the Urban Enviornment Design Seminar, Yogyakarta & Bali
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路地

小浦久子

(大阪大学)

 震災以降、 身の回りでこれまで見慣れた場所がどんどん変わっていくなかで、 変わらないのは、 こわれなかった地区をのぞけば、 山並みと海の存在くらいである。 そのなかで持続するものは何なのだろうと思いながら、 今回のテーマが歴史的環境だった。
 歴史的環境といっても、 京都でも明治の町家がほとんどである。 歴史的環境はそのまま残すとかという問題ではないだろうが、 今だからこそ、 歴史的まちなみではなく「環境」というところに意味があるように思う。 住み方は文化であり、 それが環境をつくる。 また、 地球環境が問題になって、 車の利用を前提とする都市が評価を下げはじめ、 地域の気候や生態系と共生することが再評価され、 エネルギー利用が再検討され始め、 一周遅れが最先端に成り得る。 生活環境として伝統的環境が豊かであると選択できるようになってきた。
 しかしそれも破壊しながらも経済的繁栄を経験したから言えると言われることが多い。 破壊してきた経験をどのように伝えるのか。 下水処理も、 水道も、 エネルギー供給も個別的・分散的に処理する技術を選択できるようになっている。 技術がもっと地域の生態系に近づく方向もある。 開発による豊かさの選択が多様になった。
 それでも車を敷地内に止めることを選ぶかもしれない……。

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