丸亀で生まれて、 丸亀で育ちました大西です。 有光さんから丸亀の話が出ましたので、 ぜひおうかがいしたいことがございます。 丸亀の駅前の再開発はだいぶ前から着手され、 一部でホテルの入った再開発ビルができています。 その他はとまったままです。
私は、 何年か前に丸亀の景観の基本計画に関わったことがあるのですが、 その時に、 再開発ができなくて良かったと思いました。 再開発ができなかったことで、 いろんなものが見えてきたと思っております。 あれが動かないことによって、 地元の人も色々なことを考えているわけです。 その時間がとれたということが重要なことだと思います。
先ほど鳴海先生がおっしゃられたキーワードを丸亀にあてはめてみますと、 再開発をやらなかったおかげで、 全部、 当てはまるのではないかと感じます。 有光さんは先ほど丸亀のまちが落ち込んでいるという数字を出されたのですが、 多分再開発をやっていればもっと痛手は大きかっただろうと思います。
そこで有光さんには、 県庁所在地ではない地方都市で、 中心市街地にとって、 もしくは今日話題になっているテーマで、 有効であったという再開発の例があればぜひ教えていただきたいと思います。
有光:
それは、 無数にあると思います。 県庁所在地の都市なんて47しかないわけですから、 残りの600以上の再開発は、 そういった地方都市で行われているわけで、 無数にあると思います。
丸亀の話に戻りますが、 何を根拠に大西さんがそういうことをおっしゃるのか全く理解できません。 丸亀の中心商業地域は、 わずか2人か3人のために、 あれだけの商店街が壊滅してしまいました。 ダイエーも撤退してしまったし、 おそらく復活できないと思います。
当時は、 再開発でできる建物に百貨店が出店したいと申し入れてきたぐらいですから、 再開発が出来ていたら、 あの商店街にはたくさんのお客さんが来て、 ここまで衰退することはなかったと思います。 話があったのはちょうど瀬戸大橋がかかるときで、 坂出で塩田を埋め立てて、 そこに大型店が出店していった時期です。 あの時、 丸亀の再開発ができていたら、 郊外の大型店もかなりセーブでき、 今みたいな状況になっていなかったと思います。
私は、 大西さんと違って、 あの再開発をやっておくべきだったと思いますし、 あの時だったらできたと思います。 それを、 2、 3人の人のためにまち全体がつぶされてしまった。 そういうふうに思っております。
あそこの商店街の人は、 議論するのは好きなんです。 コミュニティーマート構想だとか、 色々勉強はするんです。 勉強するけれども、 いざ共同してやろうというと、 有力な人が足を引っ張るという、 まあ、 そういう土地柄だと思っています。
大西:
私は、 駅から1kmぐらいのところに住んでいるのですが、 そこから見ると、 再開発といっても地権者のためのものとしか思えません。 まわりにいても、 あそこにそういうものができて、 本当にまちにとって良かったのかは疑問です。 今、 再開発で作られる建物を見ても、 あんなものが丸亀のまん前にできたら、 アイデンティティなんかなくなってしまうと思います。 事業が止まって、 そういう建物ができなかったことで、 お城も見えます。 お城の再建という話もでています。
再開発が進んでいたといっても、 まわりに住んでいる私たちには何も知らされていませんでした。 私からみたら、 地権者など、 一部の人のエゴのために進められていたようにしか思えないんです。
大谷:
私も高知の中心市街地活性化に関わりましたし、 島さんも関わったんですが、 その中で事業をやるとなると、 再開発事業に基づく再開発等が、 事業手法上でてこざるを得ません。 しかし、 再開発事業は、 土地の値段が右肩上がりで上がっていくという前提の上に成り立っている事業手法であるわけです。 にもかかわらず、 右肩上がりが終った今も、 この中心市街地活性化基本計画の事業手法として使われる、 使わざるをえないという状況です。
だけど本当にできるのかが心配です。 「保留床を公共が持ってくれたら再開発ができるんだ」というの有光さんのお話しは、 本質的なところには迫っていないと思います。 午前の部の最後でもお尋ねしたのですが、 時間がなく、 積み残しております。 ここでもう少し制度の根幹に踏み込んでお話しいただきたいと思うのですが。
有光:
権利変換方式が今の再開発の手法ですから、 例えばクリアランス型のようなものとか、 何か他のものに変えない限りは解決策はありません。 ですが、 短期採算型を、 長期採算型にもっていこうということは、 既にあちこちでやっています。 第三セクターをつくって、 その三セクが床を持ってリースしていくというやり方は十分やっています。 その時に、 三セクに対していかに公共が出資するのか、 どれぐらい出資するのかが問題となります。 公共があまり出しすぎても商業施設の場合はまずいので、 それに参画したデベロッパーも出資するなども考えなければならないと思います。
私が先ほど申しました、 公共公益施設を核施設に持ってくるべきだというのは、 地域の甘えではありません。 これから再開発が必要になる地域は、 公共投資、 公的資金の投下が少なかった地域が多いと思います。 ですから、 もっと平等に公的資金の配分をすべきだろう。 そういう意味から、 公共公益施設をどんどん再開発にもってきてしかるべきだと思っております。
各市も既に相当な公共施設をつくっていますが、 再開発がまだできていない地区には、 どちらかというとそういうものが作られてこなかったということが言えると思っています。
7。 再開発の功罪をめぐって
大西泰弘/有光友興
大西:
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