中心市街地活性化への対応
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2。 中心市街地活性化計画の課題と展望

島博司

改行マーク一番困る質問ですね。

改行マーク高齢化、 少子化の問題もみんな含まれてきますが、 日本の都市が色々抱えてきた積年の問題がたくさんあります。 それが圧縮されているのが中心市街地の活性化の問題で、 それにアタックしていかなくてはなりません。 これはもともとあった問題ですから、 ちゃんと継続的にそこの都市が考えていかなければならない問題ですし、 色々な地域の関連の団体も考えていかなくてはならない問題です。 すぐにその答えが出ることではありません。

改行マークただ、 通産省主導の今回の活性化の計画は、 ある意味で今回の不況を乗り切るための一つの手段として登場したということが確かにあります。 それをAll JAPANで進めていくことに相当無理があると考えています。

改行マーク日本の商店街の中で空き店舗率が一番高いのは四国です。 丸亀にしても、 商店街の空き店舗率は相当高いものがあります。 ですから、 自然淘汰されていっている状態でもあります。 そういった商店街の活性化を、 トータルで見ていくことと、 具体的に事業を立ち上げていくということがあるのですが、 TMO組織論が一つ入ってきていますから、 今回の話の整理がなかなか難しい。 基本的な問題をきちんとやりながらTMOをつくっていくのは、 相当時間がかかると思います。 その間に、 消えていく商店街がでてくるということになってしまいますので、 TMOをつくろうとつくるまいと、 相当が減っていくと思います。

改行マークそういった議論をする時、 優先順位といった話をせざるを得ないのですが、 中心市街地について、 これまでとは違う、 どのような見方をすれば良いのかということが問われています。 例えば、 これまでの商店街が地域の中でマーケットととして存続してきたわけですが、 その存立基盤自体が危うくなってきたときに、 中心市街地全体としてのマーケットとしてのデータがないのです。

改行マーク例えば、 徳島市でいえば3,600億円ぐらいが市全体の小売り販売額です。 そのうちの1,000億円ぐらいが中心市街地です。 1,000億円といっても、 その中に大規模店舗があるわけですから相当数さっ引かなければなりません。 それを商店街数で割れば、 だいたい一つの商店街あたりの売上高が出てくるわけです。 しかし、 その商店街がどれくらいの売り上げを持っているのかという正確な数字はありません。 マーケットとしての正確な数字をはじき出せないということが一つ問題です。

改行マーク現状の動きからすれば、 市全体としても下降線をたどっていますから、 さらにマーケットが小さくなるだろうと思います。 空き店舗率は全体でいえばだいたい2割ぐらいですが、 立地条件によって相当な開きができつつあるという状況です。

改行マーク一方で、 中心の商店街は力を削がれながらも生き延びていけるのは確かです。 周辺にある商店街が、 どれだけ生き残れるかについては、 厳しい。 相当減っていくだろうと思います。 それは、 いくら家賃を下げようとも、 無理だというようなところもあります。

改行マークそういう中で、 どういう話し合いをすればいいのかというようなところには、 なかなかいきません。 例えば、 ある商店街でアーケードやカラー舗装をつくっているとします。 そのために4億、 5億のお金をかけるよりも、 別の事業をやった方が遙かに効果的だということで、 今やっている事業の見直しを途中でかけたら、 それは大変なことになります。 具体的な事業をしながら、 トータルな議論をして、 商店街の展望をいかに誘導していくのかということは、 大変難しいと思います。

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中心市街地活性化施策と関係省庁
改行マーク今回の中心市街地活性化計画の中には通産省だけではなくて、 13省庁の色々な事業メニューがあります(表3)。 そういった事業のメニューを全部検討して、 それをきちんと事業の手法として消化する時間が、 基本計画段階としてのこの1年にあったとはとても思えません。 そういう意味では、 この基本計画は、 ともかくスタートラインだと考えています。 そのスタートラインの段階で、 現状をどこまで認識して、 次の展開につなげられるかという能力自体に、 商店街の命運がかかっているのではないかと考えています。

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