the Urban Enviornment Design Seminar, Yogyakarta & Bali
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本当にアジアなのは日本の方ではないでしょうか?

井口勝文

(竹中工務店)

 インドネシアに較べると日本は殆ど血統書付きのアジア。 インドネシアは雑種のアジア。 というよりも西洋との混血アジア、 これがインドネシア系アジアに対する私の印象です。 インドネシアは「混交をキーワードとする空間文化」の国と、 鳴海教授は明快に言い切っていますが(『神々と生きる村 王宮の都市』学芸出版社)、 行ってみるまでは何を言っているのかよく分かりませんでした。 本物のアジアの空間を見ようと思ってインドネシアにやってきた無学な自分がバカでした。 多くの国で文明は混交しているのです。 純粋なアジアの空間を見たかったら日本を見るのが一番!ということでした。
 でも、 「混交している」のが普通で、 アジアには「西洋の植民都市のほうが多い」(前掲書)のであれば、 インドネシアのような混血こそやっぱり本物のアジア。 そして、 都市や建築の形では簡単に混血してしまうこと、 そしてそこで営まれる生活の「内包された美しさ」や「美しい小さな細部」にこそアジアが在るのであれば(前掲書)、 インドネシアは見事にアジア。
 そうなると日本はアジア都市としてはまだまだ「混交不足」で「植民途上国」。 日本は政治的には西洋の植民地支配こそ受けなかったけれど、 文明としては西洋の植民地になっているのが現実の姿。 そう考えると血統書にとらわれて伝統だ、 アジアだ、 と悩むよりも潔く胸を張って「植民都市」の道を歩いていいのではないか。 そのほうが面白い町になるんじゃないでしょうか?。 そう考えると気が楽になりました。

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