若者が取り組む都市環境デザイン
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神戸アートセンター構想

―企画の作成と提案へ

画像wa017 改行マーク企画書としてまとめたものを建物の持ち主である神戸市に持っていきました。 写真では99年6月と書いてありますが、 98年のことです。

改行マーク僕らの普段の業務でもそうなのですが、 話し合いを重ねるなかで問題になったのは「実際誰がやるんだ」ということでした。 幸い僕がたまたま知っていた「C.A.P.」という神戸のアーティストのグループが僕の企画に賛同してくださり、 このプロジェクトがスタートしました。

画像wa018 改行マーク1年以上やっているなかで、 ダメになりそうになったり、 試行錯誤もありました。 現状(99年7月)では、 アートセンターとしてずっと使うのは難しいのではないかという話になり、 6ヶ月間だけ暫定で使ってみてはどうかという話になっています。 「C.A.P.」はある程度資金を持っていますので、 それを活用してやってみてはどうかということに、 ほぼ決まりかけています。

改行マークアートセンターでは、 交流をテーマに、 ワークショップやアートカフェなど、 様々なメニューが考えられています。 そのなかでブラジル移民のセンターであったということを記念するようなミュージアムを中につくるべきだという意見が自然に出てきました。 その企画を誰かやらないかとなった時に、 僕が名乗り出たことがきっかけで、 今日の本題であるミュージアムの企画がスタートしています。


神戸アートセンター構想
―ネットワーク型ミュージアムの実施にむけて

画像wa019 改行マークこれまでの業務の中で僕もミュージアムの仕事をしたことがあるのですが、 出来たものが展示されて、 見る側、 見られる側となってしまうと、 空しさを感じる部分がありました。 そこで出来ていく過程やつくっていく過程にいろんな人を巻き込みながら、 出来上がったものにみんなが愛着を持つということが出来ないかと考えました。

改行マーク言い換えれば、 みんなが参加できるミュージアムをつくりたい。 そして資料や写真の展示といった「モノ」だけを扱うのではなく、 いろんなイベントなど「コト」をミュージアムのなかでどんどんやっていくと面白いのではないか。 そして、 1部屋からスタートして3部屋、 4部屋になるとか、 期間中に展示品が増えるとか、 予定外のイベントの企画が出てくるなど、 成長し続けるミュージアムをメイン・コンセプトとして打ち出しています。

画像wa020 改行マークこれは市長向けの資料として僕たちが作ったものです。 第1段階、 第2段階、 第3段階とありますが、 最初は、 僕らボランティアの企画チームが勉強も含めて取材をしたり、 市民やブラジル移民の関係者の人たちと一緒に企画を練っていきます。 何もない所からみんなを巻き込むというのは難しいので、 最初は僕らがコアになっていくということです。

改行マーク第2段階で施設がオープンし、 いろんなイベントの運営をやっていく時には、 関係する人たちをすでに巻き込んでいますので、 愛着をもって来ていただくことができるわけです。 こうした段階を経ることによって、 もっと違う、 こういうことも出来る、 ああいうことも出来ると、 どんどん企画の内容も増やしていくことが出来るのではないか。 今はそういう可能性を模索している状況です。

画像wa021 改行マークミュージアムの計画というと、 一部の人がコンセプトを考えて展示業者にお金を払ってつくってもらうというのがほとんどです。 こういうものが出来ました、 みなさん来て下さいという状況になることが多いように思います。 確かに一番やりやすいやり方ですし、 これからもそのスタイルが主流でありつづけると思います。

改行マークしかし、 今回のプロジェクトでは、 このブラジル移民センターに思いを持った人がたくさんいらっしゃるわけです。 こういうことをしたい、 ああいうことをしたい、 でもお金はないと。 僕らが取材をしていくなかで、 そういう思いを持った人達がたくさん出てきて、 どんどん人がつながっていきました。

改行マークこの間は在日外国人問題に取り組むNPOの代表の方と知り合ったのですが、 その方からブラジルから出稼ぎに来ている人の子どもたちの教育が問題になっているという話を聞きました。 そこでその子供達向けの学校のようなものをここでつくれないかという話になりました。 学校は難しいけれども、 ボランティアで語学教室的なことをやっている団体はあるわけです。 彼らと組めば場所さえあれば協力してくれるわけです。 これはお金をかけて本格的な学校をつくることとは意味合いが違うと思うんです。

改行マークまた、 ブラジル系の企業には、 移民と関係の深いコーヒー会社などがあって、 カフェをするのであればブラジルのコーヒー豆をただで支給してあげようという協力の申し出が来たりしています。 ひとつひとつは小さいことですが、 それが積み重なっていくことが大切なことだと思います。 「船頭多くして…」というあまりよくない意味のことわざがありますが、 僕は逆に船頭が多い方がこの施設は面白くなるのではないかと考えています。

改行マークトップダウンではなくて、 ボトムアップ、 本当にやりたい人・やれる人を集めてつないでいって、 一つの施設をつくっていくということは、 出来うるのではないかと思っています。 これから資金の面等でまだまだ頑張らないといけませんし、 こういう手法というのは、 一般的な手法ではありませんので、 障害も多いのですが、 ひとつの試みとして実現させたいと思っています。

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