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江川直樹
(現代計画研究所)
奥が深いので、 もう少し、 色と遊ぶ。
紺色が好きである。 (緑色も好きだけど……?)。
〈ちなみに、 一枚目に添付の写真は、 美しい紺色である〉。
南芦屋浜では、 6つの連続するピロティの北側の倉庫の扉を、
連続した共通の色の壁パネルにした。
パネルのブルーは日本の伝統色・濃藍。
インド原産の藍のインディゴ(indigo)は、 紀元前から使われていて、
あらゆる民族の基本色をつくったといわれている。
さて、 数十年を草木染めに打ち込んできた志村ふくみさんの本である。
『一色一生』(第10回大佛次郎賞 昭和57年、 求龍堂)。
……染めるという技は、 人だけの技術ではなくて、
「色の背後にある植物の生命が色をとおして映し出されている」のであり、
「こちら側にそれを受けとめて生かす素地がなければ、 色は命を失う」のである。
「植物にはすべて周期があって、 機を逸すれば色は出ない……」。
「たとえ色はでても、 精ではない……」。
たとえば、 美しい花を咲かすために樹全体が、 その時期の到来を待って、
じわじわと体に貯めている生命(いのち)をとりだす技なのである。
植物染料は、 色が「生まれる」というのが適切で、 染師は、
「自然がそこに準備し、 貯えておいたものを導き出す手伝いをしている」のであって……。
染師は「藍が建つ」のを待ち、 「樹が熟するや一瞬それをとりあげる」技術が、
草木の精をもって発色をうながす(村山貞也『人はなぜ色にこだわるか』KKベストセラーズより)。