the Urban Enviornment Design Seminar, Yogyakarta & Bali
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KOTAGEDE 路地の大道商人

丸茂弘幸

(関西大学)

 路地に沿う建物が開放的でそこを歩きながらまわりのアクティビティを感じ取れる場合はよいが、 閉鎖的な塀や壁が延々と続くとなると、 さすがの路地もしばしば単調な印象を与え、 時には圧迫感すら覚えることがある。 どちらかというと日本の路地は開放型、 インドネシアの路地ガングは閉鎖型である。 路地が閉鎖的であるだけにかえって塀の中に入ったときの開放的な住戸の印象が一層鮮やかになるのだが。
 路地の町コタ・グデでも路地空間そのものは閉鎖的で単調な印象はぬぐえない。 そんなことを考えながら歩いていて出くわしたのがこの写真。 狭い路地と路地の交点の建物の角をほんの少し欠いてできた空間に店開きしている。 地面から数十センチ上がった床だけのこの空間は、 建築空間というよりもむしろ街路空間的である。 品物のならべ方から人の座り方まで、 店舗の構えというよりもむしろ大道商人そのものだ。
 アジアの都市ではどこでも見かける大道商人は、 その場に人間的なスケールと賑わいを与えるかけがえのない存在である。 しかし大道商人はやはり大道でしか成り立たない。 狭い道では露店を開く空間的余裕もない。 本来人間的なスケールをもっているはずの路地も、 機能的にはただ通るだけがやっとということになりがちである。 路地の大道商人とは矛盾した言い方になるが、 こんな工夫がどれだけ路地を豊かにすることか。

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