しかしまた、 今は屋根の持つ意味が段々と変わってきているようにも思います。 屋根と言うより屋上という捉え方でその使い方を考えると、 屋根の役割も従来とは相当変わってくるのではないでしょうか。
例えば、 環境共生型の建物では緑化した屋根が出てきましたし、 太陽光を利用したソーラーハウスも出てきました。 太陽や緑、 空気(断熱も含めて)に配慮した屋根がこれからどんどん出てくる可能性があります。 ですから、 冒頭に述べたような物置だらけの屋上の惨状は、 とてももったいない。 もっといろんな使い方を考えた上でデザインしていただきたいと思っています。
江川さんは建築デザイナーの立場からコメントされたと思いますが、 私はまちづくりをしているプランナーの立場から話しています。 ですから、 やはりコミュニティ・デザインに興味があります。 デザインを共有することで、 ほっとする、 豊かな気持ちにさせてくれる、 幸せな気分になるような町や空間ができたらいいといつも思っています。 その大きな要素が屋根であることは間違いないでしょう。
中高層の建物に屋根をつけるかどうかについては、 われわれ公団住宅の建物でも千差万別でマニュアルがあるわけではありません。 どちらかというと、 担当者の恣意的なところで決まっています。 しかし、 屋根の形だけがどうこうではなく、 まちづくりのプランナーとしてはそこに住む人たちの意見も聞きながら、 共有の方向を探っていき、 ルーフスケープデザインを決めればと思っています。
最後に、 先ほどの繰り返しになりますが、 これからの屋根は屋上の新しい使い方を考えた上でデザインを考えていただきたい。 これで、 私のコメントを終わります。
屋上の使い方を考えていく
屋根の新しい役割
ところで、 我々は建物を屋根だけで考えているわけではなく、 トータルに見ていきたいと思います。 都市の混乱の中で屋根をどう考えるかは、 その中でも重要なテーマです。 コミュニティをまとまりと訳すのは乱暴かもしれませんが、 これからのまちづくりでは、 秩序感や領域性があるなかで、 ほっとする空間を作り出していくことが重要で、 その時屋根の持つデザイン的役割は大きいでしょう。
屋根の形よりも全体のデザインが問題
私は都会の屋根の形にはあまりこだわっていません。 ただ個人的には傾斜屋根は好きで、 いろんなデザイン要素にそれが使われているのは見ていて気持ちがいいと思っています。 しかし、 それも屋根のデザインだけで決まるものではないはずで、 街全体のデザインにとってどうなのかを考えていただきたいところです。
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