目次 一 行基を取り巻く人たち 1 行基伝 2 寺院・四十九院など 3 行基伝承 4 石清水八幡宮 5 行基に係る史料 6 行基伝の伝播 二 行基に関わる人物 1 家系 2 僧侶 3 天皇家 4 光明皇后その他皇族 5 貴族、官人 6 豪族・地方官 、その他 三 行基伝説 1 行基伝編者 四 行基と関係のある人たちの分類 1 橘氏及び後裔 2 橘氏縁者 3 その他 4 橘氏と藤原氏の繋がり 五 行基と交わらない人物
はじめに 行基には多くの伝承がある。行基を表象する言葉は、民衆の教化僧、菩薩、大徳、沙弥などの ほか、「霊異神験」「文殊の化身」「権化・権者」「二生の人」「隠身の聖」とされるなど、そ の実体は隠されている。 行基の実体を見極める一つの方法として、誰が行基に関心を持つか、行基を取り巻く人物群を 眺め、そこから浮かび出る「霊異神験」などに隠された特別な人「行基」の人間像を探し出す端 緒としたい。 一 行基を取り巻く人たち 1 行基伝 行基伝に見る行基を取り巻く人たちは、聖武天皇をはじめ、貴族や僧侶群、地方豪族、外国から の来訪者、民、行基伝著者など多岐に渡っている。 天智天皇7年(668)の誕生から天平21年(749)没年以後、享保19年(1734)成立の『行基菩薩草創記』 に至るまで、行基伝承は日本国中に広く伝播してきた。 表1 主な行基伝
史料名 | 行基を取り巻く人物 |
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大僧上舎利瓶記 | 百済王子王爾、弟子僧景静、沙門真成 |
行基菩薩伝 | 徳光禅師、日本定昭、新羅恵基、寺史乙丸、波羅門僧正、林邑僧、大唐僧、左大臣橘朝臣、秦堀河君足、行信僧都、太上天皇御名勝満、中宮御名徳満、皇后御名萬福 |
行基大菩薩行状記 | 徳光大法師、道照禅師、聖武皇帝、孝謙天王、智光、天山和尚、両弁僧正、 (左)大臣、波羅門僧正法名菩提、中宮、皇后 |
行基年譜 | 願勝師、利鏡師、新羅国大臣恵基、犬上王・従七位下津守宿祢得麻呂・正八位上出雲国勝、寺史乙丸、船大徳、智光大法師、バラ門僧、林邑僧、大唐僧、大鳥連史麻呂、大鳥連夜志久尓、沙弥秦証、左大臣橘朝臣、秦堀河ノ君足、行信僧都、玄肪僧正、太上天皇御名勝満、中宮御名徳満、皇后御名萬福、高野姫天皇、光信 |
行基菩薩縁起図絵詞 | (14)蜂田薬師澄麻呂、(16)徳光禅師、定照禅師、(17) 日本定照 、新羅恵基、(18)大鳥連首麻呂之妻津守氏伊良豆米子、利鏡 (21)聖武皇帝、得丸、国勝、法義、真成、 (22)尊仙大徳 (26) 波羅門僧正 (30)智光大徳 (31)橘大公 (32) 婆羅門僧正、朗弁僧正、聖武皇帝、(34)元明天皇 (35)太上天皇、中宮、皇后 |
元亨釈書 | 新羅慧基、義淵、益智證、徳光法師、聖武帝、智光法師、皇太后、皇后、忍性、伏見翁、波羅門僧菩提、右僕射、楠公 |
日本霊異記 | 聖徳太子、徳光禅師、血沼県主倭麻呂、信厳(妻)、智光、置染鯛女、京元興寺村の一女人、河内国若江郡川派村の一女人、[善珠(大徳の親王)] 聖武天皇 |
日本往生極楽記 | 聖武天皇、智光、南天竺波羅門名菩薩(提歟)、中書大王(具平親王、兼明親王)、慶滋保胤、寂心、 |
行基菩薩草創記 | 新羅国恵基、福信、吉士の長丹、智光法師、聖武天皇、太后光明皇后、良弁、道昭、義淵、徳光法師、志阿弥法師、婆羅門僧正、、、、、 |
項目 | 関わりのある人 |
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菅原寺 | 元明天皇、橘諸兄、聖武天皇、光信、寺史乙丸、藤原不比等、善珠、早良親王、藤原仲麻呂、叡尊 |
東大寺 | 聖武天皇、審、景静、良弁、道昌、円照、菩提遷那、隆尊、聖守、重源、西行、源頼朝、藤原行隆、藤原宗行、宗性、過去帳記載人物群 |
竹林寺 | 良遍、宗性、円照、忍性、教願、忍空、空智(真空)、日阿、入西、空寂、九条教家(弘誓院)、鷹司女院(藤原長子)、杲宝、待賢門院璋子 |
家原寺 | 叡尊、覚超 (縁起図絵詞)、行覚(縁起図絵詞)、仁範(粉河寺縁起)、 |
昆陽寺 | 光信、法義、善添、福尋、清浄、首勇、能因、藤原道長、長算、源満仲、橘成季、重源 |
久米田寺 | 志阿弥、光信、法義、福尋、清浄、首勇、橘諸兄、聖武天皇、光明皇后、安東蓮聖、叡尊、禅爾、行円、足利尊氏、足利直義、細川持久、顕尊、禅爾、盛誉、空海、楠木氏、松平定信 |
長谷寺 | 聖武天皇、房前臣、吉備大臣、義暹、神叡、徳道、道明、稽文会、稽主勲、孝謙天皇、菅原道真、道慈、小井門子、出雲臣大水沙弥三法勢、中原康富 |
西芳寺 | 聖徳太子、親鸞、大江師員、法然、北条時頼、夢窓疎石、真如法親王(高丘親王)、佐々木晴国 |
元興寺 | 義渕、真成、玄ム、勝虞、真成、隆尊、智光 |
薬師寺 | 恵基、行達、行信(法隆寺) 、浄安、景戒、 |
大安寺 | 道慈、菩提遷都、審、道?、慶俊、浄達、行教、玄基、勤操、国看 |
興福寺 | 光明皇后、長屋王、橘三千代、慈訓、道慈、貞慶、良遍、宗性 |
法隆寺 | 橘三千代、聖武天皇、光明皇后、牟漏王、橘古那可智、行信、安倍内親王、房前、八束(真盾)、泰澄 |
その他 | 安倍氏・勤躁(天地院)、遍昭(良峯貞宗)( 鹿山寺)、橘姓井口氏(粉河寺)、大江親房(南都七大寺)、大江定基(宝積寺)、徳光(高宮寺)、泰澄(白山)、最澄・円仁、円珍(延暦寺)、空海(金剛峯寺)、勤操(笠置寺)、貞慶(笠置寺)、忍性(極楽寺)、遍昭(鹿山寺)、覚源、頓阿、道昌、能因、長算、実円(河内小松寺)、良定(袋中) |
項目 | 関わりのある人 |
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遺骨出現 | 寂滅(後号明観)、慶恩、凝然、杲宝、神賢、賢宝、賢賀、 |
行基遺誡 | 平康頼、西行、鴨長明、橘成季、慶滋保胤、鎮源、皇円、無住、松尾芭蕉、良遍、 |
行基墓 | 月性(三輪上人行状)、 |
行基供養 | 円照、宗性、蔵円、聖兼、尊海、円実、聖基、頭大蔵卿光國、八幡検校宮清、尊海 |
文殊信仰 | 聖徳太子、達磨、玄ム、菩提遷那、徳一、最澄、円仁、勤操、泰善、浄蔵、空也、性空、叡尊、忍性、小野篁、重源、源実朝、清範、仁範、行賀、 |
浄土教(宗) | 道昭、信厳、智光、善珠、法然、一遍、源信、源信、千観、袋中、 |
四聖 | 聖武、良弁、菩提、行基、聖守、菅原長衡、頼覚、蔵円、聖顕、聖禅、聖宝 |
神仏混淆 | 橘諸兄(伊勢参宮)、通海、光宗、 |
熊野信仰 | 橘良基、藤原道長、後白河法皇、楠木正成、西行 |
行基弾圧 | 藤原不比等、長屋王、義淵 |
三昧聖 | 志阿弥、本良・玄登(行基菩薩草創記) |
百済王 | 王仁、勧勒、翹岐、智鳳、敬福、藤原継縄、桓武天皇、明信 |
松虫姫伝説 | 聖武天皇、不破内親王(母県犬飼広刀自)、花井権大夫、乳母 |
芹摘み歌 | 葛城王、薩妙観、光明皇后、膳手之后、橘皇后、芹摘姫 |
真福田丸 | 源俊頼、殷富門院大輔、田辺福麻呂、袋中 (智光曼荼羅)、仁海、 |
五泊 | 三善清行、醍醐天皇、伏見天皇、重源、禅爾 |
大阪府伝承 | 照女(妙善・行基の乳母)、 |
伊丹の伝説 | 不比等、諸兄、房前、源満仲、仁明天皇、菅原道真、能因、藤原道長、長算、橘成季、鴨長明、頼山陽 |
遊行の流れ | 道昭、空海、徳道、増基、能因、長算、一遍、西行、鴨長明、吉田兼好、頓阿、宗祇、袋中、松尾芭蕉、頼山陽、 |
応神天皇、神功皇后、聖武天皇(八幡神宮)、嵯峨天皇、空海、行教、清和天皇、藤原良房、橘良基、平寿、白河法皇、円融院、大江匡房、一遍、叡尊、源義家(八幡太郎)、源頼朝、鎮西八郎、吉田兼好、正徹、法然、大江親通、増基、貞慶、空海、性空、小侍従、豊臣秀頼、徳川家光 |
項目 | 行基を取り巻く人物 |
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東寺王代記 | 婆羅門僧正、大伴家持 |
三輪上人行状 | 月性坊 |
生駒無量寺五輪塔 | 慈勝、入西、願永、心阿弥、井行氏 |
山崎架橋図 | 宰相清行卿、延寿、藤原久[氏]宗 |
行基式目 | 聖武天皇、藤原孝久、細川幽斎、良定(袋中) |
大路利一蔵「覚書」 | 藤原淡海公、不比等卿、聖武帝、諸兄卿 |
甲斐国志 | 元正天皇ノ養老年中行基本州に来り(蹴裂明神) |
三輪上人行状 | 月性坊 |
作並邑温泉地塚之碑 | 元正天皇、源頼朝 |
舎人親王・太安万侶(日本書紀) 、大和長岡/秦大麻呂(古記) 、秦堀川君足(大菩薩遊行事)、小野仲廣(日本国名僧伝)、真成(舎利瓶記)、菅野真道・藤原継縄(続日本紀)、橘忠兼(伊呂波字類抄)、泉高父宿禰(行基年譜)、最澄(顕戒論)、景戒(日本霊異記)、三善清行(意見十二箇条)、源為憲(三宝絵詞)、源信(往生要集)、無住(沙石抄・妻鏡)、慶滋保胤(日本往生極楽記)、鎮源(本朝法華験記)、皇円(扶桑略記)、大江親通(七大寺日記・七大寺巡礼私記)、観厳(東大寺要録巻一)、恵珍(七大寺年表)、愚歓住信(私聚百因縁集)、承澄(明匠略伝)、凝然(竹林寺略録・三国仏法伝通縁起)、行覚(行基菩薩縁起図絵詞)、虎関師練(元亨釈書)、中山忠親(水鏡)、永祐(帝王編年記)、平康頼(宝物集)、藤原資隆(簾中抄)、慈円(愚管抄)、橘季成(古今著聞集)、源顕兼(古事談)、俊頼髄脳(源俊頼)、為兼和歌集(藤原為兼)、中原康富(康富記)、重源(南無阿弥陀仏作善集)、寂滅(生駒山竹林寺縁記)、良含(阿娑縛三国明匠略記)、杲宝(行基菩薩御遺骨出現記)、慶瑜(昆陽寺鐘銘)、永祐(帝王編年記)、北畠親房(神皇正統録)、慶政(諸山縁起)、性?(東国高僧伝巻第一)、師蛮(本朝高僧伝)、尊円親王(釈家官班記)、藤原清輔(袋草子)、藤原俊成(古来風体抄)、修栄(南天竺波羅門僧正碑并序)、藤原孝久・細川幽斎・袋中( 行基式目) 、摂陽郡談(岡田渓志)、本良・栄閑(行基菩薩草創記)、藤原明衡・滋野井実冬・中原師名(本朝書籍目録)、覚源(覚源禅師年譜)、道鏡一円(私聚百因縁集)、通海(通海参詣記)、光宗(渓嵐拾葉集)、林宗甫(和州旧跡幽考)、芭蕉(奥の細道)、上田秋成(春雨物がたり) |
史料 | 家系 | 備考 |
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舎利瓶記 | 高志厥考才智、字智法君長子、蜂田古爾比売、大鳥郡蜂田首虎身長女、百済王子王爾後 | 口虎破身 |
続日本紀 | 俗姓高志氏、和泉国人也 | 行基伝 |
高志連:高志?登若麻呂らに高志連を賜う | 姓氏録:右京神別・大和神別 | |
古志連:文宿祢同祖、王仁之後也 | 姓氏録:河内諸蕃・和泉諸蕃 | |
日本霊異記 | 俗姓越史、越後国頚城郡人 和泉国大鳥郡人蜂田薬師 | |
行基菩薩伝 | 高志史羊、佐陀智、高志赤猪、蜂田薬師古、蜂田権智子、和銅三年正月母逝化、百済王胤 | |
行基菩薩縁起図絵詞 | 百済国の王仁は是れ河内の博士の始祖也。漢の高帝の七代の孫を王仁といふ。 | 已上は安元の記録に見ゆ。 |
その他 | 父:高志定知、俗姓高階氏、貞千世、貞知守、高志宿祢佐?智、高子ノ貞千、母:蜂田連、半田ノ薬師女、蜂田薬師子 | 高志公船長、高志公今子 |
僧侶 | 人物 | 備考 |
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師承 | 徳光・義淵・智鳳・道昭・恵基 | 智鳳は義淵の弟子 |
弟子 | 別途 | 弟子僧3109人「東大寺要録」 |
同時代 | 道慈、玄ム・泰澄・鑑真・智光・修栄・神叡・菩提遷那・徳道・宣教・良敏・行達・隆尊・良辨・行信 | 泰澄=神融 |
平安時代 | 最澄、空海、円仁、円珍、遍昭、能因、長算 | |
鎌倉時代以後 | 貞慶、重源、西行、叡尊、忍性、良遍、凝念、円照、宗性、性空、真賢、覚源 |
史料 | 師承 |
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行基菩薩伝 | 徳光禅師、日本定昭、新羅恵基 |
東大寺要録・釈家官班記 | 百済智鳳 |
三国仏法伝通縁起・元亨釈書 | 義淵・道昭 |
薬師寺縁起、元亨釈書 | 新羅国恵基 |
初例抄上 | 義淵 |
史料 | 内容 | 備考 |
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『行基年譜』 | 数千弟子、一千人 | |
東大寺要録巻第一の本願章第一 | 弟子三千一百九人 | |
僧綱補任抄出上・七大寺年表 | 門弟三千一百余人 | |
行基菩薩講式 | 翼従?芻者三千餘人 |
行達 | 慈脱 | 福尋 | 善添 | 景静 | 真成 | 信厳 | 首勇 | 清浄 | 法義 | 光信 | ||
弟子僧 | 〇 | 扶桑略記 | ||||||||||
〇 | 行基菩薩伝 | |||||||||||
〇 | 東大寺要録第四 | |||||||||||
〇 | 霊異記中2 | |||||||||||
〇 | 〇 | 舎利瓶記 | ||||||||||
〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 昆陽寺鐘銘、昆陽寺縁起 | ||||||
〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 舎利瓶記添え書き[大僧正記] | |||||||
〇 | 〇 | 行基菩薩絵伝 | ||||||||||
〇 | 七大寺年表 | |||||||||||
参考 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 久米多寺領流記坪付帳 | ||||||
〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 続紀宝亀三年三月丁亥条 | ||||||||
〇 | 〇 | 行基年譜奥跋 | ||||||||||
〇 | 東大寺要録第12 |
舎利瓶記添え書き[大僧正記] | |||||||||||
@大修恵山寺西光 A十弟子僧並師位 | 僧名 | 崇道 | 有雪 | 平則 | 慈深 | 延豊 | 神忠 | 行林 | 法義 | 玄基 | 景静 |
俗名 | 大雪襖 | 河原 | 奴 | 亨国 | 秦 | 高志 | 大日 | 五師 | 尾張 | 弓削 | |
B翼従弟子 井浄は清浄と同一人か。 | 徳善 | 信定 | 迦成 | 恵教 | 光信 | 延臓 | 善景 | 井浄 | |||
C故持者 信厳は『日本霊異記』にみえる。 | 聖耀 | 明弁 | 信厳 | 行勝 | 帝安 | 主安 | 隆基 | 恵林 | 神蔵 | 霊勝 | |
D親族弟子 | 高続泰均・元興寺僧 | 高息 | 明者 | 浄安・高志・薬師寺僧 | 真成・大村・元興寺僧 |
行達・施曉(七大寺年表)、行信(行基年譜)、勝虞(本朝高僧伝)、信定(生駒市小明町稲蔵寺)、徳道・澄光・離念(峯相記)、魔頂(冨山房行基菩薩/本朝高僧伝)、弁恵(行基菩薩行化年譜)、基限(天童市舞鶴山)、澄光(岩見市円融寺)、円如(長野県実相院)、最伝(近江古蹟図会)、明山(大悲山放光院観法寺)、東円(神道集)、ばん海(備前自性院)、志阿弥 |
天皇 | 内容 | その他 |
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応神天皇 | 八幡大菩薩、九州から大和入り。 | 石清水八幡宮 |
継体天皇 | 応神五世孫、樟葉宮・綴喜宮・乙訓宮、磐井の乱、越国 | 行基院所在地 |
孝徳天皇 | 難波遷都、有馬温泉、御願塚葬(行基参拝) | |
斉明天皇 | 37代越(袁智)天皇、戯れの渠、喪を見る鬼、龍に乗る唐人 | 越(高志) |
持統天皇 | 葛城高宮行幸 | 高宮寺 |
元明天皇 | 菅原寺建立、杣山を賜る(略録)。和銅六年嵯峨法輪寺建立。京都参上(菅原遺誡) | |
文武天皇 | 文武天皇の勅により温泉山満明寺建立 | 温泉山満明寺縁起 |
元正天皇 | 和泉監、羽賀寺 | 行基年譜 |
聖武天皇 | 別記 | |
孝謙天皇 | 菩薩戒(行状記)、長谷寺霊験、『行基菩薩伝』木津誓願寺 | 長谷寺霊験記 |
光仁天皇 | 宝亀三年十禅師、同四年行基六院に施入、広岡山陵 | 続日本紀 |
桓武天皇 | 延暦五年太政官符「行法大僧正」、河内交野祭祀行幸 | 続日本紀 |
嵯峨天皇 | 弘仁三年摂津国?独田、河陽院、佐為寺 | 石清水寺 |
淳和天皇 | 西院、小塩山行基塔、文殊会 | |
仁明天皇 | 深草天皇、摂津国府移転、御使行基(諸山縁起)、催馬楽 | 播磨随願寺行基堂 |
清和天皇 | 貞観二年石清水八幡宮造営 | |
伏見天皇 | 伏見上皇院宣、摂播五泊定置 | 離宮八幡宮文書 |
花山天皇 | 拾遺和歌集親撰 | 行基和歌1346-48 |
史料 | 内容 |
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舎利瓶記 | 聖朝崇敬す。 |
『行基菩薩伝 | これより以降一人(天皇)帰依し、万民稽首す。 |
行基年譜 | 天皇帰依、給孤独園 |
続日本紀 | 豊桜彦天皇甚敬重、播磨国印南野行幸、大仏勧進、大僧正 |
日本霊異記 | 聖武天皇、感於威徳故重信之 |
三宝絵 | 天朝フカクタウトビ給テ、一向ニ師トシ給テ、…大僧正ノ職ヲサツケ給、 |
仁寿鏡 | 聖武天皇神亀元年(724)3月2日長谷寺造営宣下、行基任大僧都直任初也 |
東大寺過去帳 | 聖武、宮子、光明皇后、行基、孝謙、不比等、諸兄、良弁… |
内務省寺院明細書 | 「岩屋寺」聖武天皇帰依僧行基菩薩 |
行基菩薩行化年譜 | 天平17年聖武天皇綸旨拝写 |
行基式目・家原寺縁起 | 聖武天皇詔基公、更令定田畠之広狭(行基式目か) |
東大寺『雑集』 | 「慎口言」/「可慎口業」行基遺誡 |
扶桑略記 | 天平21年正月14日平城中嶋宮で行基から菩薩戒を受け名を勝満とした。 |
皇后その他 | 内容 | その他 | |
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藤原中宮皇后 | 藤原宮子菩薩戒を受ける。 | 行基年譜 | |
光明皇后 | 別記 | ||
安積親王 | 安積親王陵墓の近くに仏法寺を建立する。 | 寺縁起 | |
不破内親王 | 松虫姫伝説、益子市独鈷山西明寺記録 | ||
壇林皇后(橘嘉智子) | 岩船寺に出生祈願、水田・山地を下賜。行基が阿弥陀堂建立。 | 寺縁起 | |
兼明親王(前中書王) | 聖徳太子・行基の二伝を加える夢告を得る。 | 極楽往生記 |
史料 | 紀年 | 内容 |
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泉橋院 | 1754 | 行基建立の院に光明皇后の墓あり。光明皇后凌、但し新在家村船泉橋寺内ニ御座候。 |
新薬師寺縁起 | 745 | 天平乙酉の秋、光明皇后の眼病平癒により、行基をして薬師如来像を刻み本尊とした。(毛利久『新薬師寺考』) |
三宝絵 | 984 | 法華讃嘆:薪ヲ荷テ廻ル讃嘆ノ詞、光明皇后ノ読ミ給へルトモイヒ、又行基菩薩ノ伝給へルトモ云。(中18) /百石讃嘆は行基菩薩の唱えたるなり。(下18) |
拾遺和歌集 | 1006? | 法華経・百石讃嘆の歌 |
光明院寺伝 | 729 | 天平3年光明皇后の発願により、行基の開基とする。 |
杉本寺縁起 | 732 | 天平6年に光明皇后の御願により藤原房前と行基が開いた。 |
泉州志 | 行基建立の安楽寺は光明皇后生誕の地に営まれた伽藍である。 | |
隆池院縁起 | 736 | 天平10年行基、×××内大臣連殊致功、光明皇后協加力。 |
久米田寺 | 諸兄、光明皇后の墓の伝承がある。 | |
弥谷寺伝 | 聖武天皇の勅願により行基が堂宇を建立し、光明皇后の菩提を弔う為、『大方広仏華厳経(伝・光明皇后書写)』を祀り、寺院を創建した。(香川県三豊市三野町) | |
橘禅寺 | 735 | 天平9年光明皇后勅願、行基創建(千葉市原市) |
善願寺伝 | 腹帯地蔵(伏見区醍醐南里町) 光明皇后の発願で行基菩薩により作られる。 | |
槇尾山 | 光明皇后が御産の悩みのために、行基をして槇尾山も清津の滝に祈らしめた。 | |
尭王院 | 行基皇后の安産を祈りし也。 | |
摂津名所図会 | 高浜山観音寺光明皇后本願、本尊聖観音(試みの観音)行基作 | |
拾遺和歌集 | 行基和歌1346-1348の前に光明皇后の歌1345を記す。 |
貴族、官人 | 内容 | その他 |
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橘諸兄 | 別記 | 行基年譜 |
橘三千代 | 法隆寺西円堂、丈六薬師像行基作 | 七大寺日記 |
藤原不比等 | 菅原寺、長岡、淡海公・行基 | 大路利一蔵『覚書』 |
藤原房前 | 長谷寺、讃岐志度寺、鎌倉杉本寺 | |
藤原道長 | 古代昆陽寺を参詣、無常院に倣い、西北院を造る | 伊丹市史 |
吉備真備 | 吉田寺は聖武勅、真備建立、本尊観音は行基作。真備・行基・泰澄諸国の郡郷邑村巷の堺を定む | 地方落穂集 |
田辺福麻呂 | 「久邇京讃歌」・真福田丸伝説 | 万葉集 |
犬上王 | 和銅元年10/2宮内卿、伊勢大神宮に派遣される。 | 続日本紀・行基年譜 |
史料 | 内容 | 備考 |
---|---|---|
行基年譜 | 左大臣橘朝臣奉施食封五十戸、…終日燕楽。大臣弾琴 | 天平十一年或云天平十三年六月十六日 |
行状絵伝 | 猪名寺孤独園池建立、橘大公(諸兄)は勅を奉り、草創す。 | 天平十年三月廿日 |
三国山向泉寺略名縁起 | 橘朝臣諸兄(公深く菩薩を敬比、諸兄行基と其間うるはし)薬師如来を菩薩に寄附す | 別に向泉寺縁起 |
和泉名所図絵 | 略記云、諸兄公は行基の大檀那也 | 橘諸兄公墳(久米田寺) |
隆池院縁起 | 内大臣棊殊致功 | 内大臣は諸兄か |
木積観音堂 | 行基の創建し観音寺の遺址、諸兄の所領 | 現孝恩寺 |
竹林寺略録 | 慶雲3年左大臣橘朝臣諸兄以河内国和泉郡木嶋郷内田地等。奉施菩薩。 | 『行基年譜』49院にない木積観音堂 |
久米田寺 | 天平6年11月2日行基が諸兄を大檀越として開創 | 大阪府史跡名勝天然記念物 |
聖武天皇綸旨 | 天平19年12月14日拝写、左大臣橘諸兄 | 行基菩薩行化年譜 |
氏名 | 内容 | 備考 | |
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阿部氏 | 天地院、安倍文殊院 | ||
血沼県主倭麻呂 | 日本霊異記 | 信厳 | |
日下部首名麻呂 | 和泉監大鳥郡日下部郷「瑜伽師地論」第二六を書写 | 練信 | |
土師氏(菅原氏) | 菅原の地 | 法義 | |
秦氏 | 秦堀河君足『大菩薩遊化行事一巻』 | 延豊 | |
菅原氏 | 菅原長衡「四聖御影賛」作 | ||
津守氏 | 津守宿禰得麻呂 | 行基年譜 |
橘諸兄、能因 (橘永ト) 、性空(橘善行)、皇慶、世阿弥、橘季成、増賀、増基(喜撰法師)、 橘良基、千観、実因、橘南渓 |
淡海三船(女は橘島田麻呂室)、源満仲(母橘繁古女)、宇多天皇(女御橘広相女義子)、大江匡房(母橘孝親女)、三善清行(妻嵯峨天皇孫)、和泉式部(橘道貞妻) 、清少納言(橘則光妻)、菅原孝標女(橘俊通妻)、 慶滋保胤 |
藤原氏 | 虎関師錬(母源氏)、貞慶、藤原道長、藤原長算、西行法師、良遍、宗性、慈円、殷富門院大輔、慶政(九条良経男)、中山定親(北家花山院流)、一条兼良、 凝然、二階堂貞宗(南家乙麻呂流) |
源氏 | 多田満仲、源為憲、源俊頼、源義家、源頼朝、杲宝、夢窓疎石(母平氏)、細川幽斎 |
その他 | 遍昭、大江匡房、大江親通、鴨長明、吉田兼好、松尾芭蕉、慶滋保胤、真如親王、覚源(桓武平氏良文流)、明恵(父平重国) |