*■■■ CHICAGO ■■■ 監督・振付:ロブ・マーシャル
ショービジネス界での成功を望むヴェルマとロキシーが、些細なことから別々の処で殺人を犯し、同じ刑務所に入れられる。看守に金を払い、有能な弁護士にアクセスし、マスコミと大衆を利用して、命のみならず名声をも手に入れようとシノギを削る二人。二転三転する状況変化が面白い。殺人者ロキシーの、被害者意識で狼狽える姿の愚かしさ。熱しやすく冷めやすい大衆を馬鹿にし、開き直って世相を操ろうとするところも小気味良い。
ミュージカルの映画化だが、ストーリィもナンバーも非常に楽しめた。特に、キャサリン・ゼタ・ジョーンズの歌はその気迫に圧倒される("All That Jazz")。他、操り人形のシーンと看守“ママ”の独唱も気に入る。看守“ママ”は、何と言ってもあのスイカのような爆乳に釘付けである。しかもがっつり大胸筋で支えられているあたりがスゴイ(←垂れてないんですよ奥さん!)。あの風貌に、あの声。まさしく"Big Mama"って感じで、やられる。
女達はどれも荒っぽく傲慢でセクシー。「秘すれば花」の対極を行く。そういえば、かつてブリジット・ジョーンズを演っていたレニー・ゼルウィガー。精一杯踊っている時の背中や足は筋肉質で、大人振りを振りまいているのだけれど、話し方は米国英語でもやはりどこか舌足らず。いくらセクシーにしていても、“その辺の姉ちゃんのもっさ臭さ”が見え隠れする(また、その地位の女優にありながら、豊胸していないのも一因なのかも)。金髪で歌えて甘くてセクシーな女優なら、他に候補はいたに違いない。でもこの人が使われるのは、この人の持つ、もっさ臭さとか、鈍くさそうな素人臭さとか、そういう微妙な味わいが受けてのことなんだろうなあ、と思った(頭が悪そうなのとはまた違った隠し味)。もっさい処とセクシーな処を行ったり来たりできる人って、居そうでなかなか居ない。マドンナは頭良さ気すぎだし、モンローは頭悪そ気だけどもっさ臭さはない。こういうレニー・ゼルウィガーのような味はめづらしい。
終わってみれば、ロキシーの旦那さんがかなり可哀想だった("Mr. Cellophane")。でもあんな女達は稀だから(笑)。Cirque du Soleilもどきが舞う中で堂々と歌うリチャード・ギアにも意外。今ひとつ迫力には欠けるけど、ミュージカル畑出身の男優だったとは知らなかった。
改めて、"FOSSE"(ボブ・フォッシーのベストダンスレビュー)が観てみたいと思った。求ム、来日公演! しかしこの監督がまた"RENT"を撮った日には、必ず観ると思う。やっぱり舞台→映画と何度もふるいに掛けられている作品(「エビータ」とか)は、オリジナルミュージカル映画(「ムーラン・ルージュ」とか;)と違ってハズレが少ないな。
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CHICAGO EXPRESS
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