ミュージアムの計画というと、 一部の人がコンセプトを考えて展示業者にお金を払ってつくってもらうというのがほとんどです。 こういうものが出来ました、 みなさん来て下さいという状況になることが多いように思います。 確かに一番やりやすいやり方ですし、 これからもそのスタイルが主流でありつづけると思います。前に 本文へ 次へ
しかし、 今回のプロジェクトでは、 このブラジル移民センターに思いを持った人がたくさんいらっしゃるわけです。 こういうことをしたい、 ああいうことをしたい、 でもお金はないと。 僕らが取材をしていくなかで、 そういう思いを持った人達がたくさん出てきて、 どんどん人がつながっていきました。
この間は在日外国人問題に取り組むNPOの代表の方と知り合ったのですが、 その方からブラジルから出稼ぎに来ている人の子どもたちの教育が問題になっているという話を聞きました。 そこでその子供達向けの学校のようなものをここでつくれないかという話になりました。 学校は難しいけれども、 ボランティアで語学教室的なことをやっている団体はあるわけです。 彼らと組めば場所さえあれば協力してくれるわけです。 これはお金をかけて本格的な学校をつくることとは意味合いが違うと思うんです。
また、 ブラジル系の企業には、 移民と関係の深いコーヒー会社などがあって、 カフェをするのであればブラジルのコーヒー豆をただで支給してあげようという協力の申し出が来たりしています。 ひとつひとつは小さいことですが、 それが積み重なっていくことが大切なことだと思います。 「船頭多くして…」というあまりよくない意味のことわざがありますが、 僕は逆に船頭が多い方がこの施設は面白くなるのではないかと考えています。
トップダウンではなくて、 ボトムアップ、 本当にやりたい人・やれる人を集めてつないでいって、 一つの施設をつくっていくということは、 出来うるのではないかと思っています。 これから資金の面等でまだまだ頑張らないといけませんし、 こういう手法というのは、 一般的な手法ではありませんので、 障害も多いのですが、 ひとつの試みとして実現させたいと思っています。