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特別ゲスト

台湾から

社区営造学会事務長 陳亮全

小林

 みなさん、 ここで海外からのゲストを紹介します。 台湾で「社区営造学会(日本語で言えばまちづくり学会に当たります。 社区=コミュニティ)」の事務長をされている台湾大学の陳亮全先生です。

 台湾でのまちづくりを見ていてすごいと思うのは、 健康社区、 教育社区、 社区大学を立ち上げて、 コミュニティのすべての領域に関与していく姿勢です。 社区営造学会のメンバーも、 都市計画、 建築だけでなく、 教育・文化など幅の広い分野から人材が参加しています。 そうした視点から、 日本のまちづくりに何かコメントをいただければと思います。

 私達が社区営造学会を立ち上げた時、 そもそもは日本のまちづくりをヒントにしていました。 まちづくりには空間だけでなく、 人や法律も関わってきます。 社区営造の「営」とはソフトウエアのことで、 地域の産業も対象にしています。 「造」はハードのことで、 地域の建物や環境のことです。 「社区営造」は一言で言えば、 ある地域に人が住み、 そこで営む仕事、 生活、 文化活動を対象にしています。 人間・時間・空間の形成をテーマにしていると考えて下さい。

 学会には、 紹介されたようにいろんな分野の人たちが参加しています。 我々のように都市計画を専門にしている人間もいれば、 文化が専門、 女性の生活が専門、 子供の教育が専門の人もいます。 幅広い人材がいるのはいいんですが、 対話して結論を出すのがけっこう難しいんです。 多分日本でも同じことが言えるでしょうが、 ハードを専門にしている人と人間を対象にしたソフトを専門にしている人との間で、 いつもどちらを優先するかが問題になるのです。 台湾の地震の後は特に大変で、 作業を先にするべきだ、 いや人材を育てるのが先だと意見が分かれました。 要するに、 立場の違うもの同士でのコミュニケーションの取り方は、 台湾でも課題なのです。

 立場の違いと言えば、 今のお話にあったように行政主導で行くか、 住民主体で行くかについても難しい問題です。 「住民主体で行くべきだ」が正論なんでしょうが、 やはり進めていく中で行政や専門家の存在はどうしても必要になります。 かと言って、 行政が先走ってしまうと住民のニーズから離れて住民の反対運動になってしまう。 ここでも両者のコミュニケーションの取り方が大事なポイントです。

 これからどうするかについては、 我々も日本のみなさんを参考にしたいと思っているところです。 簡単なコメントですが、 これで終わります。

野崎

 それではこれですべてのプログラムを終了いたします。 みなさん、 長い時間にわたってのご参加、 ありがとうございました。

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