まちづくり実践ゼミ

狩野裕行　（神戸市住宅局住環境整備課）

1.制度の概要

地区の特性に応じた建築物の高さ、 配列及び形態を地区計画として一体的に定め、 必要な規制及び建築物の形態についての規制の緩和を行うことによって街並みを誘導しようとするもの。

個別に建て替えることが困難な住宅の密集する地域において、 住民の合意によって建替のルールが定められた地区に対して、 そのルールに基づいて建替る場合に建築基準法上の形態規制を総合的に運用し、 良好な住環境の形成を促進することを目的とする。

住宅が密集し、 かつ、 生活道路等の地区施設が未整備であること、 住宅等が良好な美観を有していないこと等により、 住環境の整備改善を必要とする区域において、 ゆとりとうるおいのある住宅地区の形成のため、 地区施設、 住宅及び生活環境施設の整備等住環境の整備改善を行う。

2.制度の特徴

• 従来の規制のみの地区計画から緩和型の地区計画へ
  
• 斜線型の形態規制から
  　→箱形の形態規制へ
  

  図1　街並み誘導型地区計画

• 地区計画において、 「建築物の高さの最高限度」「壁面の位置制限」等を定めた場合に、 当該地区計画に適合し、 かつ、 特定行政庁が交通上、 安全上、 防火上及び衛生上支障がないと認める建築物については、 前面道路による容積制限及び斜線制限を適用除外とする。

• 地区計画のため、 指導・勧告ができるのみで建築基準法上は建築条例の制定が必要となる。

• 2種類のタイプ
  　路地協調型 ……全員で建築協定の締結が必要
  　街なみ協調型 …地区計画の都市計画決定が必要
  

• 2種類のタイプ
  　狭隘道路整備タイプ…接道不良の解消
  　景観形成タイプ………ゆとりとうるおいのある住宅地区の形成
  
• まちづくり協定の締結（住民発意）

図2　街なみ協調型のイメージ。3階建ての建ち並ぶ比較的ゆったりした通り	図3　景観形成タイプ例。 石川県松任市新町通り西

3.補助（緩和）の内容

• 規制用途制限（住宅地区、 住商協調地区）・敷地面積の最低制限（80m²）・建築物の高さの最高限度「住宅地区において」（幅員4m道路で高さ10m以下）・壁面の位置制限（50cm後退）・後退部分での工作物の設置制限

• 緩和道路幅員による容積率制限、 道路斜線制限の撤廃
  　→住宅地区で4m道路にのみ面した敷地で三階建てが可能

• 緩和水平距離の指定・壁面の位置制限・街なみ誘導型地区計画・角敷地の指定（全敷地を角敷地と見なし建ぺい率の10％割増）

• 補助協議会活動費・整備方針策定費・街なみ整備事業費（事業計画策定費・地区施設整備費・地区防災施設整備費・生活環境施設整備費・空き家住宅等除却費・その他建設大臣が必要と認める費用）

• 街なみ整備事業：私道、公道2項道路（細街路）の美装化（下町らしさ）
  
• 街なみ整備助成事業：地区計画・まちづくり協定に沿って整備した場合、植栽・門・塀　舗装等の工事に助成する。