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小学生のころから多趣味で、大阪の日本橋に出かけては電子回路工作に没頭し、その後も天体望遠鏡を作ったり、当時流行ったテレビゲーム機を作ったり、いっぱい工作に励んできました。もうその殆どは残っていません。
そのほか写真や表装、書道、篆刻、茶道具、コンピュータープログラミング、音楽制作、熱帯魚、園芸など・・・、すぐには思い出せないほど楽しみがいっぱいあります。
ここでは、そのうち写真などですぐに紹介できるものを取り上げていきます。


目 次


オーディオ・アンプ

オーディオ・アンプは今までに7台くらい作ったが、一番最近に作ったのがこのアンプである。友人のジャズ・ピアニストの所有しているマランツのアンプが不調なので、たっての依頼を受け久しぶりに作ることにした。
アンプ 中央に2つ並んでいるのがメインのアンプ部。秋月電子通商で販売されている「東芝TA7252APオーディオアンプキット」を利用した。1セット500円、モノラルアンプであるから2セット必要で、2個以上買えば1個450円ともっと安くなる。
2Ωのスピーカーから駆動できて、4Ω時の出力は最大で5.9Wとれて、家庭で聞くのには充分である。ただし、このキットはそのまま使っているのではなく、ケミコンなどはオーディオ用の高級品に替えてある。
右側の基板はフォノ・イコライザー・アンプ。依頼者がレコードプレーヤーを持っていて、特にこれからアナログレコードのコレクションをデジタル化していきたいと希望していたので、フォノイコライザーを付け加えた。5532のOPアンプを使ってユニバーサル基板にハンドワイヤリングで組み上げた。オーディオ・キャプチャー用にフォノイコライザーからの出力を直接取り出せるように、出力ジャックも取り付けてある。
左側に配置されているのはスイッチング電源。コーセルのLCA30S-12、若松通商で求めた。
さて、肝心の音質であるが、その友人に言って気を悪くされてはいけないのであまり大きな声では言えないが、マランツのアンプより澄みきった音で、低音と高音もよく伸びている。このマランツのアンプはかなり古いものなので仕方がない。この値段で、しかもこの小型軽量で、これだけの音が出せたら満足である。


オーディオ・スピーカー

スピーカーはこれまで2台しか作っていない。作ると言ってもエンクロジャー(箱)のほうであるが、作業が木工となるので、15mm厚以上の合板やMDFを切ったり穴を開けたり、考えただけでも気が重くなるのである。
塗装前のエンクロジャー しかし作りたいという欲求は強く、ちょうど六本木工学研究所のお店・麻布オーディオ京都店というのが西陣織会館のところにあることをネットで知り早速店を訪ねた。
そこでは世界中の色んなメーカーのスピーカーの音を聞かせてくれて、そのすばらしい音の世界に感動。特に以前から私も関心を寄せていた、TangBandという台湾のメーカーが出している、W3-593SGの音が、わずか口径8cmでありながら驚くべき美音を出しているのが驚異的であった。
一応木工用電気工具も色々持っているので、この際作ってみようと決心してユニット2個とコネクターを買い求めたのである。1個2980円くらいだったと思う。
店に展示されていた箱はかなり小さめのものであったが、低音を最大限引き出したいので、店のより容積をやや大きくし、容積を4.85L、ダクトの共鳴周波数を77Hzとした。これはSpeakerEditorというフリーソフトによって導き出した数値である。
ホームセンターでMDF(中密度繊維板)その他を購入し、接着は木工ボンドでクランパを用いて圧着。塗装は艶消しの黒のラッカーで、この板はかなり塗料が染み込むので充分に目止めを施してから塗装した。
完成したスピーカー 上の写真が塗装前。ユニットをあてがって撮ってある。
下が完成したスピーカー。裏側にはネジ式のがっちりした端子を取り付けた。内部にはウールの吸音材をほんの少し片面だけに貼り付けてある。
音質はと言うと、8cmとは思えないほどパンチのきいた低音が響き、中高音のバランスもよく響きが美しい。このユニットであれば、箱は適当に作っても、十分な音で鳴ってくれると思う。
銀色のペーパーコーンという見た目の美しさもあって、部屋の中に置かれていても目を引くのである。北山杉の丸太をスピーカースタンド代わりに使っている。
毎日音楽を聴くのが楽しみとなった。


茶杓 「畑の姥」

茶杓「畑の姥」 茶杓は相当数作ってきたが、共筒を作るのはなかなか面倒で、人に差し上げるとか大きな目的がないと作らない。

この茶杓は、私が茶杓作りを始めた初期の頃に作ったもので、素材は煤竹で、すでに溜めを曲げて削るだけの状態にして売られていたもので作ったものである。だから素材の色は美しいが、景色というものは無い。
筒も完成品で売られていたもので、これは煤竹ではない。材料作りから自分でやってない茶杓や筒は、この一組だけである。
お茶を教えている家内が、お稽古の一環として茶会をするというので、それではと削ったものである。
私の住んでいる梅ヶ畑地域は、その昔、梯子や倉掛を売り歩く「畑のおば」という女性が名物であったことに因み「畑の姥」という銘を付けた。
今でもお稽古に使っていると思う。


茶杓 「祥雲」

茶杓「祥雲」と共筒 茶杓「祥雲」 ここから以下は、竹材から吟味して求め、切断し、鉈で割り一本一本の茶杓素材を自分で切り出し、水を充分に含ませた上で、火で炙って溜を曲げたものである。だから如何に景色の美しい竹を入手できるかにかかっているのである。

沖縄から京都の高級料亭に修業に来ていた男の子がいて、私が茶杓作りを教えていたのであるが、沖縄の家族のもとに帰ることになったので、その餞別代わりに茶杓を上げようと思い立ち作ったのがこの茶杓である。
この茶杓には、わずかではあるが鉈痕がある。百数十年の昔、竹取の翁が枝を落とすのに入れた鉈の痕が、いわゆる「腰みの」と言うほどではないが残されているのである。茅葺き屋根に組み込まれ、その歴史の中で囲炉裏の煙に燻されてできあがった景色を眺めると、この一本に刻み込まれた人間の営みが感じられるのである。
下の写真で、鉈痕や景色がはっきり見えると思う。
景色は雲のようであるから、銘を「祥雲」と名付けた。
共筒もすべて手作りしている。


茶杓 「火鳥」

お茶を一緒に習っていた人が、沖縄県の離島・黒島に嫁いで、男の子を出産したというので、その記念に作った茶杓である。
どういうわけか、私の数少ない茶杓のうち二本までが、いま沖縄県にある。
景色に火炎のような燃え上がりが感じられたので、銘を「火鳥」と名付けた。「ひのとり」と読む。
永遠である生命を体現して力強く生きて欲しいとの思いがある。


茶杓 「梅王丸」

茶杓「梅王丸」 これは茶籠や茶箱に入れて使えるように、携帯性を考えて寸法を短く作ってある。普通の茶杓は6寸くらいの長さに作るが、これは全長約4寸5分しかない。
二本作ったが、実は共筒寄りに置かれているのが「梅王丸(うめおうまる)」で、くっきりと入った縄目の模様が役者の隈取りのようであるので、歌舞伎から題材をとって名付けた。
もう一本のほうは、それに対して「松王丸(まつおうまる)」と名付けているが、共筒はまだ作っていない。二本一緒に筒に入ってしまったというのも、作っていない理由のひとつだ。
茶籠用の場合、茶杓袋をこしらえたりするが、短い共筒を作ってみた。銘が分かるので、これはこれで楽しい。


線香筒 「gandha」

線香筒「gandha」 友人である近所の寺の住職が、私の茶杓の筒を見て、携帯用の線香入れに良いから作ってくれと言うので、そんな使い方もあるものかといぶかりながら作ってみた。
いつも使っている線香の長さを測ってもらい、携行中も中身の線香が激しくおどったりしないよう寸法取りした。
筒の銘には梵字(悉曇)で「gandha」と入れた。梵語(サンスクリット)で「お香」という意味である。これは種智院大学の碩学諸師に教えを乞うたので間違いない。
その下のところには、やはり梵字で「妙春寺」という友人の寺の名前を音写して書き入れた。
結構気に入ってくれて、今でも檀家参りに行くときなどに使ってくれているそうである。


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