震災復興のための新たな法制度
今回の震災復興に対しては、 関東大震災や戦災御の復興におけような「特別都市計画法」の立法は行っていない。 既存の都市計画関連法制度を、 行政の裁量権内で積極的に活用し、 市街地の再建・整備を行っていくことを基本としている。
その中で、 震災復興のために新たな法制度として、 主に政府機関の組織の体制について定めた「阪神・淡路大震災復興の基本方針及び組織に関する法律(阪神・淡路復興法)」(平成7年2月24日公布・施行)と、 市街地の緊急復興と防災性の高いまちづくりを実現するため都市計画・土地区画整理事業・住宅供給等への特別措置を講ずること位置づけている「被災市街地特別措置法」(平成7年2月26日公布・施行)がある。
「被災市街地特別措置法」
この法律の主な内容は以下の5項目である。 なお、 この法に基づく特例措置を受ける事業については事業名に「震災復興」の名称が冠されている。
1) 大規模災害により相当数の建築物が滅失し、 土地利用の動向等からみて不良な街区の環境が形成されるおそれのある地域に対して、 「被災市街地復興促進地域」の指定を行い、 「緊急かつ健全な復興を図るための市街地の改善方針」を定めることができる。
この促進地域の指定を行っている地域内では、 (1)土地区画整理事業、 市街地再開発事業等の特例が適応され、 (2)土地区画整理事業等の都市計画決定までの間の一定の建築行為等の制限(災害発生後2年間)が可能である。
2) 被災市街地復興土地区画整理事業の施行においては、 (1)換地の特例による集約換地を前提とした「復興共同住宅区」を指定することができる、 (2)保留地の特例により、 公営住宅や防災のための施設等の整備用地を確保することができる、 (3)換地計画において土地の一部に代える施行区域内の住宅の給付(清算金に変わる住宅等の給付)、 (4)施行地区外での住宅建設と換地計画における住宅並びに敷地の給付が可能である。
3) 市街地再開発事業の特例としては、 (1)第2種市街地再開発事業における「重要な公共施設の緊急整備」等の要件が撤廃されている。
4) 都市開発資金制度による土地の買い取りの支援の拡充
5) 住宅供給等の特例として、 (1)被災者等に対し、 被災後3年までの公営住宅等の入居者資格の特例の付与、 (2)地方住宅供給公社の被災市町村の委託による公営住宅等の建設・管理、 (3)地方公共団体の要請に基づき、 住宅・都市整備公団が被災市街地復興土地区画整理事業等を施行、 被災市町村における道路など公共施設の整備の代行、 委託による住宅の建設・管理・調査及び技術を提供することができる。
この特別措置法では、 都市計画事業制度等の特例的ふん用が位置づけられているが、 法律制定に先行して、 市街地復興のための土地区画整理事業、 市街地再開発事業の計画策定作業が進められたため、 都市計画決定段階で、 促進地域指定とあわせて、 特別処置法の内容が調整されることとなった。