いろんな文化施設ができることは芸術をする人にとっては楽しみな事ですが、 やはり施設を運営する側が「何をしたいのか」を明確に持っていないと単なる貸しホールになってしまいます。 いつの間にかヤクザの集会に使われてしまうこともあるのですね。 だから、 どういう人に使ってもらうか、 施設の特徴をはっきりさせる方が芸術活動をしている方も使いやすいのです。 新人発掘のための施設であるとか、 力のある人だけにやってもらう場所であるなどの特徴をはっきりさせることが大いに必要だと思います。
ですから、 このTOZAWAコートがどんな風に使われるかは、 オーナーの考え方ひとつです。 施設のイメージが上がるか下がるかは、 オーナー次第でかなり違ってくると思います。
この東灘という地域は、 神戸の中では特殊だと思います。 いろんな美術館がありますが、 意外にもそこがリンケージされてなくて、 どう使われているのか分かりづらいという気がします。
企業メセナにしても、 今のような不況下では企業はお金を出しません。 企業ホールがあるところでも、 必ずオーナーが「採算性を上げろ」と言い出してホール代だけがどんどん上がっています。 これが今の芸術を支える背景の現実です。
ですから、 それぞれの地域がそこの文化特性を持った形で、 よい運営をしていただきたいと思っています。
文化施設運営の課題
東灘文化協会 庵原豊治
「東灘文化協会」は震災後にいろんな芸術活動に携わっている人たちが集まって出来た団体です。 「人びとにとって芸術とは何だったのか」「今、 私達にできることはあるか」と話し合っているうち、 芸術家だけでなく一般の方々も参加してもらって始まりました。 活動は、 今二年目に入っています。
施設の特徴をはっきりさせる
一般に「参加型」は、 日本人が苦手とするところです。 お上が何とかしてくれるのを、 ただただ口を開けて待っているのが日本人の特性だと思います。
官営にはできないことをする
文化施設についてひとつ指摘しておきたいことは、 官営の施設の中にはむしろやってくれない方がいいところもあることです。 例えば、 美術館で夕方五時に閉まったりすると、 普通に働いている人は見に行けません。 官営は市民の税金で建てたものですから、 運営も市民がするべきでしょう。 民間に任せた方が本来の姿だと思うのです。 管理さえしっかりしていれば、 夜の十時、 十一時まで開いていてもいいのです。 これは私だけの意見ではなく、 芸術活動をしている全て人の意見だと思います。 民の方がどこまで積極的に動けるかに、 私は注目しています。
日本の文化活動の場とは
一般的に、 今は芸術活動の場がありません。 発表する場もなければ、 それをプロデュースするところも非常に少ない。 プロデュースの世界はいわば魑魅魍魎が横行する所で、 すごく高いギャラを請求する音楽事務所もあるのですが、 肝心のアーチストには微々たるギャラしか回らないことも多いのです。 関西よりも東京の方が芸術活動の場はたくさんあるはずなのですが、 東京ですら音楽家を始めとするアーチストの現状は悲惨なのです。
このページへのご意見は神戸東部市民まちづくり支援ネットワークへ
(C) by 神戸東部市民まちづくり支援ネットワーク
学芸出版社ホームページへ