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パネラー報告1

住吉浜手地区のまちづくり

遊空間工房 山本和代

 今日は私が地区アドバイザーとして担当している神戸市東部の住吉浜手地区の取り組みを紹介します。

 私がこの地区のアドバイザーになったのは1997年6月のことで、 この地区のみなさんと初めてお会いしてから丸4年がたちました。 アドバイザーとして何をやってきたかと問われると、 まちづくりに向けての地盤固めだったと思っています。 手探り状態でやってきたというのが正直なところですが、 どんなことをしてきたかをまず報告していきたいと思います。


住吉浜手地区の概要

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地域図
 図で赤い線で囲まれているのが住吉浜手地区です。 東に住吉川、 地区内を阪神電鉄、 国道43号線が横断しています。 南は灘浜線が走っています。 大きな幹線が地区内を分断していることが、 この地区の課題になっています。

 また白鶴など大手の酒造会社があり(菊正宗も地区のすぐ近くにあり)、 小さな町工場が点在していて、 住工混在地区と言えます。

 地区の施設としては、 呉田(ゴデン)会館という集会所、 その南にデイホーム呉田があります。 デイホームは震災前は呉田幼稚園だったのですが、 震災後に子供の数が少なくなって休園になったためデイケア施設として生まれ変わったものです。

 それ以外には御旅公園があります。 ここはまちづくり活動でもよく使っていて、 町の核となる公園です。 この夏に予定しているイベント「灘の酒蔵・万灯祭」でもメイン会場になっています。 また、 御旅公園の中にはこの3月に出来たばかりの御旅会館という安心コミュニティプラザがあります。

 震災前には憩いの場として呉田温泉という銭湯があったのですが、 震災で潰れてしまってからは駐車場になっており、 みんなで集まれる場所が欲しいというのが地区の願いです。

 さて、 この住吉浜手の範囲は地区の自治会である呉田地区協議会の範囲と一緒なのですが、 発足当時は国道43号線から南の地区が中心となって立ち上がりました。 しかし、 地区の問題は呉田地区全体で考えた方が自然ですし、 ニュース配布も地区全体を対象にしておりましたので、 発足して2年後の1999年の総会の時に対象地区が広がって今の範囲となりました。


住吉浜手地区の歩み

 1996年の「まちづくりを考える会」準備会を経て、 1997年2月に「住吉浜手地区まちづくり協議会」が正式に設立されました。 私はその6月にアドバイザーとして地区に入ったのですが、 最初に何をしようかと話し合った結果、 まず住民がまちに対してどういう思いを抱いているのかを知るための住民アンケートを実施することにしました。 アンケートは9月に行われたのですが、 手配り・手回収で回収率は何と80%を超えました。 地区の人たちのまちづくりへの関心が高いことを実感しました。

 1998年3月に第2回総会が開かれ、 その時に「住吉浜手まちづくりの会」という現在の名前に決まりました。 発足当時は「まちづくり協議会」という名前だったのですが、 地区には呉田地区協議会という名前の自治会が存在しており、 そこと混同されないよう今の名前にしました。

 「まちづくりの会」は神戸市まちづくり条例に基づく認定団体ではなかったので、 補助を受けられず、 発足当時から資金が不足していました。 資金調達のためバザーでもしようかという声が自然に出てきて、 7月にサマーフェスタを開催したところ、 600人も集まり大成功でした。 この収益金が活動を支える重要な資金となったのですが、 同時にまちづくりへの手応えも感じることができました。

 その後、 こうしたフェスタを定期的に開くのですが、 その際にはまちづくり活動や住民アンケートの結果をパネルにして、 みなさんにお知らせしています。

 住民アンケートで住民が指摘した地区の問題カ所を実際に歩いて体験しようということで1997年の11月に「まちなみウォッツチング」を実施しました。

 1999年の4月には第3回総会が開かれ、 先ほど申しましたようにこの時にまちづくりの対象範囲を現在の範囲と決めました。

 8月のサマーフェスタの時には、 地区内だけではなく東灘で活躍されている地域団体とも交流を行うことができ、 「東灘助け合いネットワーク」の模擬店、 「デイホーム呉田」の介護保険説明会、 「東神戸病院互助組合」の健康チェックも行うことができました。 この時、 御旅公園の復旧工事に対して、 要望提案するためのワークショップも行いました。

 2000年になると、 会から「よその地区ではどんなまちづくりをしているのだろう」という声が出てきて、 2月に真野地区の見学会を実施しました。

 4月に第4回総会が開かれ、 この時に記念講演をしていただいた辻信一氏の「緑を生かすまちづくり」の話が、 地区のまちづくりのキーポイントになったようです。 「そうだ、 緑は大切だ」と住民の人たちは緑に目覚め、 早速地区の素敵なグリーンを見つける「緑のウォッチング」が7月に行われました。 これは「勝手にコンクール」と名付けて、 自分が素敵だと思った緑や花を人気投票するという面白い企画で、 9月のフェスタの時に人気投票が行われました。

 2001年4月に第5回総会が開かれ、 ようやくまちづくり構想が出てくるまでになりました。 今までの活動が地盤固めとなって、 今年はその成果が現れるよう頑張りたいと思っているところです。


活動の実際

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平成9年全体アンケート/将来像

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平成9年全体アンケート/問題点
 質問項目は住吉浜手の特徴を汲み取って考えました。 「将来どんなまちになってほしいか」の質問には、 「高齢者にやさしい」「緑あふれる」「酒蔵のある町並み」という回答が目立ちます。

 また、 地区の課題としては「大型車両が通ること」をあげる人が最も多く、 灘浜線と国道43号線に囲まれている地区だけに、 地区内に大型車両が入ってくることを住民みんなが問題としていることが分かります。 車両の通行については、 地区内の企業の問題も絡んでくるので、 長期的な課題になるだろうと考えています。

 次に多かった課題の「街灯」については、 要望して、 数が増えたので達成できたと思っています。

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平成9年全体アンケート/緑地・景観に関する課題
 緑地・景観についての課題としては、 「公園」「運河沿い」「堤防沿い」の順に関心の高さが見られました。

 また私はこのアンケートをとってみて驚いたのですが、 国道43号線の南にはスーパーや診療所が一つもなくて、 生活するにはかなり不便な所だったんです。 ポストも1、 2個しかありません。

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町並みウォッチングの新聞記事
 1998年11月にまちなみウォッチングを実施したときの様子が、 神戸新聞に掲載されました。 緑・景観・道路などの項目別にまちを点検していきました。 車イスの視点からもまちを見ています。

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フェスタでのまちづくり展示
 まちなみウォッチングなどの活動は、 次の年のフェスタで「まちづくり展示」をしてみなさんにお知らせしています。 パネルの前に椅子を置いておくと、 通り過ぎずにこうやって見てくれるものなんです。

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「勝手にコンクール」概要
 先ほどお話しした「勝手にコンクール」の紹介パネルです。

 コンクールに先立って緑のウォッチングを、 対象地区を南北に分け2日間にわたって実施しました。 「いい」と思ったまちなかの緑を写真にとり、 それをパネルにしてコンクールに来た人に人気投票してもらいました。

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「勝手にコンクール」当日

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「勝手にコンクール」入賞者
 このように写真をパネルにして、 気に入った写真にはシールを貼ってもらうというコンクール形式です。 「おおっ、 ○○さんの所の庭や」とにぎやかにしゃべりながらの投票で、 なかなか好評でした。

 下の写真は、 上位入賞した緑の持ち主の表彰式です。 2位に選ばれた人の緑というのがなかなかユニークで、 何と屋根に育ったスイカなのです。 見つけた人もスゴイと思いましたが、 私としても何となく嬉しかった緑の写真でした。

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まちづくりニュース
 「まちづくりの会」では2カ月に1回、 ニュースを発行しています。 上はその中の人気コーナーで、 地区の人びとにインタビューするという内容です。 掲載されると町なかで声をかけられてちょっとした有名人になれると好評です。 ニュース記事は最初私が書いていたのですが、 今ではまちづくりの会の人が分担して書いており、 それぞれの役割分担が出てきたように思います。

 下は、 地区内の知られざるスポットを紹介するコーナーです。 これも住民の人に地区の話を聞いて作っていくコーナーです。

 活動報告は以上です。 今日のテーマである「まち住区とコンパクトシティ」に直接結びつく話題ではないかもしれませんが、 住吉浜手のコミュニティづくりの様子を紹介しました。

 今後の活動としては、 もっときめ細かい丁目ごとのワークショップなどもしていきたいと考えています。

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