています。 住民は自分たちのものだとは思っていませんから、 近くに自動車の修理工場をつくってしまい、 汚くなってしまいました。 今はその工場も潰れてしまいました。
文化財がたくさんの人が住んでいる所にあると、 別の問題も出て来ます。 特に開発が進むと摩擦が生じます。 一方、 郊外にある文化財は忘れ去られ潰される可能性が高いのです。 アンバルウナングンという文化財も、 同じように荒れています。 何度も繰り返しますが住民が自分の物と思わないからです。
私たちの仕事は住民と一緒に文化財を守ることです。 住民が自分たちの文化財だと思うように住民と文化財に新しいリンケージを作らなければならないと考えています。
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