海岸ビルヂング(兼松商店)(明治44年竣工、 設計:河合浩蔵) |
さきほど、 異人館の話をしましたけど、 異人館だけじゃなくて、 居留地周辺には、 大体五十棟ぐらい、 戦前の近代建物があったんです。 それがどんどん壊されていって、 震災前は十棟ぐらいになったと思うのですが、 それでも震災前にはかなりあったわけです。
私の事務所が入っていた海岸ビルヂングというビルは、 明治四十五年に河合浩蔵さんという方が建てられたビルなんですが、 この方がちゃんと地盤改良をし、 なおかつ第二次大戦後修復するときにちゃんとした建築家が耐震壁を入れた建物だったので、 ほかのレンガ造が潰れても、 この大きなレンガ造りのビルはひびこそ入ったものの倒れなかったんです。 河合浩蔵さんは明治の中期に耐震理論を一生懸命やっておられた方なんで、 河合さんの建物は二〜三棟残っていたんですね。 修復していくべきだと思いましたが、 やっぱり経済的な論理で全部取り壊されたわけです。
震災前の栄町通(撮影:高橋裕嗣) |
震災後の栄町通の風景 |
竹山:
どうもありがとうございました。 僕が入っていたビルも同じ河合浩蔵の設計だったんですが、 基礎が抜けまして、 取壊しになりました。 また復元されるそうですが、 写真を見ると涙が出そうになるんですね。 そういう記憶は大事だと思います。 では、 小松さん、 お願いします。