若者が取り組む都市環境デザイン
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セミナーを終えて

三宅正弘環境デザイン研究所 三宅正弘

改行マーク ずいぶん都市環境デザインは変わった。そう感じさせられたセミナーであった。特に参加者からその印象を鮮明に受ける。顔触れが、華やかになった。文科系というよりも、情報・政策を専門とする人や学生が積極的に参画するようになってきた。特にその分野の女性の参加が目立つ。セミナー案内の情報化も関係しているだろう。我々がこの世界に入ったときには、同様の会に集まる若手は、主に建築系・計画系が中心であったが、新たな仕事をつくろうとしている彼女たちに見習う姿勢が必要だ。今や環境デザインも計画系だけの関心ではなくなっている。都市環境デザインの社会的な広がりを改めて認識させられる。今後、こうした様々な専門家との共同で仕事をすすめていかなくてはいけないだけに、都市環境デザインの広がりに飲み込まれないよう、個々の技能を明確にもつ必要を感じた。求められる仕事も高度になっていくであろう。

改行マークしかし、将来、都市環境デザインは存在するのであろうか。次にそのことを感じた。これまでは、JUDIの先達たちを追ってきたが、我々の時代は明らかにまた異なる時代になるであろう。我々に仕事があるだろうか、先達がそうであったように、新たなスタイルと仕事を創っていかなければならないことは確かである。バブルの時に学生だった我々は、「景観」や「都市像」といったテーマに惹かれた。当時はおもしろい仕事で食っていけると明るく感じていたが、気づくとそうはいかない。社会が都市環境デザインに期待することも変わってきた。報告者それぞれもこの数年の間に、個々の技術をいかして個性を発揮するようになっている。同時代でも、人間を介した空間や景観のおもしろさを感じる人、また人的ネットワークやまちづくり組織に力を入れる人がいる。実際にはこの2つが入り交じり仕事をしているが、こうした細かい専門分化と、同時にさらなるコーディネイト力も求められる時代が見える。

改行マークいずれにしても今回の参加者は、誰もが各々の立場や専門のなかで、既成の仕事ではない、新たな領域の仕事を模索している。その詮索への欲求が随所でみられた。その欲求の集まりが形になっていくのがこれからの楽しみだ。この多彩な分野の人同志によるコラボレーションのなかで、きっと新たな領域ができていくような予感がした。それは都市環境デザインではないかもしれない。それは先達ではなく、我々の新たなネットワークが見つけていくものだ。

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