都市の記憶
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開催への経緯

シンポジウム実行委員長

押 田 榮 一

 

改行マークこのたび、 多くの皆様のご協力をいただいてシンポジウム「都市の記憶」の記録書を上梓できることになりました。 この機会に開催への経緯をご報告申します。

まず、 このシンポジウム開催の呼びかけ元となった「神戸高校の校舎を考える会」のいきさつから申します。 高度成長の波にのって、 沢山の歴史的建築物が近代化の名のもとに次々と建て替えられましたが、 六甲山を背にし中世ヨーロッパの古城を思わす、 兵庫県立神戸高等学校の校舎もその対象になりました。 昭和十三年に建てられたこの建物は、 日本建築学会の『日本近代建築総覧』(一九八〇)にも保護すべき建築リストの中で「特に重要な、 注目すべきもの」として選ばれています。 経年による老朽化を理由に建て替えの計画が進められていたこの校舎を社会資産として、 保存・再生利用するための運動を震災前の平成六年よりはじめておりましたが、 あの大地震でも、 古い、 危険建築物だと言われた校舎はビクともせず残りました。 老朽化といわれながらも、 質の良い建築物は構造的にはむしろ堅牢であることが証明されたわけです。

震災後の復興の中で、 愛すべき神戸の風景が大きく変わってゆくのを見るにつれ、 何が神戸らしさだったのか、 神戸らしさを持続する復興はどのような形であるのか、 この運動を通じて、 神戸市内で多くの方々が同じような考えで、 それぞれ活動されていることを知りました。 そこで一度、 これらの人々が一堂に会して意見を交わそうではないかと、 声をかけましたところ、 幸い十もの団体のご賛同が得られ、 共催という形で平成八年十一月に第一回シンポジウムを持つに至りました。

準備や経費などは勿論みんなのボランティアですが、 幸いHAR基金、 兵庫県建築士会、 日本建築家協会から助成金を受けることになり、 おかげさまで平成九年、 十年と有意義な会を重ねることができました。

関係各位のご理解お励ましに対し、 関係諸団体深く感謝いたしております。

(一九九九・四・一六記)

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