ルーフスケープ(屋根並み)について
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軽視されてきた屋根

鳴海

改行マーク屋根は建築の重要な要素ですが、 建築の要素としてだけではなく、 都市の景観を考える時にも重要です。

改行マーク初歩的な話しですが、 壁があって、 床があって、 屋根があるというのが建物の基本です。 しかし、 世界中の住宅を見てみますと、 すべての建物に屋根がある訳ではありません。 乾燥地域に行くと、 日干しレンガなどを積んで壁を作り、 そのうえに日射をさえぎるだけの天井を渡すというフラットルーフの屋根があります。 雨が降りませんので、 雨じまいとかそういうものが全然いらないのです。 もちろん雨の多いところでは、 傾斜のついた屋根が一般的です。 たとえば日本の子どもが建物の絵をかくと、 かならず傾斜のある屋根がついています。 傾斜の付いた屋根で、 建物とか家をシンボライズしているわけです。

改行マークところが、 20世紀の近代建築の時代の中で、 屋根を作らない、 ボックスが建築であるという考えが主流になりました。 そこでは屋根という概念ではなく、 屋上空間となり、 傾斜屋根のある建物は新しい時代のものではないとされたのです。 屋根が無いため、 雨じまいなど技術的な面でも変化が起ります。 建築家固有のある種のイデオロギーによって、 屋根のない建築が新しいという一つのファッションが生まれて来た時代でした。

改行マークとはいえ普通の庶民の建物・住宅には、 地域固有の屋根が相変わらず使われていました。 しかし、 その地域によって違う屋根も、 今やカタログ化し、 ヨーロッパの屋根が日本に入るなど、 地域固有のものが無くなってきています。

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