インドネシアの露店・ふり売りは分散型バール?
山本茂
(生活環境問題研究所)
インドネシアに滞在中にいろいろな小さな店や露店、 ふり売りを見た。 コタグデの細い路地に面した軒下では、 主婦が野菜を売っているというより近所の人と井戸端会議をしていた(写真)。 路地ですれ違った果物売りは、 にこっと微笑んで通り過ぎていった。 夜のマリオボロ通りでは座敷つき屋台が歩道に並らび、 数人の客が足を投げ出してしゃべりながら食べていた。 バリのトゥンガナンの小学校前の広場では、 ラーメン?の振り売りがきて、 子ども達が買い食いをしていた。
『神々と生きる村 王宮の都市』の中によろず屋のことが書かれてあり、 店を開いた理由は「現金収入を得るため」のほかに「近所の人のためにやっている」があったことや、 井戸端会議の場所になっていることが紹介されている。 わたしの見た小さな店や露店、 ふり売りも、 人々のしぐさや表情からコミュニケーションの場としての役割が大きいと感じた。
昨年イタリアに旅行したときに、 小さなまちの広場に面してバールがあった。 朝早くから夜遅くまで子どもから老人までがやってきて、 世代や仲間ごとに集まって飲んで、 食べて、 しゃべっていた。 このバールがなくなったらこのまちはどうなるのだろうと、 バールの役割に感心したものだ。 こうして考えているうちに思いついた。 インドネシアの露店やふり売りは分散型バール?。