発行:財団法人 まちづくり市民財団
阪神大震災復興市民まちづくり支援ネットワーク事務局
一方、 はる基金は「住まい・まち・暮らし」の三位一体の復興を求めて、 震災直後から地道な活動を続けてきました。 被災者が被災地に住みつづけながらまちづくりをするという、 いわば「居住型」まちづくりを応援してきたのです。 その意味で、 居住型まちづくりは、 いわゆる「白地区域」にふさわしいまちづくりといえるのかも知れません。
今後、 プロジェクト型まちづくりが一段落すると、 市民のまちづくりへの関心は急速に衰える危険性があります。 また、 そこに入居してきた新住民の間で、 あるいは新住民と旧住民との間でうまくコミュニティが育たない恐れもあります。 プロジェクトの切れ目がまちづくりの切れ目になってしまわないように、 私たちは気をつけなければならないでしょう。
しかし、 復興まちづくりの原点である居住型まちづくりは、 今度とも終わることなく持続していくことでしょう。 文字通り「息の長さ」で勝負する居住型まちづくりは、 歩みは遅く、 華々しい成果は見えることが少ないものの、 程なくして被災地再生の主役を担うことは確実です。 兎と亀のレースは亀が勝つことに決まっているのですから。
活動のテーマ | 活動グループ名 | 活動の目的 | 助成金額(万円) |
街の多言語化の推進 | 神戸アジアタウン推進協議会*2*4 | 街の多言語化を推進する。 | 45 |
「復興まちづくり」震災と記憶の歩み | 野田北部まちづくり協議会 *3 *4 | 震災後三年間の記憶、歩みを後世に残すために記録をまとめ、製本化する事を目的とした準備委員会の設立。 | 22 |
震災復興映像記録の制作と上映・普及 | 野田北部を記録する会 *1*2 *3 | 野田北部、鷹取地区の人々をテーマとした震災復興映像記録の制作と上映・普及。 | 100 |
被災市街地における住空間像の提案研究 | 住空間研究会 | 被災市街地において、住空間の全体像を幅広く検討するために、様々な実績を蓄積してきた六甲東地区をモデル・ケースとし、研究を行う。 | 50 |
ランドスケープからの復興支援─阪神グリーンネット─ | ランドスケープ復興支援会議*2*4 | 震災復興地区における緑化支援。 | 22 |
住吉地区における住民主体の復興まちづくり支援 | 住吉地区復興支援グループ*1*3*4 | まちづくり協議会の結成の促進、再建の前進のための情報収集と分析および計画案作成、広報活動。 | 47 |
白地地域における新築住宅・3年目の記録とアピール | M─NET | 東灘区住吉地区における、震災後の新築住宅の特異な事例の収集、分類。またその成果を展示会などで発表。 | 16 |
植栽活動による入居前からのコミュニティづくり支援 | 芦屋だんだん畑・楽農倶楽部 | 植栽活動による入居前からのコミュニティづくり支援。 | 50 |
ドングリ銀行神戸─震災被災地での緑の復興活動 | ドングリネット神戸 *3 *4 | 震災被災地でのみどりの復興活動。 | 22 |
震災再建市街地における景観・空地の実態調査 | 震災復興・実態ネットワーク | 震災再建市街地における景観・空地の実態調査を行う事により、これからのまちづくりの課題を明らかにする。 | 50 |
「ふれあい住宅入居に伴う共同居住活性化支援活動」 | コレクティブハウジング事業推進応援団 *1*3 *4 | ふれあい住宅入居に伴う共同居住活性化を支援する。 | 25 |
合計金額 | 449 |
最近では、 震災の影響で空店舗が増加した長田区南部の丸五市場の「活性化」と「地域国際化」を進める催しを行いました。 この催しは市場において増加した空店舗を活用して、 空店舗にアジアの屋台を出店させ、 加えてアジアの芸能の披露も行い、 お客さんを市場に呼び戻す催しです。 さらにこれをきっかけにして、 外国人・日本人双方に住みやすく、 地域住民の視点で国際理解が深まるように多言語で市場の案内看板を作成しました。
当会ではこのような催し等を実施しながら、 街がアジアの魅力でさらに活性化していくことを目指すと共に、 地域国際化の視点が市場や地域住民の中から育まれていくことを望んでいます。
大震災による直接の被害はいうまでもありませんが、 被災者住民の復興へむかう日々の生活も厳しいものがあります。 人は、 家族は、 地域共同社会はどのように再生していくのか。 野田北部・鷹取という一地域にキャメラを据えて、 その過程を、 現地に流れる時間によりそいながら撮影をつづけ、 連作として発表しています。 現在、 第9部まで完成し、 全15部の予定です。
このように、 緑からの復興をすすめようとする地元住民組織支援、 コミュニティづくりに役立つ緑化活動を中心に活動は継続中です。
まちとすまいの復興に、 HAR基金の地道な、 しかしとても大切な活動が、 これからも大きな支えの一つとして続くことを期待しております。
さて、 当財団ではその後、 大震災による分譲マンションの復旧過程と管理組合の対応などのほか、 広く分譲マンションの建て替え・大規模修繕に関わる調査研究を実施したり、 助成事業のひとつである「住まいとコミュニティづくり活動助成」においては、 災害復興・防災まちづくりなどをより積極的に助成すべき活動と位置づけるなど、 大震災での経験を今後の住まいとコミュニティづくりに活かすべく事業を実施しております。 当財団への助成事業へのご応募をお待ちしております。
キャンペーン活動中「ぼく、 募金したよ。 」と声をかけてくれる人がいたり、 先生方も協力してくださったり、 思ったより関心があるのだなと思いました。 期間が短かったので、 金額は期待したほどではなかったのですが、 全校生徒の愛のこもった募金活動ができ、 キャンペーン活動としては大成功だったと思っています。 神戸の外見だけでなく、 心の復興も早くできるように全校生徒でお祈りいたします。
HAR基金に関する詳しいパンフレットがありますので、 事務局までお問い合わせください。
〈今号の編集〉
東京都立大学建築学科 都市計画研究室
HAR基金への寄付とその後の事業
財団法人ハウジングアンドコミュニティ財団 事務局 吉野裕之
当財団は個性豊かな住環境の創造に資することを目的に1992年7月に設立され、 住まいとコミュニティづくり分野における、 助成事業、 調査研究事業、 情報提供事業の3つを主な事業として実施しております。 阪神・淡路大震災は、 遠く東京にいる私たちにも大きな衝撃でした。 私たちは、 公益法人という立場にふさわしい復興支援として、 被災地全域の方々が広く有効に活用していただけるHAR基金への寄付を考えました。 幸いにも当財団の助成事業の対象者の方々からもご協力を得ることができ、 それぞれ助成金の1割をご提供いただき、 助成対象者の方々と当財団との共同で寄付を行いました。
岡山県鏡野町立鏡野中学校生徒会
私たちの生徒会は、 学期に1度キャンペーン活動を行います。 そのキャンペーン活動では募金集めやベルマーク集めをしたり、 校則について考えたりします。 今回なぜHAR基金に募金をしたかといいますと、 キャンペーン活動で何をするか話し合っていたときにこんな話を聞いたからです。 あるTV番組で「今日は何の日ですか。 」というインタビューをしていました。 テレビを見ていた人は(あの震災から3年、 忘れるはずなんてない…)と思ったそうです。 なのに、 「わかりません。 」インタビューされたほとんどの人が答えられなかったそうです。 その話を聞き、 みんなの意識が薄れてきていることに気づき悲しくなりました。 忘れてはいけない!!と生徒会で話し合いました。お問い合わせ先
〈事務局〉
財団法人 まちづくり市民財団
〒102東京都千代田区平河町2-14-8 青年会議所会館内
TEL.03-3234-2607 FAX.03-3234-5770
〈現地運営事務局〉
阪神大震災復興市民まちづくり支援ネットワーク事務局
〒657 神戸市灘区楠丘町2-5-20 まちづくり(株)コー・プラン内
TEL.078-842-3563 FAX.078-842-2203
http://web.kyoto-inet.or.jp/org/gakugei/mokuroku/tosi/fukkou/chosya.htm
大阪市立大学生活科学部
藤田 忍・福島 麗実子
〒558 大阪市住吉区杉本3-3-138
TEL.&FAX. 06-605-2821
高見澤邦郎・岡崎篤行・鈴木万喜
〒192-03 東京都八王子市南大沢1-1
TEL.0426-77-1111 ex.4786 FAX.0426-77-2793
http://www.arch.metro-u.ac.jp/~msuzuki/
HAR第6回ニュース
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