the Urban Enviornment Design Seminar, Yogyakarta & Bali
左三角
前に 上三角目次へ 三角印次へ

バリの花

辻本智子

(環境デザイン研究所)

 ウブッドのコテッジでは、 毎朝掃除の後にハイビスカスやプルメリア・サンタンカの花をベットの横やテーブル・灰皿の中までに飾ってくれる。 庭を歩いて見ると部屋の前に飾られた象やおサルのオブジェにもハイビスカスが飾られている。 「まあ誰、 こんなところにまで花を飾って!!」良く日本のお地蔵さんにもおもしろがってこんないたずらをしていることがある。 私は最初、 このオブジェの花までが神への祈りの花とは気づかなかった。 でも毎日置き換えられている様子を見てそれが神事であることがわかった。
 バリの神事によく使われる花は基本的に東南アジアからインド洋地域原産の花で、 周年開花する花木で、 花びらが硬く、 造花のように強いものである。 よく目にしたのはハイビスカスとしては結構控えめのブッソウゲ系の下をむいて咲くインド洋諸島原産の赤い花である。 レッドジンジャーと言われ赤い花を咲かすショウガ科のアルピニア・プルプラタ、 アジアからアフリカまで原産分布する美しい蔓性のツンベルギアはブルー、 白と私の好きな花色の物が多い。 そしてサンタンカ。 結構カラーコディネートがよく赤、 オレンジ系に赤葉をよく使う。 そして決して赤系にピンクをいれない。 日本ならすぐ赤、 黄、 ピンク、 オレンジといろんな色使いたがるのに町毎にうまくコディネートされている。 原産の植物のうち偶然強いものが残り、 たまたまそうなったのではとインドネシアの学生さんが言っていたが、 私はいくつかの町で異なるカラーコディネートがされているのも見て決してそう思えなかった。 結構デザインセンスが良い。 原産バリの民芸品やアート見てもその色づかいの美しさが感じられる。 そして必ずしもアジア原産の花ばかりでなく、 アジア原産の中にブーゲンビレアやプルメリアといった南米原産植物も使われている。
 日本では農家の庭先に小菊が植えられ、 その花がお墓に飾られる。 バリでも各家の庭にはブーゲンビリアやハイビスカスが咲いている。 毎日よく咲くこの花たちを神事に使っている。 飾り方は日本とバリでは大変異なる。 欧米のお墓の花はリースやコサージュ等アレンジしたものであるのと同じように、 バリの神事の花もフラワーアレンジメント的であった。

左三角前に 上三角目次へ 三角印次へ


このページへのご意見は前田裕資

JUDIホームページへ

学芸出版社ホームページへ