巽の間

(旧)大日本武徳会・京都支部武徳殿の保存について


(旧)大日本武徳会・京都支部武徳殿(通称=平安道場)近影‐平成16年6月‐

最初に戻る

近代和風建築修復・保存・活用に協力する会
設立の趣旨と活動


 近代和風建築修復・保存・活用に協力する会は平成十六年、第一の目標として大正天皇御大典記念・ (旧)大日本武徳会京都支部武徳殿の修復・保存・活用を願って設立した任意団体です。
 近年、文化財保存の方向性として、ただ保存するだけではなく、「活かしながら後世に伝えてゆく」、 という考え方が出てまいりました。私達もこの考え方に基づき、支部武徳殿を大正時代の歴史的建築物として ただ修復・保存するだけではなく、文部科学省が推奨する「地域総合型倶楽部」の拠点として、老若男女の別 なく、生涯学習を前提とした知育・徳育・体育のための活動の拠点として武徳殿が活用されることを願い、それに協力 すべく当会を設立致しました。
 この趣旨に賛成し、約半年間という短期間に約七,000余人もの方々が武徳殿保存の ための署名をお寄せくださいました。そこで平成十七年八月二日(火)、この署名を京都 府知事に提出しましたところ、「府としても皆様のお心を重く受け止める」と言うことで、 京都府出納管理局 府有資産活用課が窓口となり、調査その他、私達の活動に出来る限りの協力をして 頂けることになりました。修復・保存・活用に向け、現在も同課と話し合いを続けています。

項 目

1.かつての状況
2.現在の状況と展望
3.今後の活動について
4.賛助会員の募集と募金について
5.平成19年11月13日(火) 於旧武徳殿 東儀秀樹氏によるチャリティコンサート
6.今後の企画‐皆様のお知恵と腕をお貸し下さい
7.結果報告(別ページ)

1.かつての状況

 京都市内には二つの武徳殿があります。五月に全国大会が行われる(旧)大日本武徳会・本部武徳殿と京都支部武徳殿です。
 戦後、京都府警察本部の所管となっていた支部武徳殿は老朽化、警察本部の施設としては手狭ということで平成十二年に閉鎖 され、「解体しかない」というのが京都府警察本部の見解でした。


項目へ戻る

2.現在の状況


 建築としては本部武徳殿を凌駕するものであり、価値ある文化遺産。そして近代的な体育館・武道館では学ぶことが出来ない もの、すなわち「不易流行」の「不易」の部分を学ぶのに是非必要な施設と考え、「近代和風建築修復・保存・活用に協力する会」を作り、 保存運動を行いました。
 また、保存後は単に武道施設として活用するだけではなく、文部科学省が推奨している[地域総合型倶楽部]の拠点として、芸術的活動、学術的 活動のためにも利用できる場として、文化財としての価値を失うような改造は決してしないものの、自由な発想のもと、社会のために活かす利用方法を探ってゆきたいと思っています。

 結果的に京都府の理解を得られ、京都支部・武徳殿は、所管が京都府警察本部・会計課より京都府資産活用プロジェクトに移り、 移築・保存・活用の可能性を探ることになりました。
 現状では、やがて取り壊しということに変わりありません。が、現在、京都府資産活用プロジェクトより「武道施設なのだから、長年京都府体育協会に 加盟し、実績のある京都府・市合気道連盟、京都府柔道連盟、(財)京都府剣道連盟が事業主体となって移築と移築後の運営に当たるの言う のであれば、移築に向けた譲渡について検討することが出来る」という条件を示していただいています。

  • 事業主体とは
  •  しかしながら、「移築」ということになれば、莫大な費用がかかり、とてもその団体で全額、あるいは大半をまかなうことは不可能でしょう。そのための寄付を募ることになります。
    その場合、社会的に認知された団体であり、また、団体運営の経験を持ち、きちんとした移築のための活動が出来る団体が主体とならなければなりません。
     また、移築後の管理・維持費を考えますとどうしても「無料開放」という訳には参りません。一定のルールを定め、利用者にある程度の使用料を支払うという形で協力をもとめることになります。
     こういったルール作りや運営が出来る団体が事業主体です。
    従って

    事業主体とは決して「移築、運営のための経費の全て又は、大半を支弁することを求められる団体ではない」

    ということです。

  • 武道団体による保存は困難
  •  府からの提案を受け、早速に各団体に連絡を取り、また、ある団体については京都府からも意向を確認して頂きました。結果、協力を 申し出てくださったのは京都府・市合気道連盟のみでした。
     従って武道団体が結集して受入団体となり、保存に向けて努力するという案は事実上廃案とせざるを得ませんでした。また、文化財保護に実績のある団体にも 受入団体となることを依頼しましたが、こちらも不調に終わっています。

    項目へ戻る


    3.今後の活動について

     保存運動をしていて、どうしてもぶつかる大きな壁があります。それは「金は出したくない」、「面倒なことは御免だ」という考え方です。
    そしてそれが「支部武徳殿の保存に自分は関わりたくない」という結果に結びつきます。ただ困るのは 協力を要請した場合、「岡崎に一つあるのだから、もう一つ残す必要はない」という逃げ口上を使われることです。自分が保存に関わりたくない というのはかまわないのですが、こういう逃げ口上を使われると保存運動の邪魔になるのです。
     結局、たどり着いた結論は、我々が社会貢献に対して実績ある団体として認められ、支部武徳殿の受け入れ団体として適格と見て頂けるような 活動を積み重ね、保存に要する資金も我々が用意してゆくこと、それしかない、ということです。

    4.賛助会員の募集と募金について

     現段階で「支部武徳殿修復のため」ということで募金をお願いすることは出来ません。なぜならば、私達が正式に支部武徳殿を譲り受けるということについて 府との契約を結んでいないからです。
     「では急いで契約を」と幾ら焦ってみたところで私達がまったくの無一文であればこの話は先に進みません。それは先に述べたような状況だからです。そこで、 賛助会員となって頂くか、あるいは募金という形で

    「近代和風建築・修復・保存・活用に協力する会」に”活動資金”を援助

    して頂きたいと存じます。但し、これだけは是非ご理解頂きたいことがあります。 現在府の財産である支部武徳殿を府が解体処分してしまうことも充分考えられます。万一そのような事態に立ち至ったとき、皆様からお寄せ頂いた寄附は 何らかの形で文化財保護に役立ててもらえることを考え、最もふさわしいと思われるところに寄附させて頂く、ということにしたいと考えています。
     このことは是非ご理解頂きたいと存じます。
     尚、賛助会員の申込及びお問い合わせは

    近代和風建築修復・保存・活用に協力する会 代表:藤木襄治

    〒603-8035 京都市北区上賀茂朝露ヶ原町28-2(上賀茂神社西側 フジキビル1F)
    /Fax 075-791-1007 E-mail hiboko@mbox.kyoto.i-net.or.jp

    までご連絡下さい。パンフレットをお送りします。

     また、寄附をお寄せ下さる場合は

    銀行振込 京都銀行 店番:164
         普通銀行口座番号:3299676
         近代和風建築修復・保存・活用に協力する会

    郵便振替 京都 00960-4-154367
         加入者:近代和風建築修復・保存・活用に協力する会

    の何れかへ、お願い致します。
       

    項目へ戻る


    5.平成19年11月13日(火) 於旧武徳殿 東儀秀樹氏によるチャリティコンサート

     この度、友人達の努力で雅楽師・東儀秀樹様の御協力の下、平成19年11月13日(火)、旧武徳殿で雅楽のチャリティコンサートを開くことになりました。
    チャリティコンサートと言っても諸経費はかかり、当然、全くの持ち出しです。しかし、例え経費以上の寄附が集まらなかったとしても(又、 その公算は大ですが)、市民の皆様に保存運動を知って頂くこと、旧武徳殿が武道場以外にも使うことが出来ること、雅楽という伝統芸能に親しむ 機会を提供することは我々の活動や保存を訴える理由を理解して頂くこと、そして社会貢献として役に立つと思います。そうしてもう一、期待していることがあります。
    それは「人捜し」です。会員となってくださる方、賛助会員となってくださる方、あるいは「そういう”縛り”があるのは御免だけれど、 何かの形で協力できることがあれば協力しても良い」と思ってくださる方、あるいは興味を持ってくださる方を掘り起こしたいと願ってチャリティコンサートを行いました。

    項目へ戻る

    東儀秀樹氏によるチャリティコンサートにお越し下さった皆様へ

     この度は多くの方々のお力添えをもちましてコンサートを成功させることが出来ました。有り難うございました。
     参加あるいは御協力頂いた方々には下記のお礼状をさしあげ、寄附総額の御報告をさせて頂きました。

     

    拝啓
    紅葉の候、ますます御健勝のこととお喜び申し上げます。 ご多忙の中「大正天皇御大典記念・(旧)大日本武徳会京都支部武徳殿保存のための東儀秀樹氏によるチャリティコンサート」にご来駕賜わりありがとうございました。 お陰様をもちまして、総額四二万三千五百六十三円の御寄付を頂戴することが出来ました。皆様のご厚志に心よりお礼申し上げます。  またコンサート後、早速複数の方々より保存につきまして貴重なご意見をお寄せ頂いております。このように多くの方々が(旧)大日本武徳会京都支部武徳殿の価値や保存についてお考え下さることは千金にも換えがたいものであり、東儀家の皆様、関係各方面の方々の御尽力、そしてコンサートにお越し頂いた皆様にただただ感謝申し上げるばかりで御座います。 略儀では御座いますが、取り急ぎ書中にてお礼申し上げます。誠にありがとうございました。 
                                                                     合 掌
          平成一九年一一月一五日

                                 近代和風建築修復・保存・活用に協力する会一同
    各位

    項目へ戻る

    6.今後の企画‐皆様のお知恵と腕をお貸し下さい

     東儀様のチャリティコンサート後、イベント関係の仕事をしているボランティアからこんな意見を聞くことが出来ました。

    「京都の公共ホールには行政が高名な建築家にお願いして外観を整えることばかりに神経を使った結果、音響が全くだめ、というものもある。 今回、旧武徳殿で東儀様のコンサートを聴き、旧武徳殿がどれほど音響という面で優れているか実感しました。」

     旧武徳殿が武道場としてだけではなく、コンサートホールとしても素晴らしい場所だと言うことはその後端唄の家元からも指摘を受けています。 多くの方々がそのように感じてくださったことにより、旧武徳殿の持つ、武道場以外の可能性を明らかにすると同時に、旧武徳殿よりもグレードの高い建築である 支部武徳殿が武道のみならず、学術、芸術など様々な分野の研究・発表の場として優れていることを証明することが出来たと思います。
    今後、より多くの方々の理解を得ると同時に、我々の社会貢献活動の一環として旧武徳殿を会場としての催物というのは大切な行事である、と考えています。
     しかしながら毎回数百万円の赤字を出しながら行事を続けてゆくことは不可能です。そこで、極端な話ですが「武徳殿の使用料だけで出来る」催物 ということを考えなくてはならないと思います。
     今、案として出ているのが「1.チャリティ武道大会」、「2.室内楽やアカペラなど音響設備を必要としない芸術で、しかも日中に行うことにより、 照明も必要としない状況でのコンサート」です。案としては「なるほど」と思えるのですが、では、どうやって武道大会を開くのか、全くの無報酬で演奏をして くださる芸術家をどこから捜してくるのか、ということです。こういった問題を解決してゆくのに協力してくださる方を探しています。と、同時にこれら以外の 何か良い智恵を貸してくださる方を探しています。
     皆様どうぞ、よろしくお願いします。

    項目へ戻る

    上賀茂神社での奉納演武の案内に戻る

    最初に戻る