発行:財団法人 まちづくり市民財団
阪神大震災復興市民まちづくり支援ネットワーク事務局
「市民主体のまちづくり」の重要性は、 今回の大災害により、 初めて社会的に認識されるに至ったものです。 この領域は、 復興市民まちづくりの現場では、 次第に「日常的なまちづくり活動へ」と移行していく状況にあります。 その足跡は、 日本各地の「市民主体のまちづくり」を先取りし、 開拓する重要な意義を持つものと考えています。 その意味で、 今後2年半、 この領域の活動への助成を継続し、 「市民まちづくり」の領域が日本で確立する基礎を作ることは意義深いものと考えます。
また、 区画整理地区で建物再建困難な事情の地権者にも同様に対応する必要があります。 被災地での共同・協調建替の事例は今や100件近くあると言われます。 例えば、 この内容を調べて紹介する事例集を作り、 この地域の人々に情報として提供する活動等、 再生活動支援への実効性の高い提案を期待しています。 我々基金としては、 新たにこの様な地区への「再生活動支援」を助成対象に加えたいと考えています。 この場合も本基金の役割は、 その「初動期の掘り起こし作業」にあり、 掘り起こした結果軌道に乗るものは、 行政の事業制度等へと橋渡しするのが我々の役目だと考えています。
1.HAR基金の今後の活動の方向
・1)一般助成の継続
本基金の助成は、 縦割りの狭いまちづくりの範囲に縛られず「市民の視点からの総合的なまちづくり」(ソフトもハードも一体のまちづくり)を対象としてきました。
・2)一般助成の第二期支援
本基金の助成は、 同一グループには3回までを条件としています。 これは初動期を支援することにより行政の助成などを活用できる事を想定しているからです。 しかし、 中には活動の意義の高さにも係わらず行政等の支援の得られがたいものもあることが明らかになりました。 これらの活動に対しては、 あらためて第二期支援の位置づけを与え助成を継続することが必要であると考えています。
・3)白地地区等再生活動支援助成の新設
被災地の内、 白地地区あるいは灰地地区の施策不在地区では、 活発な自主再建活動が進む一方で被災空地が放置され、 行政の支援の手が届かない人々が多いのが実情です。 自力再建出来ない事情の在る地権者に対応する必要があります。
2.HAR基金第五回助成への寄付の呼びかけ
HAR基金は、 第5回助成を97年12月に上記の方針に基づいて決定する予定です。 この助成のためには従来に増して皆様からのご寄付によるご支援が必要です。 復興第2ラウンドへの息の長い現地の取り組みに対して、 皆様からの共感と励ましが大きな力となるものと確信しています。 ご協力を心からお願いする次第です。
3.HAR基金第5回助成への応募の呼びかけ
第5回の助成は、 上記の新しい方針に基づいて行います。 第2期支援、 白地地区等再生活動支援等、 新たな助成方針に対し、 ふるって応募して頂ければ幸いです。
活動のテーマ |
活動グループ名 |
活動の目的 |
助成金額(万円) |
地域型仮設LSA業務のシルバーハウジングと地域コミュニティへの応用 |
神戸福祉医療まちづくり研究会 |
地域型仮設の生活援助員(L・S・A)さんの業務を研究し、今後のコレクティブ、シルバーハウジングや地域のコミュニティワーク、まちづくりへ応用する |
69 |
土地区画整理と整合性を保つ細街路整備推進のため |
野田北部まちづくり協議会 *3 |
土地区画整理への整合性、細街路整備への推進実現のため |
48 |
案内標識等の他言語化にむけての調査と実施 |
神戸アジアタウン推進協議会 *2 |
1.外国人住民に対する日常及び災害時の情報提供 2.街の魅力・個性の育成による街の活性化 3.外国人住民と日本人の文化交流 |
34 |
須磨浦通地区まちづくりに向けた共通課題への取り組み |
須磨浦通6丁目自治会専門委員会 |
須磨浦通1〜6丁目に共通する課題についての実態調査、資料収集、報告書作成など |
42 |
ドングリ銀行神戸震災被災地の緑の復興活動 |
ドングリネット神戸 *3 |
被災地での緑化活動に楽しみながら誰でもが参加できるシステムを提供し、今後の街の中での緑づくりをすすめる |
74 |
神戸市西須磨地区における復興支援活動 |
コミュニティ・デザイン・チーム *1*2 |
自治会や商店会などの既存の住民組織の再建活動を支え、白地地区における復興への取り組みを組織的に行うために、住民の復興への要望を掘り起こし、復興のための基本計画の立案や、住民の主体的な活動を支援すること |
31 |
住民の自主活動による地域緑化活動 |
緑花コミュニティ・四季 *3 |
震災後、荒地となったJR住吉駅〜住吉川に至る約200・の遊歩道を住民の手で緑化し、メンテしてゆく |
45 |
専門家・地主・住民の連携によるまちづくりの支援 |
まち・コミュニケーション |
住宅・生活再建が停滞している現状を具体的に確認するために、その原因を調べ、住民の意向を確認するとともに、打開に向けて住民・専門家・行政との橋渡し的役割を担う |
42 |
きんもくせいインターナショナルプロジェクト |
阪神大震災復興市民まちづくり支援ネットワーク *1 |
「きんもくせい」を英訳し、被災地で展開されているまちづくりを広く世界に知らせることを通して、諸外国の専門家とも交流を図り、今後の復興まちづくりに活かすことを目的とする |
21 |
情報紙「ウィークリーニーズ」発行 |
すたあと長田 *3 |
他地域の仮設住宅に移転された元長田区民に「今」の長田のまちを伝えるとともに現長田区民にも、もっと長田の良さを知ってもらい、コミュニティの復興と新しいまちづくりの提案をする |
27 |
第4回六甲アイランドW・F・O・A・P−のぼり部門 |
リ・フォープチーム |
現代美術をキーワードとした仲間づくり |
27 |
みどりと水のまちづくり阪神グリーンネット |
ランドスケープ復興支援会議(阪神グリーンネット)*2 |
みどりと水のまちづくりコンサルティング |
68 |
コレクティブハウジング事業推進広報活動 |
コレクティブハウジング事業推進応援団 *1*3 |
コレクティブハウジングという住まい方を広く知っていただくための広報活動 |
88 |
神戸の子供達に心の復興と紙芝居文化の伝承活動 |
神戸復興紙芝居プロジェクト |
神戸復興の過程の風化防止 |
37 |
コムステイシステムの提案と実践 |
コムステイ実践研究会 |
被災地復興の過程で、いかんすれば、地元住民が前のコミュニティの暮らしを取り戻せるかを提案し、実践的な調査・研究を行う |
52 |
仮設住宅で星空映画会を |
仮設住宅星空映画ネットワーク |
仮設住宅から恒久住宅への移動に伴うケアの一つとして |
30 |
合計金額 |
735 |
三田ほんまち再生研究会は辞退されました
*1は第1回助成団体、*2は第2回助成団体、*3は第3回助成団体
それから2年半が経ち、 震災以後は、 つい最近の事と感じるのですが、 あの楽しかった日は、 遥か以前の事のように思えます。 しかし、 時間は確実に過ぎており、 この間“一日も早くみんなで復興しよう”と取組みました。 野田北部地区でありながら、 鷹取東第1地区土地区画整理事業に組込まれた海運町をはじめ、 壊滅状態の本庄、 長楽町をそれぞれに合う復興を目指した結果、 仮換地指定・まちなみ誘導型地区計画・まちなみ環境整備事業に依る細街路整備等。 何とか先頭を切って具現化できた事が幸いでした。 また、 “まちづくりはダチづくり”の合い言葉の下に野田北部地区すべての人が、 祭り、 イベント(夏祭り、 盆踊り、 餅つき大会、 世界鷹取祭)を通じ、 心を一つにして楽しむことができました。 これからも、 地域のみんなが仲間となって、 互いに顔の見える“まち”にしていきたいと思います。
PS:今年もやりました!夏まつりテーマは、 この地へ未だ戻られない方、 そして新たに来られた方に、 野田北部に“おかえりなさい”と“ようこそ”の言葉でお迎えすることで、 多くの方に楽しんでいただけました。
我々は第2回HAR基金よりの援助を得て、 「長田コレクティブケアネットワーク」として地域型仮設生活支援員(LSA)の業務を分析し「21世紀高齢者住宅へのヒント」を報告した。 今年3月よりはLSAを含め「神戸市福祉医療まちづくり研究会」へと発展させたが、 第4回HAR助成金を頂くことができた。 深く感謝する。
現在の「神戸福祉医療まちづくり研究会」の活動であるが、 @公的介護保険の動向、 ケアハウス、 21世紀の人口推移などについて学習会を行っている。 A地域型仮設のLSAの経験を実践集にまとめる作業をじっくり行っている。 建設モ入居が進むシルバー住宅・コレクティブ住宅に即、 生かせる手引き書を目指している。 完成は来年になる予定である。
97/5/20 | 第4回助成公募開始、申請受付 |
6/8 | NPO全国フォーラムへの参加 |
6/10 | 申請締切り |
6/28 | 公開審査会〈こうべまちづくり会館〉 |
7/19 | 第4回助成金贈呈式と報告の会〈神戸・鷹取カトリック教会〉 |
11/10 | 第5回助成公募開始、申請受付 |
11/30 | 申請締切り |
12/13 | 公開審査会〈こうべまちづくり会館〉 |
98/1/10 | 第5回助成金贈呈式、報告の会 |