5。 高知市のジャスコ進出について
6万m2の出店は止められるか
私はまちづくりの理論についてはよく分かりませんが、 自分の体験から実感としてまちづくりをとらえています。 そういうことを踏まえ、 今度は高知市の中心市街地について考えたいと思います。
住人として以前から気になっていたのですが、 高知市はJRで南北に分けられた街で、 南から北へ行くいい道路がないのです。 その道路の一番北、 高知駅から300mほどの所に敷島紡績の工場跡地と隣の県所有地を買い取って、 ジャスコが6万m2という途方もない大きさの大規模店舗を出店すると表明しました。 昨年のことです。 これが実現すると、 高知県の経済にとっては衝撃的なことになります。 6万m2というと高知市の中心商店街の総面積に匹敵します。 おそらく大型店と専門店をミックスした新しい街が出来ることになるでしょうが、 既存商店街は対応できるのか。 大店法があった数年前なら、 すぐにでも出店を止めていたところです。 しかし商業者にとって悪いことには、 今は住民の意向が「規制緩和」の方を向いているのです。
ですから、 こういう状況下ではジャスコへの反対運動は非常に難しい。 そうは言っても、 私自身、 6万m2という店舗は高知県全体の経済から言っても大きすぎると思います。 既存商店街にしてみれば、 勝負は最初から見えている状況です。 私はこんな競争が行われるのならば、 かえって自由競争の阻害になると思っています。 自由競争のリング自体が最初からおかしくて、 まるでライト級とヘビー級が戦うようなものです。 ひいては住人の生活にも影響してしまうのではないかと思います。
今の法律のもとではどうしようもないことは分かっているのですが、 ジャスコには何とか縮小していただきたい。 それを交渉できるのは市長か知事しかいないと思います。 しかし、 仮に縮小しても2割ぐらいの縮小にしかならないでしょう。 それでも縮小してもらわないと、 既存商店街との自由競争はおかしくなってしまいます。
では、 2割縮小して4万8千m2の店舗であれば、 中心市街地は影響を受けることはないのか、 です。 そんなことはないわけで、 やはり大打撃でしょう。 しかし、 反対運動をしても最終的には出店を止めることはできないでしょう。
ですから商店街が今するべき事は、 反対運動もさることながら早急に対策を立てることです。 今私が見ていて思うのは、 商店街のみなさんの意識はジャスコ反対の方に向いていて、 出店されてしまった後の対策が遅れているのではないかということです。 出店されてしまった後のことを考えていくことが、 商店街にとって大事ではないかと思います。
商店街は勝てるか
ジャスコの今回の出店は、 単に大型店が出来るだけでなく、 新しい街が出現するということなんです。 しかも計画的に作られますから、 既存の街よりはきれいだし、 便利で買いやすい。 遊びの場所もあるし、 駐車場も無料ということで、 商店街にとってはすごい強敵です。
そんなにすごいのなら商店街にまるで勝ち目がないのかというと、 そんなことも絶対にありません。 中心商店街が総力を結集して、 適切な戦略を立てて実行していけば、 必ず活性化できるはずです。 中心商店街は、 政治・行政から様々なサポートもありますし、 それを活用すれば、 充分に勝ち目はあります。
ただ何もしないでジャスコに負けてしまうと、 今度は第2、 第3のジャスコが進出してくると考えられます。 こうなると、 高知市のまちづくりは本当にゴチャゴチャになってしまいます。 ですから、 早く戦略を立てていくことが大事なのです。
では、 そのためにどんなことを考えたらよいのか。 最後にそれを述べたいと思います。
このページへのご意見は前田裕資へ
(C) by 都市環境デザイン会議関西ブロック JUDI Kansai
学芸出版社ホームページへ