the Urban Enviornment Design Seminar, Yogyakarta & Bali
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歴史の重層性

小浦久子

(大阪大学)

 ジョグジャカルタの田舎めぐりをした。 田植えされた水田風景は、 あぜ道に椰子の木がなければ、 日本の風景に見まがう。 村を歩いているとき、 「これはお墓」とアルディさんが説明してくれた。 まだよくわからないが……という彼の話を聞きながら、 イスラム教のなかではあるべきではないけれど、 ジャワの伝統的な世界観のなかにあるもので、 先祖を祀ることにつながっているもののようである。
 長い歴史のなかで、 プロテスタントをもたらしたオランダ人も、 イスラム教をもたらしたアラブ人も商人であったことからか、 ジャワでは宗教の排他的おしつけがみられず、 ジャワの伝統的精神はしたたかに生き続けていると感じることが多い。 新しいものがジャワの文化のなかでジャワ的になっていく。
 コタグデの大モスクを囲む塀や門のつくりは、 ヒンズー的だし、 日本軍によってもたらされたといわれる、 隣組・RT(ルクン・タタンガ)や町内会・RW(ルクン・ワルガ)も生き続けている。
 RTごとに夜警の担当があり、 共同作業もある。 夜警という生活のしくみのほうが、 隣組よりもっと古くからあったのだろう。 様々な異文化・異宗教がはいってきても、 ジャワの文化のなかで消化する力がまだある。
 ジャカルタでは、 近代ビルが建ち並び、 大規模開発が進む。 近代のデザインや技術に対してはどうなのだろう。

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