東部地域まちづくり文化のツール
左三角
前に 上三角目次へ 三角印次へ

旧村の名残としての財産区について

東灘、 灘の旧村の名残−財産区

改行マークこのような経緯を持つ、 東灘、 灘ですが、 ここでのまちづくりには、 独自のやり方があると思います。 と言いますのは、 両区とも神戸市に合併してからそれほど時間が経っておりません。 特に東灘の場合は、 いまだに、 江戸時代の旧村の名残があるのです。 その一つは、 私が属しております深江の史料館の母体である財産区という存在です。

改行マーク財産区とは、 特異な存在で、 地方自治法に定められた特別地方公共団体です。 これは、 神戸市には割合と多く見られます。 それぞれの村には、 山林、 池、 土地など、 江戸時代以来のその村独自の共有財産があります。 その財産を管理する団体が財産区という存在なのです。

改行マーク東灘を例に取りますと、 旧村ごとにほぼ財産区は存在しています。 本庄ですと、 深江、 青木、 西青木、 一つずつ財産区を持っておりますし、 本山も、 森、 中野、 小路、 北畑、 田辺、 田中、 岡本、 野寄が全部財産区を持っております。 魚崎の場合は、 全国でもめずらしい議会を持つ財産区です。 御影も財産区があります。 しかし、 住吉だけは、 財産区ではないのです。


住吉学園−村の共有財産を管理する財団法人

改行マーク住吉村は、 合併の時に、 非常に賢い選択をします。 繰り返しますが、 財産区とは地方公共団体です。 お金を使う時には市長の決済が要るのです。 住吉村の人達は、 住吉村自身でお金を使うことにこだわったのです。 ですから、 住吉村は財産区にはせずに、 住吉学園という財団法人をつくり、 そこに旧住吉村の財産を全部集めました。

改行マークこのあと、 だんじり(地車)のお話があると思いますが、 だんじりの祭りをする時には、 財産区からはお金が出せません。 政教分離の原則があるからです。 一種の宗教行事である祭りには、 公共団体である財産区はお金を出せません。 ところが、 住吉学園は財団法人ですから、 祭りにお金を使うことができるのです。 村固有の財産を自由に使うことができるという意味で、 住吉村は正しい選択をしたと思われます。


歴史とまちづくり

改行マーク東灘、 灘には、 こういった財産区、 あるいは財団法人があり、 戦後五十年たった今も昔の村の影響を受けています。 ですから、 それがある限り、 その意向を無視したまちづくりは絶対できません。 この影響は戦後から五十年以上が経過し、 世代が交代しても、 次の世代に受け継がれています。 このことを知らずに、 つまり江戸時代以来の歴史を知らずに、 まちづくりはできないと思います。

左三角前に 上三角目次へ 三角印次へ


このページへのご意見は神戸東部市民まちづくり支援ネットワーク

(C) by 神戸東部市民まちづくり支援ネットワーク

支援ネットワークホームページへ
学芸出版社ホームページへ