パブリックを問う(1)
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 大きい公共空間をつくる時には、 かなり大きなお皿が必要になってきます。 その時に、 一言で言ってしまえばファミリーレストランのような公共空間が多すぎるのではないかと思っていたわけです。 何かとても親切で、 ここに来れば楽しいし、 人々との交流もあります。 くつろげるわけです。 ところが、 そうでない公共空間も、 とても大事なのではないか。 河原に行って、 川面を眺めている時の寂寞感といいますか、 楽しいよりむしろ悲しいような風景です。 空間的に言うとボイドな感覚です。 何もない「空き」みたいなもの、 それを重要視したわけです。 ですから単調な桜の並木をつくりました。
 写真は品川の近くの運河のお祭りです。 普段はまったく何にも使われていない無機能な空間ですが、 お祭りの時にだけ船が出てきて専有するわけです。 そういうボイドな感覚と、 全く私有化されたプライベートな使われ方が現れる期間との対比がある、 脈打っているというあたりが、 その空間を公共化させるのではないかという気がします。
 歴史をひもといてみると、 この品川には目黒川という小さな川がありました。 その河口部分にドックがあり、 そのドックの形が、 この品川千本桜のオープンスペースとして最後まで残ったとも考えられます。 この間には国鉄が新幹線の車庫として使ったりと、 いろんな経緯がありました。 ランドスケープの設計をしていきますと、 土地の歴史みたいなものによくぶつかります。 その中で、 例えば運河であるとか線路敷きのような、 何もない長大な空間を大事にしたいと思っています。

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