Impressions 2004 vol.3






■  満里奈の旅ぶくれ −たわわ台湾−  渡辺満里奈 新潮文庫
■  ヨドコウ迎賓館
■  Lovers  監督:チャン・イーモウ
■ * チョコレート工場の秘密  ロアルド・ダール 作/田村隆一 訳 評論社てのり文庫
■  ロッタちゃん はじめてのおつかい  監督:ヨハンナ・ハルド
■  ロッタちゃんと赤いじてんしゃ  監督:ヨハンナ・ハルド
■  リービング・ラスベガス  監督:マイク・フィギス
■  しゃばけ  畠中恵 新潮文庫
■  バスキア  監督:ジョリアン・シュナーベル
■ * ウィーン・モーツァルト・オーケストラ 2004年日本公演  @八幡市文化センター ←latest
■  働きマン 1巻  安野モヨコ 講談社モーニングKC
■  武術の構造  山田英司 流星社
■  ハリー・ポッターとアズカバンの囚人  監督:アルフォンソ・クアロン
■ * 身体意識を鍛える  高岡英夫 青春出版社
■  Harry Potter and the Prisoner of Azkaban  J.K. Rowling








■■■ 満里奈の旅ぶくれ −たわわ台湾− ■■■ 渡辺満里奈 新潮文庫

友達が貸してくれた本。台湾本のご多分に漏れず、食い道楽な一冊だった。台湾って、可愛い雑貨屋さんとか絵になる観光地とかってあんまり無いのかな? 何故かどんな本を見ても、物凄い勢いの食案内で埋め尽くされているんだけど(汗)。

今度台北へ行くのだが、美食家養成胃袋強化合宿のような旅なのだった。フリープランなのに「食」に関してだけは三食全てガッチリ各餐庁に予約が入れられており、素人が口を挟み込む余地は全くない(多分この本に載ってる店も被ってそう)。でもそんな合間を縫って、お茶を扱うお店には是非とも行きたい、とこの本を読んで思った。竹里館か、和昌茶荘か。いっぱいお茶を買うだろうなあ。時々中国輸入食品店へ出向いてはちちょこちょこ買い物する身空としては、本当に色々買ってしまいそうだ。美味しいお茶は、本当に美味しいもんねえ(高いけど;)。茶器はどうしよう。邪魔になるぞ。どうかなあ。あと、お茶うけとか。陳皮梅は絶対好きな味に間違いない。子供の頃から好きな干しマンゴーも一杯買うもんね(笑)。

ジョフェン(九と“ニンベンに分”という漢字)という、急勾配にいっぱい店が並んでいる街にも行ってみたいけど(「非情城市」という映画の舞台になった処なのだそうだ)、食スケジュールが厳しすぎて多分ムリ。屋台めぐりなんていうのも、胃袋的に絶対ムリ。個人的に茶藝館の情報以外は、参考になったような、なってないような。

それにしても、そんだけ食べまくっておいて、横から撮った写真がお腹も足もペッタンコな渡辺満里奈はスゴイ。胃袋も体も丈夫で、代謝がいいんだろうなあ。

◇  台湾台北「食記録」・・・という訳で、サイト内旅行記録 August 2004。
◇ Amazon: 「満里奈の旅ぶくれ −たわわ台湾−」








■■■ ヨドコウ迎賓館 ■■■

日本に現存する数少ないフランク・ロイド・ライト建築のひとつ。元は別荘として建てられ、人手を経て重要文化財に。時に独身寮として使われていたこともあったそうだ。旧帝国ホテルとか落水荘とかグッゲンハイム美術館とか。何回も離婚してるとか(笑)。ライトといえば、しょっちゅうメディアで見聞きする、超有名建築家。その割に、実際の建築物に足を踏み入れるのは初めてなので、不思議な感じがした。

“有機的なデザイン”ということらしいが、フンデルトヴァッサーの建築のようにぐねぐねしている訳でなく、むしろ昆虫がこしらえた組木細工のようなデザインだと思った。部屋の上部にはコビトさん用の出入り口ドアみたいな通気孔がズラリと並んでいたり、何が何階だかよく分からない階段構造になっていたり、見せてもらう分には探検気分でとても面白い。でも、住みたいか、と聞かれると、今ひとつそういう気持ちにはなってこないのだった。モチーフのデザインのみならず、階段口や廊下の曲がり角等、すべての造型がちまちまカタカタしていて、気持ち的にあんまりゆっくりくつろげないからだろう。唯一、玄関の車寄せの部分はいいなあと思った。玄関を出るなり浜の方が一望できて、開放感がある(風景は額縁のように石で区切られている)。広々と身を囲む石の色目も明るく柔らかで、気持ちが落ち着く。あの石、いい感じ。栃木県から切り出してきた大谷石という石材で、旧帝国ホテルにも使用されていたらしい。

処でその石は、穴だらけの軽石のような巨石なのだが、見るからに脆そうである。流石に震災の時には崩れたんじゃないのかな、と思っていたら、実は中にコンクリートが流し込んであって、意外にも頑丈に出来ているのだそうだ。きれいに残っていてなによりだ。

坂を下る途中、道沿いにあったお店で遅い昼ごはんを食べ、パンを買う。この辺、パン屋さんがやたら多い。芦屋は初めて来たが京都とは全然ちがう雰囲気である。風がある。微かに海の匂い。涼しい。・・・のんびりした。

◇  ヨドコウ迎賓館・・・フランク・ロイド・ライト (FRANK LLOYD WRIGHT) 話がいっぱいのサイト。写真もたくさん。








■■■ Lovers ■■■ 監督:チャン・イーモウ

yet to come...

◇ Amazon: 「Lovers」








*■■■ チョコレート工場の秘密 ■■■ ロアルド・ダール 作/田村隆一 訳 評論社てのり文庫

まる@blogで懐かしいなぁという話をしたら、貸して下さった。まるさんありがとう(借りっぱなしになっててスイマセン;)。

やっぱり大いに懐かしい。子供の頃チョコレート工場の夢のようなワンダーランド振りに頭が一杯で、目からヨダレを垂らしながら繰り返し読んだものだ。工場は、現実的な創作部分とデタラメな作り話の交え具合がとても良い、と大人になって思う。当時はどの辺まであり得るのかよく分からなかった。また、工場の数々のシーンの記憶が肥大化していたらしいことにも驚く。実際には工場に至るまでの描写が意外に長い。

ワンカさん、ってヘンな名前だなあ、と思っていたけど、Wonkerさんだったのね(こういうのって子供には全然分からない訳で;)。結構毒のあることを言っている。「(お宅のぼうやの入ったチョコだなんて)味が悪くなりますからね」とか「やれやれ、どうやらお嬢さんは、腐ったくるみだったようですな」とか。でも子供の頃は、オトナは誰でも皆偉くて正しかったので、そこまで言って対人関係大丈夫か?(汗)とかそういう点には全然目がいかなかったんだな。加えてワンカさん、今のうちから子供を後継者に決めて大丈夫なんだろうか、とも思った。もしかしたらその子は経営者向きじゃなくて技術者向きかもしれないし。

ロアルド・ダールは「ジャイアント・ピーチ」「マチルダ」などの映画の原作者でもあったらしい。ティム・バートン監督の「ジャイアント・ピーチ」は観ていないけど、「マチルダ」は何故か観たことがある(これって日本語サイトで検索しても出てこないんだけど?)(どうでもいいが、監督がダニー・デビートだ。結構映画も撮ってるんだな)。・・・知らなかった(汗)。この辺りの原作も子供の頃に読んでいたら、大人の十倍くらいわくわく出来たんだろうか。そう思うとちょっと惜しいことした気分。

◇ Amazon: 「チョコレート工場の秘密」








■■■ ロッタちゃん はじめてのおつかい ■■■ 監督:ヨハンナ・ハルド
■■■ ロッタちゃんと赤いじてんしゃ ■■■ 監督:ヨハンナ・ハルド

原作、アストリッド・リンドグレーン。ヴィレジヴァンガードに寄るたび、バムセ(ブタ)をもみもみしながら、買おうかどうしようか未だ悩む(でも邪魔になるから買わない!)。

ロッタちゃん、うちのアヒルのゆーこのようである(汗)。いつもプンプン怒ってエラソーで強がりだけど、その陰で羨ましかったり淋しかったりする処なんてそっくり。おバカさん故に周囲がほだされてしまう処はよく分かるわ(笑)。頭がでっかくて下腹がポッコリ出ているような、絵に描いたような幼児体型も可愛い。大いに甘やかされてはいるけれど、ああいうのに限って逆に後からいい子に育ったりするような気がする(・・・私なぞ厳しくされても大していい子に育ってないしw)。そういう風に思えるのも、ロッタちゃんに邪気がないせいだろうと思う。

友達と話をしていて話題の的となったのが、何故かロッタちゃんのパパ。いい人そうで好きなんだけれど、いかんせん何事も詰めが甘い。クリスマスツリーもイースターのお菓子も、見事手に入れ損なっている。・・・大丈夫か(汗)。子供は三人居るぞ。今のうちに学資保険とか入っておいた方がいいんじゃないのか。保証人の判だけはついちゃダメだよ。・・・心配だ。

そういえば、ソゴット("Sleep tight"だっけ?)とかヘイドー("Bye")とかのスウェーデン語のカタコトが懐かしかった。昔旅行中にスウェーデン人の女の子達が面白がって広め、以来ちょっとした内輪言葉になっていたことがある。久し振りに聞くと、うっかり言いそうな感じになる。口当たりがいいなあ。

◇ Amazon: 「ロッタちゃん はじめてのおつかい」
◇ Amazon: 「ロッタちゃんと赤いじてんしゃ」・・・ちと思ったんだが、イースターの頃に北欧の屋外で半袖、ってヘンなことない?








■■■ リービング・ラスベガス ■■■ 監督:マイク・フィギス

公開当時、人に勧めらつつ観ていなかったのをふと思い出して見てみた。死ぬまで飲み続ける場所にラスベガスを選んだアル中男と、DV元夫から逃げる娼婦が出会い、同棲が始まる。正直しんどい。エネルギーに余裕のある時に観て助かった(・・・熱でる;)。「ダンサー・イン・ザ・ダーク」と同じく、“観るに値すると思ったけど二度と観たくはない映画”だ。“純愛”というよりむしろ“仕様が無さ”を真面目に描いた映画だと思った。

アル中の男に微かな光をも求めず、末期癌の患者か何かのように死へ突き進むまま愛せるかどうか。酒が切れると荒れ狂う男は、己の回復を全く望んでいない。女は、愛しているので/のに、男を死なせてやれるか/やれないか、葛藤する。自身も商売柄、殺されそうになったり、家を追い出されたりする。男は愛する女が毎夜ほかの男と肌を合わせるのを初めから認めつつ、葛藤する。そこには耽美なものは何もない。別れようとしても別れられない吸引力を互いの中に見る二人。

男から見た女の話と、女から見た男の話が、全く異なる物語だなあ、と思った。やっぱり相手の命が如実に関わっているかどうか、という差は大きいと思う。それとも何、「男の浮気と女の浮気は違う」とかいうコンセプトから派生しているテーマなんだろうか。これが逆に、空気を読むのが上手い男娼と毎晩暴れるアル中女の話だったら、いまいち盛り上がりに欠けそうだもんなあ。治るかもしんないのに手も出せずに相手が荒れ狂いながら死んでいくのを見るのと、相手が毎晩他人と愛し合うのを黙認し続けなくてはならないのとでは、どっちがキツそうか、というアンケートを男女世代別に取ってみると、なかなか興味深いものが見られるかもしれない。

物語の間、女の爪の色は終始黒だった。最后誰かに身の上を語っている時は赤だった。女は娼婦を止めたんだろうな、と思った。

◇ Amazon: 「リービング・ラスベガス」








■■■ しゃばけ ■■■ 畠中恵 新潮文庫

虚弱な大店の若だんな17歳と取り巻く妖怪達によって繰り広げられる推理話。表紙の妖怪の絵が可愛い。

本屋さんのオススメだったのだけれど、話の長さの割に描写も話運びも薄味。短編向きの作家なのかも。若だんなの幼なじみ・三春屋の栄吉が菓子屋の跡取りにして菓子作りが下手な処、彼の語るお家事情認識などに江戸の生業の世知辛さを感じた。出来ればむしろそういった描写を地味に積み上げて欲しい。

妖怪達の感覚のズレ、話の展開等、自分の中では今市子の「百鬼夜行抄」の方にはるかに軍配が上がる。

◇ Amazon: 「しゃばけ」








■■■ バスキア ■■■ 監督:ジョリアン・シュナーベル

ウォーホルとその周辺のグラフィックアートが好きな人々には記念碑的な映画になるのかもしれない。でも映画作品としては今ひとつ印象に欠ける撮り方で、あまり心に引っ掛かるものが無かった。ストーリィは分かりやすかったんだけど。「トントン拍子で成功して、段々ドラッグでダメになりました」「フィーリングでバランス取って好きに描いてるだけなのに、周囲は解釈を求めてきて鬱陶しいです」という粗筋だけで終わってしまった感じ。

公開当時、デイヴィッド・ボウイがウォーホル役をやるというので話題だったような。

◇ Amazon: 「バスキア」








*■■■ ウィーン・モーツァルト・オーケストラ 2004年日本公演 ■■■ @八幡市文化センター

昔ウィーンへ行った時、ぼうぼうと降りしきる雪の中でここのビラを配っているお兄さんと立ち話をしたことがある。何故覚えているかというと、ここの楽団は18世紀末宮廷コスプレ衣装で演奏するから。お兄さんは宮廷衣装でビラを配っていたのだ。結局、ウィーン・フィルとかフォルク・オーパーとかエリザベート(←ミュージカル)とかの方へ行ってしまったんだけれど。

素人耳にも、なんだか物凄く良かった。こういう楽団だったとは。コスプレしてるからってちょっとナメてたよ(汗)。楽器同士の境目が見えない演奏。ここも相当な練りアメ系の音だ。そして勿論、絶対の絶対にミスなんて有り得ないと思わせる、手練れた演奏。公演プロ、である。おまけに曲目も一見さん向けに無茶苦茶有名なものばかりで、プログラムも工夫してあり、最后のアンコールにはお馴染みの「ラデツキー行進曲」、観客の手拍子参加で盛り上げて締めるという、抜かりのない段取り。・・・練れたショーだった。強いていえば、歌手の人がもっと豊かで声量のある人だったら良かったかなーくらい(贅沢?)(とはいえこの辺は巷のCDとの差が)。でもクラリネットは良かった。

兎に角、本当に気持ち良かった。生はいいなあって思った。

◇  ウィーン・モーツァルト・オーケストラ(現地チケット予約サイト)・・・衣装が。カツラが。
◇ プロフィール・・・1986年ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団、ウィーン・フォルクオーパー、ウィーン交響楽団などのウィーンの主要オーケストラのメンバーにより結成された。その名の通り、ザルツブルクで生まれウィーンを故郷としたモーツァルトの作品を専門に演奏するオーケストラである。(〜当日パンフレットより) 5月〜10月はウィーンで定演、冬期は国外公演中心となる模様。








■■■ 働きマン 1巻 ■■■ 安野モヨコ 講談社モーニングKC

働きまくり編集者松方弘子28歳と彼女を取り巻く編集室の面々の物語。こんなに言いたい放題な職場もないと思うけど、お話ってことで。渚マユを見て、「ママ」の頃の細野不二彦の絵を思い出した(違ったか?)。

ぽっちゃり80年代アイドルっぽい、「お姫さマン」の由美ちゃんが目に留まる。ちょっぴり野暮い目の威嚇しないファッションで、上手にふんわりとオンナノコを使いつつ、下衆なオヤジ・舐めてかかるオヤジの攻撃を交わし、きっちり仕事する。しかしなあ。彼女のやり方を紐解けば(多数の)相手の人格を笑顔で無視しながら行くということだし、女子に嫌われて(実害が出て)も放っとける図太さ有能さも要る。心にもないことをニッコリスラスラ言えるタイプでないと精神的にきつそうだ。プロの「お姫さマン」はふんわりしてそうに見えて、ただの「働きマン」よりドライさゲンキンさ強さが要るよ。

松方弘子は死ぬ時は「仕事したと思って死にたい」そうだ。私は「色々そこそこやったなー」と思って死にたいかな。リスク分散と欲張りを兼ねて。

◇ Amazon: 「働きマン」
◇  安野モヨコ HP・・・「なかよし」にまで描いてるのか。手広いな。








■■■ 武術の構造 ■■■ 山田英司 流星社

副題「もしくは太極拳を実際に使うために」。写真付き太極拳の実戦法紹介。格闘技や武術の対比、他の武術・格闘技に対する防御の合わせ方、ルールという制約との関係なども併せて説明してある。

実戦解説図はとても面白かった。こういう推手を超えた組んずほぐれつはよく知らなかったので、返し技等なかなか興味深く見ることが出来た。実戦は、楽しそうかつ痛そうである。・・・痛いのヤだなー(笑)。まあその前にまづ推手だろうけど。下手をすれば単なる揉み合いにもなりかねないほどの接近戦なので、体臭ムンムンな人とは練習厳しそう(汗)とか、思わずそういうことも考えてみたり。

それから功夫のある人は身体が重い、という話(体重ではなく)。そうなんだろうな、と思う。アンディ・フグも重かったそうだ。太極拳の場合、胯を弛めて重心を落とし立身中正・含胸抜背・尾閭中正を保つとてきめんにズッシリ安定する。他の武術や格闘技の人々は、“重心を落とす”以外にどんなテクニックを使っているんだろう、と興味が沸いた。

それはさておき。巷でよく言われる太極拳の要訣(or 要領)について一切触れていなかったのが気になった。やっぱりこれは誘ってみる側として、一応言っておいた方が親切なのではあるまいか。確かに会得するのは大変だが、この辺をすっ飛ばして色んな技を真似してみても、太極拳とは似ても似つかぬ身法で闘っているような状態になること間違いない。まあ、見た目だけ取り入れた形でも、他の武術と組み合わさって使えるなら実戦上は価値があるんだろうけれど(でもそれだと「太極拳」じゃないよね;)。

自分は、といえば、太極拳の身法を守った上で、功や套路を離れて自在に動けるようになるのはまだまだ先の話という感じだ(遠い目)。しかしながら話に聞く昔の闘わざるを得ない状況にあった人々は、あの脚力と股関節の柔軟性の要る、色々と身体の中身的に邪魔くさい身法で、全身に連綿と勁を通したまま動き回り、危険に際しても落ち着き払って(落ち着いていないと放鬆〜脱力〜なんてできない→太極拳の身法が保てない)、その上で強かったりした訳だ。・・・いやーすごいよな、と改めて思ってしまったことよ。人前で演武するだけでも、思わず緊張して余計な力が入るというのに(笑)。

◇ Amazon: 「武術の構造」








■■■ ハリー・ポッターとアズカバンの囚人 ■■■ 監督:アルフォンソ・クアロン

なんか更におっかない空気で一杯。エマ・トンプソンは、四歳の娘がハリポタのファンなのでトレローニー先生の役を引き受けたのだそうだが、それって本当か。私が四つやそこらだったら、理解以前にあの音と映像だけで泣きそうになってると思うが。

今までに観た前二作に比べて、かなり話運びが分かりやすかった。以前ほどめまぐるしくない。ということは、原作のエピソードが沢山端折られていたのかもしれない。上映時間制約の厳しい映画なのだし、何もかも詰め込むより分かりやすい方がずっと良いと思う。物語的にもよく話筋が分かったし上手く編集されているんだと思う。

気になる点が二点。湖の向こう岸から"the Patronus"を放った時のシルエットが男鹿だったのは何故に。それからルーピン先生は、朝日と共にすっぽんぽんで自分の部屋へ戻ったのかどうなのか(魔法を掛けようにも杖はない)。白夜で日の入りが遅かったようだから、夜明けも早くてみんな寝ていたと思うけれど。でもその後の先生の進退を考えると、わびしさ倍増だ・・・。

後日ランダム台詞集をつらつらと眺めていたのだけれど、改めていろいろ面白かった。一番よく分かったのは罵り言葉の詳細だ(笑)。その他、Scabbersってなんかカユそうな名前だよな、とか。"Eat this."というのを目にして「殴るのか?」と思いきや"It'll help."と続いていて、よく見たらProf. Lupinの台詞でチョコレートを差し出すシーンだったり(何も考えずに「こいつを食らえ!」かと思った。何も考えずにその訳が思い浮かぶというのもな;)。ルーピン先生、といえば、フランス出身の人なのかと思っていたら(仏語読みだとルパンだし)、ベルギー出身という設定だったっぽい(惜しい)。で、それが分かるシーンは端折られていたような。もとい変身後のアレはあの辺の代物なのか? ・・・またそのうち原作を読んでみよう。

◇  原作の感想
◇  ハリー・ポッターHP(日) ・・・「屋根裏部屋の幽霊」ゲームがなかなか。単純な記憶の積み重ねゲームなんだけど、音付きなのでそれがヒントに。
◇  ハリー・ポッターHP(英) ・・・で、Walk-on-Roleの当たったその子は何処の国の子なのだ? 訳してないっぽい英語だったのでやはり南半球の英語圏か。
◇ Amazon: 「ハリー・ポッターとアズカバンの囚人」








*■■■ 身体意識を鍛える ■■■ 高岡英夫 青春出版社

一度きちんと読んでみたかった本。本屋の武術本売り場で、「武術の構造」と並んで置かれていた。これで齋藤孝も並んでいたら、更に釣られていたこと間違いなしである。近頃は誰しも、ウサギ狩りでダッシュを掛けたり重い瓶を担いで3km先まで水汲みに行ったりしなくて済む生活なので、人は代わりに「へそピアス」「ボディビルディング」「サプリ偏重」「ロリータ」「コスメフリーク」とあの手この手で己の身体にアプローチをかけてしまう訳だけれど、高岡英夫の密かなブームも実はその一端のような気がする。あんまりハマりすぎるのもなんだが(ゆきすぎた精神論とか;)、まあ身体捨てる系(電脳霊能etc.)へ走るよりは良いんではないのか。

身体を動かすにあたって、意識すべき7つの身体部位・機能に分け(センター、下丹田、中丹田、リバース、ベスト、裏転子、レーザー)、用途や付随する性格を説明してある。人によって優位な身体意識が違っており、身体を使う職業の著名人の例をあげてあった。例えば、山下泰祐はセンターと下丹田が発達している、とか。どうでもいいが、柔道選手の中ではこの人の体つき・表情が一番好きかも。どっしりもっちりしていて安定感というか安心感がある。ゴツい、って感じでもないし。その他、数々の「ゆる体操」の紹介。「ゆる体操」は知らない人同士が打ち解けるには抜群の準備体操なんでは、と思う。いきなりマヌケを晒すからだ。思わず笑うもん。いいよアレ。私好き。ついでにあれやってからストレッチすると、実際効率がいいと思うし。

自己チェックシートがついていたのだけれど、簡単で面白い。自分は予想通りセンター(体軸意識)優位人間だった。裏転子(太股裏)もぼちぼち。この二つは相関関係が高いそうだ。性格もソレっぽい(もうちょいテキトーだと思うけど)。やっぱ関係あるんだろうか。色々欲しいけど下丹田とリバースを上げたいと思った。そういえば、中学生の頃は足首のスナップを利かして坂道を歩いていたが、最近では階段でも太股裏を使っている(マイブームの変遷)。色々人知れず遊ぶのは楽しいし、身体は使い方を変えようと思えば、いくらでも変わるもんだと思う。「ゆる体操」も好きだけど(一日中動く必要のある時なぞこれやると後の疲れが断然違う)、でもお腹の力を抜いたまま軸を保ってぷらぷらゆする奴はイマイチ苦手である。手足は骸骨模型のようになるまで力を抜けるんだが、お腹、苦手。最大限弛めると、内臓だか筋肉だかがお腹の中でごんごん当たって、鈍器で軽く殴り合いしている感じで痛いのだ。どっかが凝ってるんだろうが、果たして何の臓器or組織が固いのかまでは識別できない。足の薬指と中指を触られても咄嗟にどっちなのかよく分からないみたいに。アレ、弛めて揺すっても痛くないようになりたいんだけど、どうしたらいいんだろうなあ。

そもそも普通に仕事していたら、パソコン癒着型脳依存肥大生活になる訳で、実際あまりに病的だと思う。使わない身体の部位は、大人になっていようと感覚・機能共に発達しないし、更にその未熟状態にすら気付かないで生活してしまう。つーか後から開拓して、一部身体感覚が変わって初めて、脳内ホムンクルスのイビツさを実感するというか(単に「運動しましょう」じゃなく)。やっぱり科学が進んでも、身体付きで生まれてきたからには身体も活かさないとな、と改めて思った。

◇ Amazon: 「身体意識を鍛える」








■■■ Harry Potter and the Prisoner of Azkaban ■■■ J.K. Rowling

三冊目の奴(「ハリーポッターとアズカバンの囚人」)。映画では語られていなかった詳細が結構あったことを知る。それがまた皆上手く使い回され、繋がっていて面白い。本も読んでみて損は無かった。

たとえば"the Marauder's Map"の作者、"Moony, Wormtail, Padfoot and Prongs"というのがそれぞれ元ホグワーツの学生で、"Prongs(独断と偏見で訳させて貰おう、命名:「つのっち(可愛;)」)"というのがHarryの父親Jamesの徒名であったこととか。お父さんもHarryも守護霊が男鹿であったとは。それで映画でも、あの守護霊召還ワザの時に男鹿のシルエットが見えていたのね。なんかその辺、長い説明は邪魔だとしても、一言足してくれれば、映画の中でも訳が分かったんだけどなあ。

あとshabbyなProf. Lupinの、聞くも涙、語るも涙の生い立ちとか。まあ現実的には、とっつかまえて殺したい真犯人が居る目の前で延々身の上語りなぞする訳ないから(笑)、映画はサクッと省いて正解だと思う。芝居だとこの辺り小説並に語ってOKということになっているが(シェークスピアとか)、エンタメ映画でそれをされると流石にクドいしねえ。・・・あの先生はもう出てこないんだろうか。次の仕事を見つけて達者で暮らして欲しいもんだ(男にも生理休暇を;)。いい先生なのになあ。結局本では、映画で省かれていたベルギー出身とかいうような情報が出てくることはなかった。

Prof. Lupinのみならず、今回思ったのだが、Harry Potterの世界って、大人の魔法使い達の社会構造が見えてこない。作者が敢えて意図的に避け続けているのだと思うけれど、いまひとつ皆どうやって食べていっているのか謎だ。おまけに出てくる大人は大方ホグワーツの元学生か関係者で世間が狭く、結婚している登場人物が異様に少ない(おまけに死んでるし;)。次作辺りからその辺の世界観は広がるのだろうか。・・・でも次から柱の端を切り落としたような、ものごっつい直方体してるんだよな、ペーパーバックが(汗)。あれはちょっと持ち歩けないなあ。

◇  映画の感想
◇ Amazon: "Harry Potter and the Prisoner of Azkaban"







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