前に 目次へ 次へインドネシアの雨はまっすぐ降る?
山本茂
(生活環境問題研究所)
インドネシアでの1週間の滞在期間中に降雨はたしか3回経験した。 最初は一日目のサヌールのホテルの夜。 疲れてウトウトしているとザーッと音がして、 ああこれが話しに聞いていたスコールだなと思った。
2回目はボロブドゥールからの帰りの車の中。 急に視界が悪くなり、 よく見ると道にもまわりの田圃にも雨が降っている。 しかしフロントガラスを叩きつけるような激しい降り方ではない。
3回目はウブドゥのコテッジの夜。 まわりに繁る椰子やバナナの葉がサラサラと音を立てるので外を見ると雨。 雨は相当降っているのに、 木々の葉っぱが受けとめて音は小さい。 それにしても、 窓のない南側の開口部(写真)に雨が吹き込んでくることはないのかな−と考えて気がついた。 雨がまっすぐ降っている。 そういえばインドネシアに来てから風を感じたことがない。 赤道直下にあることが影響してか風が少なく、 雨はまっすぐ降るのではないか−こんな推理をした。
そのことの真偽は別として、 インドネシアの雨はやさしく降る。 ザーッと降るスコールさえも、 森や田圃や藁葺き屋根にまっすぐ降って、 しみこんでいく。 まるで天のジョロから水が落ちてくるように。 このやさしく、 まっすぐ降る雨によって、 米や野菜や椰子やバナナが育つ。 それを見て知っているインドネシアの人は、 神や精霊を信じ、 敬うのかと思った。 インドネシアの自然共生は、 どこかの国のように流行やかけ声だけではない。