自分たちの街はなぜ衰退したのか、 衰退はどこまで進むのかをみんながしっかり把握したうえで事態に対処することが、 まちづくりの出発点にはどうしても必要です。
街が衰退していく原因はいろいろあります。 交通の便が悪くなった、 強力なライバルが出現した、 自分たちの店が古くなって時代に合わなくなった、 若い人がいなくなって店の経営に力がなくなった等々。 そういう原因を認識した上で、 問題意識を全員で共有しておくことが大事なのです。
ただ、 原因の大半は住人自身にあることが多いのですね。 ところが、 街が衰退してくると「行政の責任だ」「大型店がよそに出来たからだ」と責任を転嫁して、 自分たち自身は何もしようとしない。 それが日本のまちづくりがなかなか進まない理由のように思えます。
皮肉な話ですが、 まちづくりが成功したところは、 住民全員が一度は絶望してまちづくりを投げ出してしまったところです。 「もう、 何とでもしてくれ」と開き直ったところが一番成功率が高い。 つまり、 生半可な落ち込みで「これから悪くなるのじゃなかろうか。 以前は良かったのに」と考えているような段階では、 なかなか再開発は出来ないし、 住民自身もその気にならないということです。 そうした、 とことん落ち込んだ所から再生できた街の例を紹介します。
2。 まちづくりの出発点
とことん落ち込むこと
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