俳句絵解き草子(13)    
磯 野 香 澄
清水の舞台きしませ照り紅葉 香 澄

清水道は京都観光の第一歩と云った処で、何時の季節も人通りが多く色んなお店があって楽しい処です。清水寺の手前から左へ下りると産寧坂二年坂、上へ行けば地主神社の辺りとか、音羽の滝とか山懐の地形のなすが侭楽しい処が沢山あります。清水寺から山科へ抜けられる道があると聞いて、何時もは五条坂を自動車でトンネル抜けたら山科で便利ですが、昔の人が歩いて越えた道が今でも行けるのだろうと車を清水寺の駐車場に置いて歩いて行きました。みんな紅葉の寺を見に来ているのにと何か後めたい気持。境内は広くてもう出口かと思っていたらそこにまだ子安の塔と云う建物があるのです。初めてなのでそこへ立ち寄り、「子供出来るかなあ」と云って拝みました。塔の言霊に『現役でないと駄目』と云われて山科越えの目的を思い出し、閉まっている裏門の扉を開けてやっと寺領を抜けました。そこから山道をいくとその奥に二三軒の人家がありびっくりしました。でもいよいよ峠道になるのか下の方で一号線の音が聞こえます。ちょと上り坂になったと思ったら今度は下向きに道が続いています。何でここで下向きになる?仕方ない道通りに下りたら一号線へ出てしまいました。「何やこんなとこへ出るのなら車で来たらすぐや」もう一度道をよく聞いてから来ようと引き返しました。又裏門、自分で開けて閉めといて変な気分。「お寺へ入ろう」毎年見る紅葉の光景ですが、よそから来た人と同じ気分になって「清水の舞台」で紅葉をみました。人が多いので舞台の木組がきしみます。ちょっと恐いけど自分から飛降り?さえしなかったら大丈夫。一番前の手摺りに寄って紅葉をみました。少し西に傾いた太陽が赤い紅葉を照らしさすが清水の紅葉と、見慣れている光景も今日の美しさで堪能させて貰いました。向いの西山が目の高さ位に見えていつも思う事ですが、その峰の稜線に何故か心ひかれるのです。山科越えは出来なかったけど古くなってきた清水の舞台、恐いと思ったのが一句になった位ですから、結構きしんだのを思い出しています。

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