続いて、 徳島市の中心市街地活性化への対応について、 島さんのご報告をうかがいたいと思います。 徳島市ではすでにTMOの作業も中心市街地基本計画と並行して進んでいるようなので、 その辺も含めてお話しいただければと思います。
最初になぜ徳島市がこういう計画を立てるに至ったか、 そして今どういうことが課題になっているかを報告いたします。
昨年(1998年)明石大橋が開通し、 東京・阪神へ消費者が流出してしまうのではないかと、 徳島市の中心市街地では大きな危機感を持っておりました。 ですから、 メイン商店街ではアーケードとカラー舗装を全面リニューアルし、 内装・外装や個店の建て替えも含めて対策を打ってきたわけです。 これはTMOが出来る前に完成しました。 ファサードは統一しようと、 メイン商店街が最初に動き出しました。
それだけではダメだろうということで、 もうひとつの仕掛けを用意しました。 それが「パラソル・ショップ」です。 徳島駅と眉山の間に新町川が流れているのですが、 新町川沿いにボードウォークがあります。 ボードウォークの両側が公園になっていて、 橋でつながっています。 これは商店街振興組合が4年前に作ったものです。 そこに大橋が開通する前に「パラソル・ショップ」を立ち上げました。 旧来の商店街にはできないことを始めようとしたものです。
約50本のパラソルがボード上にズラッと並んでいるのですが、 誰でもそこで店が出せるという形態にしています。 業種については商店街がコントロールすることにして、 出店希望者を募りました。 いろんな人が参加しているのですが、 若い人が中心です。 ワッフルや小物、 昔のおもちゃなどなるべくファッション性の高い品揃えになるようにしています。
1年たったのですが、 お客がつく店も出てきて、 そんなお店が3人ほどパラソルから商店街に出店しました。 インキュベーターのような機能も果たしつつあります。
そんな背景があることから、 徳島市の中心市街地活性化基本計画の策定と、 商店街のTMO構想を早めに準備しないと間に合わないと、 両方始めることになったのです。 市の基本計画は策定した後、 今年(99年)4月に国に提出しました。 TMO構想は、 地元商店街の主な商店街9つが参加して、 中心市街地活性化推進協議会を作りました。 TMO構想案は99年3月に策定いたしました。
この経緯の中で、 事業内容やどういう区域で何を行うかといった議論も当然でたのですが、 それと同時にTMOをどうするのかの議論も行なわれました。 ですから、 両方の整理をしていかなくてはならないものですから、 非常に難しい、 もみくちゃにされたというのが正直なところです。
TMOと基本計画はこういう流れがあるのですが、 徳島市の現在の計画策定区域(図3)は75haあります。 その中に協議会に参加した9つの商店街と周辺の商店街が入っています。 これらの商店街がかかえる問題については、 これから順次出てくるだろうと思うのですが、 基本計画、 TMOを作る際の大きな課題は、 やはりTMOの組織論であろうと思います。 これからやっていく事業と組織をどれだけ効果的にやりうるか。 それがうまく整理できていないのが今の現状です。 その中で商店街側の事業や市の公共事業を組み合わせながらやっていかなければならないのですが、 どういうふうにプログラム化できるかが重要な課題です。
商業者の組織としてはTMOだけでは無理だろうと考えています。 TMO組織は今のところ第三セクターか商工会議所しか受け皿はないのですが、 初めてこういうことをやろうとするならば、 やはり商店街自身が最初にまとまる必要があるはずです。 ですから、 この区域の中の商店街が全部集まって、 新たに中心市街地商店街連合会(仮称)を設立することが決まりました。 書類は全部出来上がっていて、 TMOが出来次第、 連合会を設立して法人化する予定です。
3。 徳島市中心市街地活性化への対応
島博司(集環境計画)
大谷:
明石大橋への対応
島:
基本計画とTMOの同時立ち上げ
これらの活動の上に、 98年の4月から基本計画策定の話が始まりました。 20年ほど前に行ったアーケードも老朽化してきたので、 本格的に商店街の活性化に動かなくてはいけないだろうということになりました。
徳島市での検討体制等
また、 もうひとつの理由としては、 先ほど高知市へのジャスコ進出の話がありましたが、 徳島市にも大型店進出の話が出てきたからです。 中心部から北の吉野川を渡って4kmほどの所に北島サティが来年(2000年)の春に開店します。 当初は3万m²の予定だったのですが、 2割の面積削減をしました。 またこれ以外にも、 床面積10万m²、 敷地面積20haという大型店が中心部から南へ4kmの所に出店するという発表がありました。 それは2年後の開店ですから、 もう少し時間がありそうです。
TMO組織の課題
TMOについては、 徳島市から「財政難の中で第三セクターを新たに作るのは難しいから控えたい」という発表があり、 TMOの受け皿を商工会議所でお願いできないかと、 この正月以来、 ずっと検討を続けています。 現在も、 商工会議所でどういうTMOができるかについては検討中です。 商工会議所では特別委員会を設置して、 この7月下旬から検討をスタートしています。
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