前に 目次へ 次へ聖なる水を汲む子供たち
鳴海邦碩
(大阪大学)
バリ島、 ティンブラ。 辻本さんが「瓶をもった女の子たちがあっちへ行った。 追いかけて私も行きたい」と、 あわてふためいてやって来るのに出くわした。 「そろいの身なりで、 何かみんなすまして歩いて行った」のだそうだ。
見当を付けて行って見るのだが、 見当たらない。 お店の主人に聞いてもらったところ、 行き先のおよその場所がわかった。 そっちの方に行き掛けに、 今度はもどって来る子供たちに出会った。 写真で分かるように瓶を頭に載せて、 整然と、 それも足早に歩いている。 追いかけるのにこっちが駆け足になるような早さだ。
祭りに用いる聖なる水を汲む儀式で、 初潮前の女の子たちがそれを担うのだそうだ。 それにしてもみんなきりりとした顔立ち。 こうして伝統を学んで行くのである。