中心市街地活性化への対応
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6。 現実的な議論が必要

島博司

改行マーク中心市街地の議論がことさらに商業活性化の議論に偏っているというご指摘ですが、 中心市街地全体を地域経済のビジネスの場としてもう少しきちんと見ていく必要があるのではないかと思います。 先ほど中心市街地の売上高の話をしましたが、 業務も含めますと、 遙かに高くなります。 都市全体の面積からすれば多くても5%ぐらいのものですが、 固定資産税では7割とか8割のシェアを占めているはずです。 それぐらい地域経済の中での波及効果が高いわけです。 それを全体でみていかなくてはならないわけです。 アメニティ空間であるというだけではなく、 ビジネスの空間であるということを絶対に忘れてはならないと思います。

改行マークもう一つは、 バックデータをきっちと整えて、 議論するべきだということです。 基本計画であるとかTMOの議論の場で、 客観的なデータの下で議論していくというスタンスが必要だと思います。 その中で、 市民活動論の話であるとか、 福祉の話だとかも含めてやるべきだと思います。

改行マークまた中心市街地の都心像をどう提示するかも問題です。 普通はきれいな言葉が並んでいます。 市民、 行政、 商業者のパートナーシップ論も必ずつきます。 しかし具体的に何をやるのかが明示されないわけです。 これは、 日本の計画論の作り方の欠陥でもあり、 具体的に書いていくべきだと思います。 リアリティの感覚を持って進めていかないと、 商業者に対しても、 市民に対しても説得力がないのです。 策定主体には、 アカウンタビリティが必要なのです。

改行マークさらにパートナーシップについてですが、 このテーマにはあやふやなところがあります。 このまちで本当に生き生きと暮らせることが究極のテーマだとしても、 やはりそのための事業論をやっていかないとだめだと思います。 具体的な事業に置き換えていく方法論を作りあげながらやっていく、 そういう具体性が必要です。 そういう現実感覚の欠如が我々の側にもあるのではないかと考えています。

改行マーク商店街の人たちと話していますと、 商店街は衰退していますが、 家庭は平和だとおっしゃいます。 今まで、 商業者のお父さんは商店が休みになるとだいたいゴルフに行っていました。 お金があると、 近所の飲み屋さんに行ってしまうとか、 そういうことが多かったのです。 ところが、 最近はずっと家にいる。 かなり平和な家庭なって、 これは家庭にとってはプラスなことだということです。 時間が商店主の側にもできているということは、 対話を生む重要なベースだと思います。 商店街の方々が、 商店街の活性化が本当に必要だというなら、 まず対話を充実していく時期であると考えています。

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