ところでおしゃれな飲み屋と言えば、 芦屋にカフェバーみたいなおでん屋があり、 女性客がよく来てはやっています。 私も時々行きますが、 壁に並んでいる酒を見たら驚いたことに灘の酒が一本も置いてないのです。 全部地方の地酒で、 どうもそっちの方がおしゃれな感覚のようなのです。 多分、 どこででも手に入る大手の酒は面白くなくなってきているのでしょう。 地ビールや地酒がもてはやされるのは、 大量生産の商品に飽きてきたことの現れではないでしょうか。
そうは言っても、 灘には付加価値の高いお酒を造っているところがまだまだたくさんあります。 ただ、 なんとなくそこら辺の自動販売機で買える酒というイメージがあるところが不幸なのです。
それでも灘五郷は「酒の都」というイメージがありますから、 地元には酒の生産だけでなく、 酒を楽しめる雰囲気がもっと欲しいと思うのです。 それを意識してまちづくりをして欲しい。 力のあるメーカーさんはそういうことも考えているようで、 「酒心館」という店ができました。 ここではいい雰囲気でお酒が飲めるよう工夫されています。 ホールもギャラリーもある。 アベックだけでなくファミリーでも行ける雰囲気です。
「酒心館」だけでなく、 酒の都・灘ならではの文化をもっと広めて欲しいものです。 編集者上がりのプロデューサーである私としては、 仲間と酒を飲みながら話ができるサブ編集室みたいな部屋をどこかの酒屋さんが提供してくれないかと思います。
こういうことを思いついたのも、 東京の編集者が関西在住の作家に年始の挨拶に来るとき、 そんな場所があれば面白いと思ったからです。 東京から来た編集者はまず西明石で下りて垂水の筒井康隆邸へ、 その次に六甲の陳舜臣邸、 西宮の黒岩重吾邸、 伊丹に回って田辺聖子邸、 宮本輝邸、 箕面の小松左京邸に寄ってから帰るんだそうです。
文化人が集まれる場所があれば、 その土地のイメージアップにもなると思います。 小説にも灘の酒が登場することになります。 町並も出てきます。 当初は赤字であっても、 付加価値をつけると思って十〜二十年計画で関西編集室を作り、 東京の作家も遊びに来られるようにできればと思います。
「酒蔵のまち」ならではの雰囲気のいい店を
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