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最大の被災都市・神戸における住宅復興のマスタープランは「神戸市震災復興住宅整備緊急3か年計画」(以下「住宅復興3か年計画」)と「神戸のすまい復興プラン」(以下「すまい復興プラン」)から成る。 「住宅復興3か年計画」は震災発生2か月後の1995年3月17日に案が公表され、 同年7月7日に確定計画として策定された。 「住まい復興プラン」は震災発生1年半後の1996年7月に、 当時の仮設住宅居住者の実態・公営住宅の供給状況等を踏まえ「住宅復興3か年計画」の一部見直しを行ったものである。 以下は概要である。
計画実現のために様々な施策の提案も行った。 建築物が集中的に倒壊または焼失した地域では面的整備事業を導入し、 まちづくりと連携した住宅供給・住環境整備を推進することとした。 公営住宅の早期・大量供給ために、 民間建設の住宅の借り上げ・買い取り制度を導入した。 わが国最大の住宅供給主体である住宅・都市整備公団には被災市街地内での公団住宅の大量供給をはじめとして、 市営住宅の建設代行など多方面での役割を期待した。
市民の自力による住宅再建の推進のためにも各種の支援制度を計画した。 「こうべすまい・まちづくり人材センター」「こうべ復興住宅メッセ」「すまい・まちづくりファンド」など、 その後の住宅復興に大きく貢献する施策を提案できたものと考えている。
1 住宅マスタープラン
住宅復興3か年計画
神戸市震災復興緊急整備条例の第4条に市長の責務として「市長は、 市街地と住宅の復興に関する計画をすみやかに策定し、 これを市民、 事業者に広く公表するとともに、 震災復興事業を推進し、 必要な施策を講じる責務を有する。 」と定められている。 住宅復興3ヵ年計画はこの定めによる「住宅の復興に関する計画」である。 この計画における、 すまいとまちの緊急整備の基本方針は次の5点である。
(1)市民・事業者・市が一丸となって、 それぞれが主人公であるとの自覚と責任のもと協働によるすまい・まちづくりに取り組む。
住宅種類別の住宅供給目標戸数は表-1のとおりである。 震災により大破・焼失した住宅の戸数を82,000戸と推計した。 震災時に建設中の住宅および空き住宅を1万戸と設定、 その差の72,000戸を3か年で建設すべき戸数とした。 持ち家29,000戸、 借家43,000戸である。 公営住宅は10,000戸を予定。 その内、 市営住宅は7,500戸で、 1年当たり2,500戸となる。 これは震災前の600戸/年に比べると4倍以上のペースである。
(2)住宅供給主体の総力を結集して、 市域全体で良好な住宅の早期大量供給をすすめる。
(3)まちづくりと連携した住宅整備を総合的にすすめる。
(4)自力で住宅の確保が困難な高齢者・障害者への住宅供給を重点的に行うとともに、 市民の自助自立を可能とする施策を展開する。
(5)災害に強いすまい・まちづくりをすすめるとともに日常生活における安全性・利便性を高め、 神戸らしいすまい・まちづくりをすすめる。
すまい復興プラン
住宅復興3ヵ年計画にもとづく住宅復興が順調に進む一方、 仮設住宅居住者の実態調査が実施され、 被災者の住宅に関する意向や要望がより具体的に、 また詳細に明らかになってきた。 民間による低家賃住宅の再建が低調なこともあり、 公共による低家賃住宅の供給戸数の拡大および家賃軽減制度の制定が緊急の課題としてクローズアップされてきた。 すまい復興プランはこの課題に応えるべく震災発生後1年半を経過した1996年7月に公表された。 内容は大きく分けて、 (1)住宅復興3か年計画における公営住宅供給戸数の拡大、 (2)家賃負担の軽減制度の創設、 (3)仮設住宅から恒久住宅への移転の支援および民間住宅復興支援、 の3点である。◇住宅復興3ヵ年計画における供給戸数の見直し
表1 住宅復興3か年計画の目標戸数→すまい復興プランによる修正戸数 |
表2 公営住宅等「低家賃住宅」の供給見通し(戸units) |
表3 震災一般減額制度「新築住宅」 |
表4 震災特別減額制度「新築住宅」 |
また民間賃貸住宅へ入居する被災者にも家賃負担軽減制度が適用されることになった。 家賃の軽減額は最大で家賃の50%もしくは3万円で1999年度までが補助対象期間、 軽減額(補助額)は毎年逓減し最終年度は家賃の6分の1もしくは1万円が軽減されることとなる。
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