the Urban Enviornment Design Seminar, Yogyakarta & Bali
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JOGLO考(1)

上野泰

(ウエノデザイン)

 Yogyakarta近郊の遺跡巡りの車の中で、 数人のメンバーとJOGLOの屋根の形についての議論の花が咲いた。 なぜあの屋根は途中で勾配を変えているのか、 あの中折れの形の持つ意味は何なのか、 構造的な意味があるのか等について、 「下屋説」「象徴説」など諸説が飛び出した。 筆者は保留つきながら「下屋説」を支持した。 以前見た一枚の写真が気になったからである。 東京に帰って、 早速The Traditional Architecture of Indonesia注1を引っ張り出して写真を探した。 それはインドネシア東部の島の一つSumbaの民家のものであった。
 Sumbaの屋根は丁度JawaのJOGLOの屋根を萱葺き(aang alangという)にしたような屋根であるが、 問題の写真はその屋根裏を見上げたもので、 中央の山形になっている屋根をささえている4本の柱の頂部に「鼠返し」が付いている。 つまり屋根の中央部の高くなっている所は、 穀物倉になっているのである。 勾配のきつい穀物倉に「下屋」を付けるとあの形になる。
 穀物倉の下を寝起きの場とするにはインドネシアの各地で見られることである。 穀物倉の下の使い勝手を良くするために「下屋」を付けることは自然なことであろう。 Baliの倉の屋根には廂がないが、 同じような形のLombokの倉にはぐるりと廂の張り出しがある。 布野修司は、 住居の屋根裏を穀物倉として利用する形が古く、 やがて独立した倉が造られるようになっただろうと述べている注2。 さらに幾つかの補強材料が見つかった。 JOGLOのDalemの中央の4本の柱で囲まれている空間はSokoguruと呼ばれているが、 この言葉はもともと石柱を意味する言葉であり、 かつてはイベリア半島に残っているような、 石の柱の上に建てられた倉がアジアにもあったのかもしれない。 しかし、 このことを示す資料は今のところ見当たらない。 したがってSokoguruは象徴としての杭柱を示す語なのかもしれない。 しかしこの言葉が、 橋の橋台(脚)という意味を持っていることから、 なにかを支えていた柱と見ることができないだろうか。

注1:BARRY DAWSON-JOHN GILLOW “The Traditional Archtecture of Indonesia” Thaes and Hudson, 1994
注2:石井米雄監修『東南アジアを知る事典』平凡社、 1986

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