時事往来12
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「まち居住研究会」から読者の皆さんへ

私たちは、 これまでの研究成果を地域に還元していきたいと思います

 

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『住宅時事往来』7号〜12号の担当者 稲葉佳子・太田多圭子、塩路安紀子、小菅寿美子、笠原秀樹
 

外国人の住宅問題からコミュニティ問題へ

改行マークまち居住研究会が『住宅時事往来』第1号を発行したのは1992年6月でした。 第1号〜第6号までは、 1980年代後半から急増したニューカマーズ外国人について、 欧米人・中国人・アジア系労働者・日系人という特徴的なカテゴリー別に、 彼らの抱える住宅問題と彼らを受け入れた地域の実状を報告しました。

改行マークしばらく休刊した後、 再び1995年から第7号を発行しはじめました。 ちょうどこの頃から、 バブル経済が崩壊したにもかかわらず、 外国人の数に減少の兆しは見られず、 彼らの定住化が現実問題となってきました。 再刊に当たり私たち自身の視点も、 住宅問題から居住問題やコミュニティ問題へと移っていきました。 第7号では定住歴の長いインドシナ難民や中国帰国者等の問題を取材し、 その後は欧州の事例報告も含めて多様なテーマを取り上げてきたのですが、 1997年頃から、 自治体の国際化シンポジウム等で「まち居住研究会」も外国人の居住問題で参加を求められることが多くなり、 日本がいよいよ地域社会の国際化に向けて対応を迫られる時代に入ってきたことがわかりました。


研究だけでなく地域の人と一緒に考える活動を

改行マーク「まち居住研究会」として研究活動を続けてきた私たち自身も、 今、 転機を迎えようとしています。 これまで長年にわたり外国人居住に関わる調査研究を続けてきましたが、 今後は調査研究し報告するだけではなく、 これまでに私たちが知り得た情報や研究成果を地域の人たちに還元していきたいと考えるようになりました。 実は私たちは、 昨年から1年間をかけてそのための助走を始めました。

改行マーク具体的には(財)ハウジングアンドコミュニティ財団の1998年度市民活動助成を受け、 新宿区大久保地域をフィールドに、 地元の日本人住民(マンション管理組合役員など)や不動産業関係者、 外国人、 市民活動グループの人たちと共に、 分譲マンションをモデルケースとして、 日本人と外国人が共に暮らしていくための「国際化に向けた共住のためのルール・システムづくり」を考える勉強会をたちあげ活動を始めています。 今後しばらくの間は、 大久保を活動拠点としながら多文化共生型のまちづくりを目指して、 少しずつ地域の中でのネットワークを形成していきたいと思っています。 また大久保から全国の外国人居住に関わる地域に向けて発信していければと考えています。


『住宅時事往来』にご支援ありがとうございました

改行マーク大久保での勉強会で見えてきたことは、 居住に関わる問題は、 外国人の問題というよりは、 むしろ外国人・日本人の別なく考えねばならない問題であるということです。 また、 国際化に向けて改善すべき日本の制度やしくみがあるのはもちろんですが、 住まい方に関わる問題は、 各国固有の文化や伝統・生活様式の中から生まれてきたものであり、 相互理解を深めていくなかで議論していくことこそ大切だということもわかってきました。 この大久保での活動状況は、 新たにニューズレター形式でお伝えしていく予定です。 皆さま方からのご意見も掲載し、 双方向コミュニケーション型のニューズレターにしていきたいと考えています。

改行マークつきましては、 「まち居住研究会」が新たな展開に向けて活動しはじめたのを契機に、 長年にわたりご愛読いただいた『住宅時事往来』は、 第12号をもって終了することになりました。

改行マークこれまで『住宅時事往来』を支援していただいた皆さま方には、 心から感謝を申し上げます。 本当にありがとうございました。 『住宅時事往来』は終了しますが、 「まち居住研究会」は今後とも活動を続けていきますので、 これまでと変わらぬ叱咤激励のほど、 何卒よろしくお願い申しあげます。 それでは、 新たに発行するニューズレターで、 またお会いしましょう。

(まち居住研究会一同)

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