【 放射線と放射能の違いは】
★放射線の定義
放射線には種々の作用がありますが、最も共通した作用は物質を電離(イオン化)することです。例えば人体に照射された放射線は、組織内の水を電離して水素イオンと、水酸化イオンに分解します。これらは化学的活性化が高く生体物質を変化させ、生体に最も影響を及ぼす課程となります。そこで電離作用に注目し、物質の代表として最もありふれた空気を取り上げて放射線は通常次のように定義されています。
『空気を電離する能力を有する粒子線または電磁波(光子)』
法律上では、原子力基本法は『電磁波又は粒子線のうち、直接又は間接に空気を電離する能力をもつもの』診療放射線技師法では『アルファ線及びベータ線。ガンマ線。100万電子ボルト以上のエネルギーを有する電子線。エックス線。その他政令で定める電磁波又は粒子線』ここで空気を電離できるエネルギーは30数eV(エレクトロンボルト=電子ボルト:エネルギーの単位で1eV=1.602×10*10 J)であって、これよりエネルギーの高い粒子線はすべて放射線となります。
放射線によく似た作用を持っている身近なものでは、電子レンジがそうであって、30eV以上のエネルギーを持っておらず、又電離作用は有していないから放射線とは言えませんが、物を温めている電磁波の作用は放射線の作用と同じなのです。
★放射能とは
放射能はもともと放射性物質が放射線を出す能力のことです。放射性物質は、原子が崩壊して別の原子になるとき、放射線を放出するが、この時の単位時間当たり崩壊数を放射能と呼ぶときもあります。放射線と放射能の違いを説明する例えとして『炭に火をつけた時、赤く見える炎が放射線で、手をかざして温かいとか、その熱で調理するエネルギーを出す能力が放射能。』と言えます。
放射線の単位
吸収線量:単位(Gy)グレイ 1Gy=1J/kg
等価線量:単位(Sv)シーベルト 1Sv=1J/kg 1Sv=1000mSv
実行線量:単位(Sv)シーベルト 1Sv=1J/kg
吸収線量は重さあたり、放射線によって与えられたエネルギー
等価線量は吸収線量に線質係数を乗じたもの
実行線量は人体に不均一に照射された場合でも、リスクの評価ができるようにするための値で、複数の組織、臓器の等価線量に組織荷重係数を乗じた総和で表される。
自然放射線量は年間2.4mSv。(日本)胸部撮影一回の約24倍。
放射線障害が起こりうる最低線量は200mSv
但し100mSvで胎児の影響が考えられ、150mSvで男性の一時不妊が考えらえられる。又年間750mSv以下では、放射線障害は考えにくい。
なんか難しい言葉が並んでいるようですが、リスクを説明していく上でどうしても解かって頂きたいのが『放射能』『単位』なのです。数字で比べても単位が解からなければ比較しようがないので、理解して下さい。
診療放射線技師からのインフォムド・コンセント第二弾!
第一弾から1ヶ月たち、やっと第二弾が出来上がりました。文面でお話するのはスライドを見て講演するより難しいことを痛感しております。前振りはこの程度にして、今回は《前回の復習》と《リスク説明》についてお話します。
まず復習からです。前回お話した、放射線と放射能の違いご理解頂けたでしょうか?
よくマスメディアで【○○で(から)放射線が検出されました】と報道されますが、自然界に放射線はあるもので、当たり前の話なのです。問題なのはどれだけの放射能量が検出され、放射線の種類がなになのかが大切なのです。(種類の判別は難しいと思うが・・。)いつもマスメディアに対して思うのですが、過剰意識をもたすような表現はやめて頂きたいと思います。皆さんも放射線と放射能を混同しないよう気をつけましょう。
次に放射線の単位について理解できました?完璧に理解するのは難しいと思います。
何故なら私も学生時代、苦労科目(計測学)の一つだったからです。(全て苦労科目だったりして(笑))
しかし気がつく方は、(アレ?)と思われたのではないでしょうか?
それは、吸収線量 :単位(Gy)グレイ 1Gy=1J/kg
等価線量 :単位(Sv)シーベルト 1Sv=1J/kg
実行線量 :単位(Sv)シーベルト 1Sv=1J/kg
の部分で、GyでもSvでも結局は同じ単位ではないかと言うところです。
この様な、実行線量とか、吸収線量を理解するには単位に注目し、その意味を知ることが近道になる時があります。例えば、今回のJ/kgですが、Jはエネルギーを表す単位。kgは重さを表す単位であり、(これは、暗記しましょう!!)それを( / )で割り算をしていますから、J/kgは重さ当たりのエネルギーを表したものとなります。もう一つ例を挙げてみます。
人口密度を単位で表すと…、人口密度は、面積当たりの人の数になりますから、人/kuと表される訳です。この様な表現をする単位をSI単位といって世界共通単位として認められています。日本では1992年5月より正式に導入されました。こにより知っている方は知っている放射線の単位(Rレントゲン)(remレム)(Ciキューリー)(radラド)は廃止されました。身近なSI単位は(mメートル)(gグラム)があり、(坪)(尺)(里)などは日本独自の単位なので、使わなくなりました。ちなみに換算は次の通りです。
1rem=100mSv(実行線量)1rad=10mGy(吸収線量)1Ci=3.7*1010(放射能)
1R=0.258mC/kg(照射線量)】
話が脱線しました。(^^;)本題に戻ります。
吸収線量、等価線量、実行線量とも、全て放射線のエネルギーを表していることが単位から解かります。ではなにが違うかというと、吸収線量は説明通りで、それに放射線の種類により変わるエネルギーのピークを元に換算された放射線荷重係数を考慮したのが、等価線量になります。ですから吸収線量と、等価線量は同じJ/kgで表され、意味合いが変わるので、GyとSvに単位表現が変わってきます。
実行線量は最初に説明した通り、医療界で全身に放射線を浴びせることは考えられませんので、一部に照射された放射線量を全身に照射したと考えて、組織荷重係数を乗じて表されたものです。この数値が被曝量を表します。等価線量、吸収線量も被曝量の指標として用いられますが、あくまで指標であって、=被曝量とは言えません。
今までの説明で必ず実行線量 ≦ 等価線量 ≦ 吸収線量となることがお解かりになるでしょうか?
後、単位で知っておいて欲しいのは、mミリ、?マイクロ、kキロ、Mメガ、Gギガなどの単位量です。
【1Svの放射線量が検出されました】 【1000mSvの放射線量が検出されました】
この文で後者の方が放射線量が多いと感じられませんか?そう思うのは私だけでしょうか?二つとも同じ内容の報道なのですが、受け止め方によっては、過剰意識をもたす表現だと思います。皆さんも正しい単位量を覚えましょう。
1Sv=1000mSv=1000000?Sv。(1mSv=1000?Sv)
1GSv=1000MSv=1000000kSv=1000000000Sv。
復習をしているうちに紙面がなくなってしまいました・・。(計算だったりして。)
次回は必ずリスクについて説明をしていきたいと思いますので、今回はここまでと言うことで。
診療放射線技師からのインフォムド・コンセント第三弾!
前回の報告から二ヶ月が経過してしまいました。年度末で事務処理業務が溜まってしまい更新が遅れた事を深くお詫び致します。m(..)m
さて一回、二回と単位説明を主に説明してまいりましたので、その知識を使ってリスク説明をしていきたいと思います。
放射線は、使い方を誤れば危険なものだと言うことは皆さんご承知の通りです。できれば放射線は浴びない方が、人体にとって良い事は言うまでもありません。しかしその放射線を利用しているものとして、X線検査、放射線治療、原子力発電などが普段生活している身近にあり、危険と背中併せにある状態です。特にX線検査はかなりの方が経験されていることと思います。
患者さん【最近X線写真を撮ったのですが、又撮って大丈夫ですか?】
技師 【大丈夫ですよ】
よく撮影室で交わされる会話です。この会話だけで、大抵の方は納得され検査を受けられます。果たして本当に患者さんは納得したのでしょうか?私が思うところ、少し気になる程度での質問だったのではと想像します。ただその患者さんは、言葉にして質問されましたが、少し疑問があってもそのまま検査を受けられる患者さんが大半を占めているのだと思います。かといって、検査直前にこの様な質問をされても、私達技師は【大丈夫ですよ】としか答えられないのも現状です。なぜなら、その説明をするのにはこのページのように時間を要してしまうからです。では疑問や、不安を解消するためにはどうしたら良いのでしょうか?
それは、診察時に質問を投げかけるのが最適です。【少し先生には聞きにくい】と言う方は検査直前ではなく事前に技師に質問を投げかけて下さい。予約検査などでは電話でも受け付けてくれる施設はたくさんあるはずです。又当技師会にご質問下さってもかまいません。少し時間がかかるかもしれませんが、可能な限りお答えいたします。
又話が脱線してしまいました。(^^;)
さて本題です。今まで単位の話をメインにしてまいりましたが、その説明の中に1Svと言う表現がありましたが、では放射線を表す数値で1とはどれだけの物?量?となる訳で、今回は、自然界にある放射線量と、身近にある線量と、検査による線量を比較して説明していきたいと思います。
まず自然界にある放射線ですが、発生源は太陽光線(宇宙線)、土壌、人工物としてはコンクリートなどからも放射線は出ています。その1年間の被曝量は1.5mSv(実行線量)で、これは平均的な数値を表し場所、環境によって異なります。地上を0と考えると、山頂では+(宇宙線量が増える為)、地下街も+(土壌、コンクリートからの量が増える為)、となります。又飛行機に乗ると、山頂より高い所にいる訳ですから被曝量は増えるわけで、ちなみに10時間飛行すると0.04mGyの線量があり、これは一回の胸部撮影の約半分に相当します。(パイロット、スチュワーデスさんの業務は私達技師よりリスクを負っている訳です。なぜなら被曝によるリスクもそうですが、それプラス飛行機事故の確率がはるかに高い訳ですから)
この様に人はいろんな放射線を浴びていて総トータルで日本人が1年間で被曝している線量は4mSv前後と言われています。それらの放射線を人は浴びて生活している訳ですから、4、5mSv程度での線量ではなんら問題は無いと言い切ってしまうのが解って頂けますか?
次は医療界での検査による放射線量はどれくらいでしょう?
みなさんはあまりご存知ではないかと思いますが、X線撮影1回の線量は、撮影部位、検査内容、装置によってまちまちなのです。中でもよく比較される胸部撮影ですが、これは被曝量が少ない部類に入ります。腹、腰、頭、乳房などは胸部撮影より線量は多く、腰は胸の10倍の線量が必要になります。
では大まかな線量を下記に示します。ちなみに下記の数値は被曝量ではなく、入射線量ですから御間違えなく!!
胸部0.1mGy:腹部、頭部、骨盤1.2mGy:腰1.7mGy:乳房1.8mGy
(被曝量は必ずこれより少なくなり胸部では0.1mSv、腹部で0.3mSvぐらいになります。)
これらの数値は1994年のデータを参照にしていて、これが1974年のデータですと胸部で40%UP、腰で55%UP、乳房に関しては90%UPになります。
いかに近年医療機器が進歩しているかが解り、現在のX線撮影が安全に行なわれているかお解りになられるでしょうか?(今から思えば昔の方はかなりのリスクを背負って検査をしていたのですね。患者さんも技師さんも。現代の装置で業務が出来てよかった。\(^v^)/)又最近はアナログからデジタル撮影に変わっていっている医療界では、更なる被曝量の軽減が見込まれています。
(しかし、医療の進歩によって被曝が増えている分野もあります。体にメスを入れることなく手術を行なうカテーテル検査です。透視時間(放射線を連続して照射し、モニターに動画として表示する術)が長くなるとどうしても被曝量が増えてしまいます。(しかし命に関わる事態では、少しの被曝量増加は目を瞑らなければならないかと思いますが、50mGyを超えることが無いよう検査、治療が行われています。))
今回のお話はここまで。次回は今回の補足説明と、放射線障害の触りをと考えています。それでは
診療放射線技師からのインフォムド・コンセント第四弾!
またまた、更新にかなりの時間が経過してしまいました。持続することの難しさを痛感しております。この連載も今回入れてあと2回ぐらいで終わりますが、この後も別の内容で、なにかやっていきたいと思っております。ハイ。
レントゲン撮影では人体に影響がほとんど無い(0に近い)ことが解ってきましたか?放射線検査では無害といえますが、少なからず害はありますので、放射線検査を受ける時には必ず被検者に利益が無いと検査をしてはいけません。(意味のない被曝をしてはいけないと言う意味。)被検者の情報が解る利益と、被曝による影響の確立を天秤にかけ、利益がある時だけ放射線検査を実施してもいい訳です。皆さんも検査内容を理解して受診しましょう!
放射線障害について
『放射線は危険だ!』『放射線は怖い』と思っておられる方は多いと思います。特に被爆国日本は、被曝=死と考える方が少なくないと想像します。
では、放射線障害にはどんな物があって、どれくらいの量を浴びると、どうなってしまうのでしょうか?【その説明の前に放射線を浴びると何故障害が起るのか簡単に説明します。放射線を人体に当てると、放射線の作用で人体の原子をイオン化してしまいます。そのイオンの中でも活発な活動をするイオン(フリーラジカルと呼ぶそうです)が細胞内のDNAに傷をつけてしまいます。大抵この傷は完全修復されるのですが、中には細胞死を起こしたり、修復がうまくいかず傷として残ってしまい、人体に障害として表れる事が起るわけです。ですから、たくさんフリーラジカルが生成(大量の放射線を浴びると、やはり多くのフリーラジカルが生成されます)すれば、それだけDNAにつける傷も多くなり、障害が起る確率も上がる訳です。又傷が修復
されるまでに再度放射線を浴びると、やはりDNAの傷は正常時より多くなってしまいます。この考えが『放射線は体に残り蓄積される』と誤解されています。』
放射線障害には人体障害と、遺伝障害があって前者は急性障害と、晩発生障害とにも分けられます。人体障害には白血病、免疫障害、皮膚癌、不妊、白内障、腎不全、発育障害、骨壊死、(以上は晩発生障害)出血、紅斑、脱毛、びらん、潰瘍、精子減少、結膜炎、角膜炎、肺炎、嘔吐、下痢、下血、腎炎(急性障害)など代表的な名称をチョイスしてみました。人体が死亡する時には、大体【多機能不全】か、【多臓器不全】になってしまいます。
名称を見る限り、放射線を浴びなくても起りうる病名ばかりで、特別な病気では無いことが判ると思います。大量の放射線を浴びた時は【放射線障害】と言えますが、極微量の放射線を浴びた時には、自然発生か、放射線によるものか判別できなくなる訳です。それほど放射線障害とは確率が低いものなのです。
では具体的にどれくらい線量を浴びると放射線障害が起るのでしょう?
下記表に表してみました。
線量(年間) 症状 備考
0.05Sv以下 殆ど影響は考えられない。 0.05Sv=50mSv
0.05〜0.25Sv DNAに異常を認めるが血液、人体に変化はない。
0.25〜0.75Sv 特定に人のみ変化が起る。
0.75〜1Sv 10%の人に吐き気が起る。 1Svに達するには胸部撮影で約1万回
腹部撮影で約3千回が必要
1〜2Sv 大半の人になんらかの症状が起る。
3Sv 1回照射で50%の人が30日以内に死亡する。この値は身体内部での線量であって、照射量では4.5Svに相当する。
この様な数値が挙げられます。500mSv以下ではなんら問題ないと言え。0.75Svまでなら、致命傷になる事は考えにくいことが判ると思います。又一回での被曝では200mSvまではまったく問題がありませんが、胎児では100mSvで影響があるといわれていますので妊娠の可能性がある方はよく覚えておいて下さい。
(覚えていますか?自然放射線は、年間どれだけあったか。第3弾をご参照あれ!)
一般的には1Svが『障害が起る線量』と考えられ、備考欄に1Svに達するのに必要な線量を記載しました。この検査回数を超える方がいらしたらぜひ一報下さい。
絶対にあり得ないと言いきれます。
(放射線治療はこの殺傷効力を利用して、腫瘍や癌を殺しに行く訳でかなりの線量が使用されています。よって治療計画というのが用いられ、放射線の照射量を計算して治療が行われています。ちなみに私自身治療に携わった事がないので詳しいところまでは判りませんので悪しからず)
診療放射線技師からのインフォムド・コンセント第五弾!
私がプライマリ・ケア市民講座で講演してからはや、1年が経過いたしました。月日が流れるのは非常に早いと痛感する今日この頃です。本年度のプライマリ・ケア市民講座は、放射線管理士の安藤先生にお願いいたしまして、放射線被曝について講演して頂けました。
又その内容は後日アップしたいと考えております。と言う事で、私からのこの連載は最終回です。最後の今回は放射線の雑学と題して少々、放射線の歴史についてお話しいたします。
放射線の歴史
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放射線の発見は「ウィルヘルム・C・レントゲン」(1845-1923) が、今から107年前の(1895年)11月8日(後に、この日を「レントゲンの日」と言います)真空管の中で電気を放電させる実験を行っている最中にその真空管を厚紙で覆っているのに離れた場所にある蛍光紙が光っていることに偶然気がつきました。目には見えない不思議な光線が厚紙を透過していることを発見した訳です。そこで彼はこの正体不明の光にX線という名前を付けたのです。X線は「正体不明の線」という意味なのです。(ミスターXとかと同じ意味合いなのです!!)
皆さんはX線撮影を行う時「レントゲン撮って来ます」と言うような表現を用いると思いますが、実はこのレントゲンという言葉は、X線の発見者であり第1回ノーベル物理学賞を受けた、ドイツ人科学者ウィルヘルム・C・レントゲン博士の名前なのです。ですから、上記表現を日本語直訳すると「山田さん撮って来ます」と言っている事になります。
その後X線は詳しい性質が解らないまま時が流れ、放射線を大量に浴びると人体に害があると解る20年程の間まで、「透視メガネ」「体が透けて見える!!」などのキャッチフレーズを付けられ、大道芸として用いられた時もあったそうです。
そして時は流れ1928年に放射線を表す単位として、発見者にちなんでレントゲン(R)と言う名称が決められました。(現在は別の単位が使われています。以前のページを参照!!)
放射線関連でもう一人(夫妻)忘れてならない人物がいます。それはノーベル賞を、世界でただ一人、二度も受けた「キュリー夫人」です。
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キュリー夫人は、1867年にポーランドで生まれ、パリ物理学校の実験主任だったピエール・キュリーと出会い結婚します。
その後二人は、ベクレルが発見したウラン鉱石から出ている不思議な光線の研究を重ねるうちに、「ウラン以外にも謎の光線を出す物質があるのでは?」と考え、あらゆる化合物を調査しました。
そして1898年7月、ついにウラン以外の新しい元素を発見します。キュリー夫人はこの新元素に、祖国ポーランドのラテン名「ポロニア」から『ポロニウム』と名付けました。(ポロニウムの発見!!)
ここでキュリー夫人は、感光、蛍光作用を示す能力に対し“放射能”、放射能を持つ物質から出るものを“放射線”と呼ぶことにしたのです。ですから放射能を表す単位はキュリー(Ci)と言うようになりました。(現在はベクレル(Bq)です。以前のページを参照!!)
しかしポロニウムを取り出した後も、鉱物から謎の光線が出ていることが解り、5ヵ月後の12月、キュリー夫妻はウラン、ポロニウム以外の新元素を発見。この新元素に夫妻は、放射を意味するラテン語の「ラジウス」から『ラジウム』と名付けました。
キュリー夫妻はこれらの功績を称えられ、1903年にノーベル物理学賞を受けました。不幸にも、ピエールは1906年に交通事故で亡くなりましたが、夫人は研究を続け1911年に金属ラジウムの精製の成功でノーベル化学賞も受賞しました。
放射線の発見者は『レントゲン』放射能の発見者が『キュリー夫人「夫妻」』といえるわけです。
(放射線の父”レントゲン”、母”キュリー夫人”とでも言っていいのかな?)
この様な発見、実験が土台となり、僅か100年余りの間にいろんなことが解明されていき、医療や、発電、軍事(余り好ましくない事ですが、人体への影響については原爆の資料が重要となっています。)等の発展に役立ってきております。
しかし、その発展の中にはかなりの犠牲もあった訳で、人物名はちょっと覚えていませんが(ごめんなさいm(。。)m)日本で放射線を研究された学者は、自らが研究中に、放射線による皮膚癌を発症してしまい、その臨床データを本人の命と引き換えに収集したとの話も聞いています。又私たちの諸先輩方は、今より被曝量がかなり多い装置を用いて業としていましたので、かなりの方が白内障や、血液疾患になったと聞いております。
今現在では、その様なデータ、経験があるからこそ、安全に放射線が取り扱い出来る様になっていますが、一つ間違った使用をすると大惨事になる事も忘れてはなりません。放射線を取り扱う私たち”プロ”がそれらに対応できるよう、今後も日々努力していきたいと思います。
これにて、私のお話は終わりです。又なにかのご縁がありましたら・・・・・。
文責:川田