たしかに1970年頃、 学生など若い人々が町並みに興味を持って、 そういった歴史的な町並みが観光地になったという経緯がありました。 小浦先生が紹介された今井町や須坂や奈良町もそうです。 しかし住宅地は観光客に来てほしくはないわけで、 そういうところでは観光化とは違ったまちづくりが必要でした。
とはいえ景観づくりや環境をよくするということは、 まちづくりのイントロダクションとして重要なツールであることは間違いありません。 それは景観や環境は、 その地域の住民がその地域の良さを理解する上で、 とてもわかりやすいとっかかりだからです。
だから鳴海先生が言われるように良いまちを残すと言うことはヘリテージとは違います。 良いまちを残すということは、 そのまちの良さを住民に理解してもらうというところから始まります。 またそのまちの良さには絶対的な物差しはなく、 すんでいる人たちが合意できたところが、 そのまちの良さなのです。
だから京都駅のデザインは私は好きなのですが、 手続きが良くなかったことが、 まちの良さをつくるという面から見るととても問題です。
まちづくりの取っかかりとしての町並み
堀口浩司
日本でまちづくりのお手伝いをしている者です。
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