the Urban Enviornment Design Seminar, Yogyakarta & Bali
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ミース・ファン・デル・ローエもインドネシアに来ていたのか?

井口勝文

(竹中工務店)

 クラトン(王宮)やタマン・サリ(水の宮殿)では素晴らしいインドネシアの空間を体験しました。 接客や儀式の間(バンサル・スリマンガンティやバンサル・マニス)の水面のように滑らかで静かな床。 床と柱と屋根だけで造られた空間。 外から内へ、 内から外へ、 自然の爽やかな空気が漂っていました。 この空気は貴族の館(ダルム)にある公の広間(プンドポ)、 そして庶民の住宅にあたる小さなプンドポにも同じように漂っていました。 イスラムのモスクも、 トゥンガナンの評議会の集会所もこれ。 これは紛れもなくインドネシアそのものの空間でしょう。 熱帯の住まいとしては誠に合理的のように見受けられます。
 床と柱と屋根だけで空間を造る手法は日本人の空間意識に共通しているように思われます。 寝殿造り、 数寄屋造り、 神社の社、 書院造り、 能舞台、 数えあげればきりがない。 これらはしばしばその辺り一帯を引き締める印象的な存在になる。 それが存在することによってそこにある種の神聖な領域を造ってしまう。 このあたりも全くインドネシアと共通した空間意識であるところが嬉しくなってしまいました。 そんな空間が大好きでもいいんだよ、 あんたの血の中にそれがあるんだよと、 言われたような気がしました。 ではミース・ファーン・デ・ローエは何なのか?。
 彼のバルセロナ・パビリオン、 ファンスワース邸、 ベルリン近代美術館はどこから来たのか?。 私の長年の疑問をここでも思い出しました。

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