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1 建築制限


〈事例2021)〉

建築基準法84条による建築制限

 被災市街地においては、 家屋の倒壊や火災の被害が集中した地区について、 建築基準法84条を適用し、 被災宅地における再建について建築制限を行う区域を指定した。 この84条による建築制限の指定は、 神戸(6地区)、 西宮(2地区)は2月1日、 芦屋(2地区)、 宝塚、 北淡では2月9日 に実施された。

 建築基準法84条では、 市街地に災害のあった場合、 特定行政庁(今回の場合は兵庫県と神戸市)は、 都市計画または土地区画整理事業のため必要があると認めるとき、 災害発生から1ヶ月(延長1ヶ月)に限り、 建築を制限または禁止することができるとしている。  被災市街地では、 震災直後から応急対策とあわせて、 被害実態を把握し、 復旧・復興の方針をたてていく必要にせまられた。 その中で建物被害が大きく、 道路・公園等の基盤整備が未整備な地区については、 無秩序な市街地再建をさけるため、 何らかの都市計画または法定事業を実施することを前提とした対応が検討され、 そのために必要な建築制限を行ったのであった。


建築制限と復興都市計画

 神戸市では2月23日、 「震災復興まちづくりニュース(第3号)」で、 建築制限の行われている区域の6地区について復興計画案が示された。 3月17日には、 各市の建築制限区域について、 各市町・県の都市計画審議会を経て、 土地区画整理事業と市街地再開発事業の都市計画決定が行われた。 この都市計画決定と同時に、 都市計画区域について、 被災市街地復興特別措置法に基づく「復興推進地域」の指定も行われた。

 建築制限は、 被災市街地復興特別措置法(2月26日施行)によっても可能であったが、 各市町とも既存の建築基準法の運用により対応し、 特別措置法による被災市街地復興推進地域指定(建築制限2年)による制限は行っていない。


都市計画法による制限

 また、 都市計画決定後、 都市計画事業区域内で建物を建築しようとする場合は、 都市計画法53条によって、 許可が必要である。 このため一定の建築行為は制限されるが、 2階以下で地階がない木造の建築物の建築は可能である。 このため、 事業区域内でも、 地区によっては戸建て住宅の再建がかなり進んでいる状況も発生しており、 事業を進めるうえで換地計画、 事業費への影響が懸念されている。

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