the Urban Enviornment Design Seminar, Yogyakarta & Bali
左三角
前に 上三角目次へ 三角印次へ

いろ!(その2)

江川直樹

(現代計画研究所)

 幸せついでに、 もっと色を想う。
 帰国後の日本の秋。 秋の空はぬけるように青く、 深い。
 春は、 何となく白っぽく、 霞棚引く。
 浅い春は、 冬の名残のまだ冷たい空気と、 暖まりはじめた地表の空気の対流がある。
 秋は、 空が夏の名残であたたかく、 大地は冷えはじめて対流はおきない。
 青系統の色は、 人に涼味ないしは寒い感じをあたえるので、 寒色とよばれる。
 反対に、 赤・橙・黄等の色は、 暖かい感じをあたえるので暖色といわれる。
 暖色は男色とカンちがいするというので、 温色といっている品の良い先生もいるそうな。
 しかし、 この区別は温帯文化の色彩心理学の所産だそうで、
 国際協力事業団からシンガポールに派遣された荒木幹夫氏(NHK)はこう述べている。
 「当地、 シンガポールに赴任して一年、 やっと現地人の色彩感覚がわかってきました」。
 「空色が暖色と受けとめられているとは思いもよりませんでした」。
 すずしい感じをだそうと思ってデザインした空色の背景が、 赤道直下の国では、
 まばゆいばかりに照りつける太陽を連想させて不評であったことを報告しているのだ。
 「南の人たちは、 茶褐色が、 土に水をまいた色を連想してすずしいと感じるようだ」。
 このとき、 人間の感覚と色彩というものの本質に触れたような気がしたと言っている。
 「協力とは、 その相手の文化と感情に沿ったキメの細かいものでなければなりません」。
 「色彩と民族の感情を知ることも重要なファクターです」。
 これは、 海外協力の指導者である粟屋淳氏の言葉である(村山貞也『人はなぜ色にこだわるか』KKベストセラーズより)。
 海外協力から海外をとっても同じだと思ってしまう。
 うーん。 なかなか、 色の道は奥が深い。

左三角前に 上三角目次へ 三角印次へ


このページへのご意見は前田裕資

JUDIホームページへ

学芸出版社ホームページへ