まち居住通信1
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日本人でもわかりにくい日本の賃貸借契約??

 

 

改行マーク世界各国の賃貸借事情を勉強する前に、 メンバーのひとり荻野政男さん(不動産会社役員)から、 まず日本の事情についてお話を伺いましたので、 簡単に紹介しましょう。

改行マーク「礼金」は、 戦後住宅不足で家主の立場が強かった頃に、 借りる人から家主に対して礼金を支払うことが一般化して発生した戦後生まれの慣習だそうです。 東北から関東〜中部・北陸にかけは「礼金」がありますが、 関西では方式が異なります。 関西では最初に保証金として家賃10ヶ月分を支払い、 例えば「敷引50%」の場合は、 家賃が10万円だと敷金100万円、 敷引は50万円となり、 東京でいえば、 これが礼金50万円、 敷金50万円に相当するそうです。 日本の中でも時代や地域が変われば、 賃貸借のシステムも随分異なるわけですね。

改行マーク「敷金」は、 東京では家賃2〜3ヶ月分が一般的です。 もちろん家賃の不払いに対する補償という意味がありますが、 最近ではリフォーム代としての必要性も高いようです。 というのは、 入居者が変わるたびに畳や壁紙を新調しないと新しい借り手が見つからないため、 家賃の1〜1.5ヶ月分もの費用がかかり、 最低2ヶ月分は敷金が必要になるとのことでした。

改行マーク単なる慣習ならば礼金は不要では? リフォーム代は当然家主の必要経費では? …と思えますが、 現実には賃貸住宅の経営が、 礼金・敷金を含めないと成立しないような収支計画になっているという問題があるようです。 また入居者に部屋の改造を認めないからリフォームが必要になるのか、 新品でないと嫌だという借りて側の意識に問題があるのか、 住宅建材が工業製品ばかりになり、 昔の障子や襖の張り替えのようにローテク・ローコストで対応できないことに問題があるのか…など、 現在の日本人の意識や消費生活全体の見直しにもつながるような議論になりそうだと思いました。

改行マークさて外国人にとって、 最も問題になるのは「保証人」です。 保証人は、 契約上は連帯保証人なので債務を支払う義務がありますが、 現実には、 借りて側とトラブルがあった時の仲裁役あるいは連絡先としての役目の方が大きいとか…外国人にも、 日本人の保証人が必要とされるのは、 保証人が外国人だと、 そもそも保証人にトラブルの原因や仲裁の必要性を理解してもらうのが大変という事情があるとのことでした。

改行マークその他「更新料」というのがありますが、 これは何故必要なのでしょうか? これまで日本では不動産業といば仲介のことで管理という考え方がなく、 家主に対するサービスとして、 やむを得ず無報酬で管理しているというのが一般的な実状だそうです。 そこで現実には、 更新料が不動産会社にとってサービス管理に対する報酬的な意味をもつとか…。 でも管理料ならば家主が不動産会社に払うべきで、 借り手が更新料という名目で払わされるのは、 やっぱりおかしい! 高齢者や外国人の賃貸住宅への入居を考えると、 今後ますます管理業務というのが重要になってくるはずです。 管理が業務として確立していないという話を聞いて、 これは今後の大きな課題だと感じました。

改行マーク日本の賃貸借システムには、 慣習・慣例とか、 代替え措置が多すぎて、 「外国人ではなく日本人でもわかない!」

改行マークそう思いませんか?

(稲葉佳子)

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