研修会報告
去る、4月28日(土)第一三共株式会社会議室にて第508回学術研修会を行いました。
今回は、音羽病院医局秘書課のハースタッド レイフ マーティン氏を講師にお招きし、放射線技師のための英会話ということで、放射線業務での会話を学びました。
今回の英会話の内容は、胸部レントゲン撮影やCT検査、MRI検査などを行うために、最初の患者への声掛けから始まり、検査の説明、脱衣、そして実際の検査での会話、終了時の声かけ等、実際に非常に活用できるものでした。
その会話を実践しながら検査をするシュミレーションをしたり、参加者みんなで言ったり、また紹介された中には無かった単語を質問されたりと、なかなか活発な研修となりました。
しかし、実際外国人を目の前にしなくても、英語を口に出すのはなかなか出来ないものです。ジェスチャーを交えるのもよいということでしたが、理解できないときにははっきりとわからないというのも大事であるということでした。
最後には、独り言や、笑い声は外国人にとって、自分のことでは?という不信感が生まれてしまうので、気をつけてくださいということでした。これは普段から気をつけておくことでしょうが、改めて認識しました。
研修の中で、全米国病院協会では「Point-To-Talk」というパンフレットを作り、診察時英語ができない患者が必要な項目(お腹が痛いとか熱が出たなど)を指で指すだけで医者に伝えられるというものがあるらしく、それぞれの病院にあった「Point-To-Talk」のようなパンフレットを活用してはどうか?ということもありました。
今回は英会話の研修でしたが、日本人は読み書きのほうが得意で相手に書いてもらうのも、一つの方法であるなど、色々気づかされることも多い研修でした。
(文責 原口)
平成19年度両丹地区春季研修会報告
新しく1.5テスラMRIを導入された府立与謝の海病院にて5月19日(土)に平成19年度両丹地区春季研修会を開催いたしました。37名の参加者があり2題の演題と装置実演をおこないました。演題1は 「早期アルツハイマー型認知症診断支援システムVSRADについて」(講師 エーザイ株式会社 関西北陸エリア企画部 伊神 多賀冶氏)で、ソフトの紹介、使用方法、精度などについて講演いただきました。演題2について以下に後抄録をご報告いたします。
演題2「1.5テスラMRI装置の使用経験(体動補正技術など)」
講師 大下 安彦(京都府立与謝の海病院 放射線科)
平成19年4月から当院に導入された1.5テスラMRI装置は、体動補正シーケンス(BLADE)が付加されている。当院の立地する京都府北部地域は、いわゆる「過疎地域」で京都府の中でも高齢者率の高いところである。一般にMRI装置は、アーチファクトの集合体の画像とも言われているが、近年登場する高速シーケンスや固定法、phase方向の検討などでアーチファクトはかなりの改善されている。そうした中、SE系のシーケンスの画像が主となる領域、例えば、頭部においてはTurboSEシーケンスが用いられる場合が多い。臨床の場において、意識障害で静止困難な場合など体動により撮像が困難となるケースはよく遭遇するであろう。従来なら画像を諦めねばならないようなケースでも、このk-spaceの回転充填を利用したBLADEシーケンスを用いることによって撮像改善が図れ臨床で有用であることを、この研修会では実際の症例を元に解説した。
はじめに、当院におけるMRI検査割合を示し、その中で高齢者の割合を報告した。近隣の中丹や京都府全体との人口比率を示すとともに、MRI検査を受けた高齢者の割合が多いことを示した。
ここでより理解を深めるために、BLADEの特徴的な「1つのエコートレインのエコー信号を束にしたものをk-space上で回転するように充填」という原理等を図解で説明した。実際のケースとして、高齢者の意識状態不良、小児の固定困難な頭部の画像を示すとともに、健常ボランティアでBLADEの回転率を変化させた画像とルーチン検査の画像比較をした。
BLADEのメリットとして、体動抑制が困難な場合や高齢者が多い地域などでは有用であると思われ、あらゆる断面で簡単に体動補正ができる。一方注意点として、BLADEを利用できるのはTSEシーケンスに限られること、使えるエコーファクターの影響などによりコントラストが変わってしまうこと、折り返しアーチファクトの考慮、計算の複雑化でハードに負担をかけることなど挙げられる。また、確実に体動抑制できるとも言えない症例もあった。メリットを有効に使うためにも状況に応じてシーケンスの選択ができる技師の判断力が重要と提起した。
今回は頭部領域での解説となったが、今後は呼吸性体動や腸管などの蠕動など動きを抑制するのが難しい部位への応用の可能性があり、活用していく展望を示した。
(文責 糸井)
平成19年度全地区委員会報告
7月7日(土)午後4時より、ぱるるプラザ4F(研修室3)にて平成19年度全地区委員会が開催された。参加者は三役及び常務理事が10名、名誉会員3名、地区理事5名、監事1名、地区委員15名(組織委員兼務1人含む)、組織調査委員3名の計37名でした。久保田理事の司会により開会した。今年は例年と少し志向を変更し、最初に嶋田豊三氏による医療訴訟に関するミニセミナーを行った。内容は以下の内容であった。(抜粋)
・医療事故の分類、・事故防止指針・件数の推移・事例集、問診、同意書、リスクマネジメント、リスクセンスなどであった。質疑応答は時間の都合上行わなかった。
次に轟会長から挨拶が行われた。内容は、最初に年度末の臨時総会時において定款の改正が承認されたとの報告があり、日放技の総会報告ならびに京放技の事業内容予定を中心になされた。そして法人大改正に向けて尽力していくので会員の皆様の協力をお願いしたいとの事であった。「日放技の会費納入時期が9月から4月に変更になるので早く納入してください」とも言われた。そして免許更新制度についての説明があった。基本は4年制大学卒の資格に備えるものである。3年制短大や専門学校卒の技師が更新するためには下記の項目を取得する必要があります。
・ADセミナー4科目:救急医療学、医療安全学、看護学、医療学(4年制では必須科目である)
・各技能検定の取得(不確定)・放射線技師全員が更新できるシステムにする予定である。・技師会会員を重視(更新順番や条件)
AD取得率状況等について質問があり、会長より説明がなされた。本部や鈴鹿ではなくできる限り
京都で続けて行きたいとの回答であった。
次に地区委員からの質問は下記のような事であった。
・ベーシックカード未取得の理由や取得までの不満について・ADセミナーの料金が15,000円なのは妥当かについて
会長や北村副会長より回答がなされた。
時間の都合上十分な討議が行えたとはいえないが、造影剤における医療訴訟の問題や技師の将来に対する不安など内容の濃いものになったと思う。
全地区委員会というのは、地区委員と執行部が直接に意見や要望を話す機会を持ち、技師会を知ることのできる貴重な会合です。
会員の皆様は必ず地区に所属しており、直接話をできることが多いのが地区委員です。今後さらに連絡などの関係を密なものにしていきたく考えていますので、会員の皆様には技師会の行事には積極的に参加していただけますようお願い申しあげます。ただ今回地区委員の参加が15名の参加というのが非常に残念に思えました。
そして意見や要望があれば地区委員や地区理事またはダイレクトでも結構ですので執行部に知らせてください。来年以降も全地区委員会を継続することで、技師会活動の活性化につながることを説に願っています。
(文責 熊井)
平成19年度(社)京都府放射線技師会夏季研修会及び両丹地区夏季研修会報告
9月1日(土)2日(日)の両日において、平成19年度(社)京都府放射線技師会夏季研修会(第509回研修会)及び両丹地区夏季研修会を開催致しましたので報告いたします。
9月1日(土)の演題と講演を以下に示します。
演題1「デジタルX線TV SONIALVISION safireの使用経験
〜その特徴とデジタル断層撮影など〜」
演者 市立福知山市民病院 放射線科 橋岡 康志 氏
装置導入において経験された透視画像における問題点とその改善(@透視条件の設定法、A画像表示処理の設定変更、BX線線質等の変更)、トモシンセシスの特長(@一回の断層撮影で任意の高さの断層像が得られる。A金属アーチファクトの影響を受けにくい。B被験者が自由な体位で撮影できる)について詳細な発表がなされた。
演題2「放射線技師にとって遠くて近いHIV/AIDSの話」
演者 国立病院機構福井病院 放射線科 筒井 孝彦 氏
HIVの最新の話題(治療方法の現状、地域別の累積感染者数・患者状況、北陸のHIV患者の特徴など)から、エイズ拠点病院としてのHIVマニュアルの紹介・解説、放射線技師としての立場について発表がなされた。
講演 「医療現場で使える手話セミナー」
講師 京都府聴覚障害者協会 与謝支部長 前田 弘美 氏
与謝郡聴覚言語障害センター 木村 公之 氏
聴覚障害者の前田氏をお招きし、木村氏の解説のもと会場全員参加の楽しい講演でした。
9月2日(日)の講演を以下に示します。
講演「救急医療における看護師の役割」
講師 京都府立与謝の海病院 看護部 坪倉 洋子 氏
救急看護の定義・特徴・役割から救急時における全身観察(初期評価:@意識レベルA呼吸状態B循環状態C体温などの評価 二次評価:@意識A行動様式B異常運動C体位D皮膚E姿位F頭部・顔面G頸部H胸部I腹部J骨盤K四肢の評価)まで、詳しく解説していただきました。
講演「救急時における一般撮影・CT画像の読影ポイント」
講師 公立山城病院 放射線科 中岡 宏安 氏
CT画像を中心に一般撮影画像をまじえ、救急CT撮影時におけるそれぞれの部位・疾患での撮影方法の選択(ヘリカル撮影、コンベンショナル撮影の選択)、撮影タイミングの設定、処理の選択(有用な再構成画像)、読影ポイントについて解説いただきました。
第510回研修会報告
去る、10月13日(土)メルパルク京都(旧ぱるるプラザ京都)にて第510回研修会が行なわれました。今回は、学術委員会の林理事より『非造影MRアンギオの実際と最近の話題』と題して、最近のMRI用の造影剤による副作用の紹介から始まり、林理事の所属施設である音羽病院での検査についての同意書の扱いや、造影検査での血液データの照会による造影の適応の決め方など放射線科医の見解などをふまえた、現場での取り組みが紹介された。その後会場に参加されている他施設での取り組みについてのデスカッションも行われ、会場からはどこの施設もよく似た現状であることが報告された。次に音羽病院での非造影MRアンギオが紹介され、現在取り組まれている非造影での腎動脈の画像が紹介された。撮影のパラメータを工夫することによる画像の明瞭化が進む様子が確認できた。腎動脈を撮像したい患者様は腎機能がよろしくない患者様が多く、非造影でのMRアンギオが必須となり今後とも画像の改善に努めたいとのことでした。次に東芝メディカルシステムズの鈴木 利治氏が以前より取り組んでこられた非造影MRアンギオの歴史から最新の話題について、多くの画像を用いての資料提供が行われました。現場で参考になることが多い研修でした。
(文責 学術委員)
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